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■ INNOVATION #03

女性の為のグローバル・リーダーシップ&ダイバーシティー vol.1

女性の為のグローバル・リーダーシップ&ダイバーシティー

WIN(Women's International Networking 創設者:Kristin Engvig 本部:スイス/ローザンヌ)は、女性の為のグローバル・リーダーシップ&ダイバーシティー(多様性)をテーマに国際会議を主催するパイオニア的存在として、女性の特性を活かし、真のグローバル・ビジョンを携えて世界で活躍する女性リーダーの育成に貢献し続けています。

1998年、ミラノに本部を設立以来、毎年世界各国から約1,000人の男女を迎え、ヨーロッパの各主要都市にてインターナショナル・コンファレンスを開催、2013年5月17日・18日にはアジアに於ける最初の開催国となる日本で、「第2回WINジャパン・コンファレンス」を開催されました。

今回はWINの創設者 クリスティン・エンヴィック氏と、モデレータとして参加された経済ジャーナリスト 谷本有香氏のお二人にインタビュー取材しました。
「第2回WINジャパン・コンファレンス」
―――WIN創設のきっかけを教えていただけますか?
クリスティン氏: 以前はある大企業に勤めていたのですが、仕事を続けるうちに、会社の組織文化というものに自分は向いていないのではないかと思い始めました。あまり居心地がよくなかったんですね。特に組織間の政治やパワーゲームに疲れてしまったこともあり、起業して、コンサルタントになる道を選びました。

起業後は会社も順調で、コンサルタントとして数々の国に出張して仕事をしていたのですが、その際に私はとても幸運な立場で仕事ができているということがわかりました。

ノルウエーは男女平等の国(※1)ですから、女性も男性と同じように働けますし、女性らしさを失うことなく、仕事をすることも可能です。ですが、他国の女性は、同じような立場で仕事ができていないという現状を知ったのです。

そこで私のような幸運を、もっと多くの女性と分かち合いたいと思い、女性同士で助け合い、楽しさや愛情をも分かち合いたいとWINを立ち上げました。

特に社会で働く女性が、仕事やソーシャル面のシェアだけではなく、女性らしくいることの楽しさや喜びを、共に分かち合える、そんな女性のネットワークを作りたいと思って始めました。

※1:クリスティン氏はノルウエー人。ノルウエーは男女平等の先進国で、2012年10月OECDのジェンダーギャップ指数ランキング世界第3位。第1位;アイスランド、第2位:フィンランド
―――今や数多くの国で活動されていますし、昨年本部で開催されたWINConferenceでは1000名を超える参加者があったと伺っています。とてもタフな活動だと思うのですが、その原動力は何でしょう?
クリスティン氏:当初さまざまなアイデアやプランがあって、多くのことを自分がやりたいと活動していました。もちろん最初の何年間は、そんな自分のアイデアに沿って活動していたのですが、何年か経過すると、この活動は自分のものではなく、社会的に必要な活動なのだと強く感じるようになってきました。

社会的にやり続けることが自分の責任だという確信を感じるようになったのです。「自分ひとりの想い」から、「社会の想い」へと変わってきたのだと思います。
―――WINは既に15年も活動されていらっしゃいますね。当初からみて、クリスティンさん自身が気付かなかったことや学びはありますか?
クリスティン氏:もちろん多くの学びや気づきはあります。その中から2つほどお伝えしたいと思います。1つは思いがけず、自分自身の「心の旅」をすることになった点です。

WINのコンテンツやプログラムは、自分で考えたり、さまざまな人々との出会いから生まれるインスピレーションを得て作っていました。そうして生まれたコンテンツは数多くありますが、コンテンツやプログラムを作る上で、必ず必要なのは、「何故?」と自分に問う作業です。

何故必要なのか、どのように必要なのか、何が必要なのか?といった問いは、自然に自分自身と向き合うという作業になります。つまり、外向きにさまざまな企画やコンテンツを作りながら、常に自分の内側、内面に対して「問う」作業や過程があり、自分を深く知る「心の旅」をすることになったように思います。これはとても自分を充実させてくれたと感じています。

もう1つは、思いがけない貴重な体験や経験をすることができたという点です。

WINという活動の中でも、自分のプライベートの経験の中でも、良いことと悪いことは両方あります。特に企業に勤めているのではなく、こうした活動を継続することは、人生に於いて大きなリスクを伴います。安定していませんからね。子供もいますし。

しかしそのリスクテイクの反面、社会的な地位というだけではなく、さまざまな国や大企業のトップの方とお会いしてお話をさせていただく機会も多く、そうした思いもかけず得られた体験も、非常に大きく貴重なものだったと思います。
―――日本での開催は公式で2回目、非公式では3回目と伺っています。日本や日本人女性の印象を教えていただけますか?
クリスティン氏:日本の女性の教育水準はとても高いですね。他国と違ってスタートレベルの水準も高く、本当に多くの機会を有していると思います。

一方日本では、家族を持ちながら社会で働くということは大変なことのようです。これを実現するためには、保育施設の充実や政治的なサポートが必要だと感じています。

また家庭内や会社の中での男性の参加も必要ですね。このWINにもぜひ、男性に参加していただきたいと思います(笑)。言うのは簡単ですが、実際に実現するのはとても難しそうですね。そういう意味でも、女性が女性を助ける、そうした視点が必要だと思います。
―――WINの今後のビジョンを教えていただけますか?
クリスティン氏:WINのメッセージは今後も変わりません。多くの女性たちが、女性らしく自分らしく、人生を楽しみながら生活していくためには、何ができるかを常に考えています。

男性のように働くことでも、男性と戦うことでもなく、女性が女性らしさを失わず、愛情を育み、自分の魅力を輝かせ、人生を充実してもらうためにも、WINは今後も活動を続けていきたいと思っています。

更に世界に向けて活動の幅も広げていきたいと考えています。現在はヨーロッパを中心に、日本やインドなどでもセミナーを開催していますが、ブラジルや他のアジアの国など、まだまだ多くの国で多くの女性と会い、共に活動したいと思っています。

将来的には、トレーニングプログラムをオンライン或いはオフラインで提供し、多くの方々が学べる機会も提供していきたいと考えています。自分らしさ、女性らしさを失わずに自分の魅力や良さを発揮できる、そんなプログラムを作っていきます。
―――カンファレンス初日には、女性活力・子育て支援担当、内閣府特命担当大臣の森まさこ氏もおられましたね。ダイバーシティに取り組む、日本や日本人女性へのメッセージをいただけますでしょうか。
クリスティン氏:日本の女性はスマートで、美しく、知性的で、全て揃っていると思います。特に、優しくて、和を重んじ、チームワークも卓越していて素敵な女性が多いですね。

この日本の良さを失わずに、是非、自分を主張することも恐れないでいていただきたいと思います。そして大切なことは自分らしさを失わないこと。

日本の社会の中では、自分を主張することはとても難しいことだと思います。でも、ここぞという時には、グループの中でも自分の考えを伝えていくことも必要だと思います。

また、政治のサポートや男性のサポートも必要ですが、女性が女性同士で助け合いサポートする。それがとても大きな力になると思いますので、是非皆さんに活躍していただきたいと思います。
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2013/05/27


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