■ MARKETING #02

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■ MARKETING #02

士業のマーケティング vol.1


今回は社会保険労務士法人NSR代表であり、開業して間もない社労士さんたちの学習の場「中島塾」を主宰されている中島康之氏。対談のお相手に選ばれたのは、中田谷社会保険労務士事務所 中田谷博文氏です。長年の大親友同士でありながら、真っ向から考え方が違うお二人。とはいえ、だれしもこの両極の考え方に自身を照らし合わせてみたことはあるはず。あえて腹の底を語り合う言葉に、業種を越えた気付きがあります。
取材/山部 香織 撮影/菅野 勝男 コーディネーター/武田かおり   
 

マーケティングか、信念か

中島氏: 士業のマーケティングってなんやろね? やっぱりお客さんを見つけるというか、選ぶことって大事やと思ってるから中島塾をやってるんやけどね。

中田谷氏: 僕はマーケティングは考えないからね。

中島氏: それはなんで?

中田谷氏: この業(社会保険労務士)っていうのは、社会に貢献することが主目的やと思ってるから、「士業」はやっぱり「世のため人のため」、「志~こころざし」やと思うんやね。

中島氏: でも、売上は必要でしょ?

中田谷氏: まあそれはそうやけど「志」ない士業の人間がマーケティングしても、アカンもんはアカンのんちゃうかな。
中島氏: 「志」ってつまり、社会貢献が第一ってこと?

中田谷氏: そう、さっき言った「世のため人のため」っていうのは、この業界(社会保険労務士)って、局面で判断に悩むことってあるでしょ? クライアントにとってどうかとか、事務所経営にとってどうかとかいうよりも、社会にとってどうかということが常に判断基準であるわけなんやね。

中島氏: お客さんのためではない?

中田谷氏: お客さんのためだけじゃない。極端に言えば、社会的に考えてその会社、「やめたほうが良いんじゃないの?」ということもあるかもしれない。どう考えたって会社が悪い場合もあるわけですよ。

中島氏: それってお客さんに、「会社やめたほうが良いで」って言うの?

中田谷氏: そう。たとえば労使紛争がしょっちゅう起きてて、そら会社のほうが悪い、ということが続いてたとしたら、経営者として資質ないわけで、世のため人のためを考えると、ってことやね。

中島氏: それはもっと前に経営者に説明したりしない?

中田谷氏: もちろんするよ。でも、手を尽くしてもダメな場合は手を引く。常にそういう判断基準を持っていないとアカンと思うね。

中島氏: なるほどね。でもそれって、事務所が最終的に悪に手を貸していることを避けるっていう、リスクヘッジやね?
中田谷氏: そうでもあるけどね。どんな事業だって利益がないと維持できない。

だけど、ウソでもいいから「世のため人のため」っていうのがないと世間は認めないし、一時儲かったとしても絶対続かない。

中島氏: で、その「世のため人のため」だけでやっていけるのはなぜ?

中田谷氏: うーん、まあ「運」やね

中島氏: あのね、それを言ってしまったら終わってしまうよね(笑)

中田谷氏: そりゃまあそうですけどね(笑)
中島氏: 売上を上げていくってことはお客さんを獲得することで、マーケティングを考えたら、お客さんによってやっぱり合う合わないということもあるし、評価もあるしで、自分に合った客層ってあると思う。

もちろん開業したときは、そんなこと言ってられないこともあるけれど、僕には事務所経営としての目標があってね、それを実現するために一つづつ進んでいくには、やっぱり良いお客さんが必要なんやね。

中田谷氏: その目標って、つまりは事務所の大きさというか、スタッフの数とか?

中島氏: そうそう。具体的には売上高やね。仕事した結果の目標額。

中田谷氏: それって具体的に数字を決めるわけ?

中島氏: うん。以前は闇雲にやってきたけど、具体的に数字を決めて、何年後にはこうしたい、ってやってきたね。さっきの中田谷さんの「運」やないけど、そういう目標を持つことで、やっぱり「運」やら「縁」にめぐり合ったことは確かやね。良いお客さんにめぐり合いたいと思えばそうなってくる「運」もあると思う。

まあ、独立したころは仕事を選べないから、低い報酬でもなんでもやってきたけど、そうして仕事をしていくうちに、お金頂きながら、良い仕事ができる良いお客さんにめぐり合える訓練させてもらってきたってのもあるね。
中田谷氏: 逆に言うとだんだん選り好みしてきた?(笑)

中島氏: そう、選り好みしてきた(笑)
あからさまには言わないけど、昔はできた金額の仕事でも、今はできないんですってこともあるよね。

それを引き受けると、経営的に無理がくるわけで。それが、中田谷さんのいう「世のため人のため」になるかというと、ちょっと違うかもね。
中田谷氏: そうやね。まあそれはいたしかたないんじゃない?

中島氏: 開業時は、いろんなところに顔を出して、少しづつ小さな縁を繋いでいって仕事をもらってきたけどね。交流会とか、なんとか会とか。。

中田谷氏: 僕はそういうの一切出ない。

中島氏: いろいろなとこに顔を出してるとね、そこでやっぱり良い縁もできてくるわね。

中田谷氏: たとえば?

中島氏: 弁護士さんとか、税理士さんとかのお付き合いができる。

中田谷氏: なにが?

中島氏: いや、マーケティングを広げるにあたってよい繋がりができる。

中田谷氏: うーん、僕にとっては、そういう表現、違和感プンプンなんやけど(笑)

中島氏: 違和感プンプン?(笑)なんで?


 

2012/03/02


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