■ MARKETING #03

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■ MARKETING #03

感性トレンドで見るマーケティング vol.1


今回は感性アナリストとして活躍されている手塚祐基氏と内藤光一氏の対談です。お二人は感性研究の第一人者である黒川伊保子氏に師事され、マーケティングを未来予測するという『感性トレンド・マーケティング』の研究をされています。男性脳・女性脳という異性の立場として、またプロダクトデザイナーとシステムコンサルティングという全く異なる業界ご出身という視点で「感性トレンド」から見た次世代と、まさに未来へ切り替わろうとする今を語っていただきました。

※【感性トレンドとは】
脳機能科学による感性研究の第一人者・黒川伊保子氏が提唱した言葉。人間の脳には周期的変化(ブレイン・サイクル)があり、それが時代や社会の流行に影響を与える感性トレンドを作り出しているという黒川氏の感性理論のひとつです。
取材/山部 香織 撮影/菅野 勝男 
 
 



 

感性トレンドから見る次世代とは

手塚氏: 先日のセミナーではお疲れ様でした。いかがでした?

内藤氏: やはり男性が多かったせいかすごく興味深く聞いておられましたね。特に50代くらいの方にはリアルな実体験がありますから。

手塚氏: 50歳だと、ちょうど1985年あたりに社会人になって、1999年は社会人として中堅どころ。いろんな社会の動きが見えていた頃で、時代の実感がかなりあるでしょうね。

内藤氏: ちょうどデジタル期からアナログ期に変わる1999年や、その逆の1971年の話は興味深かったようです。特に今のアナログソフト期というのは、アナログの中でもアナログ的な気持ちが高まる時期ですから「だから、こういう現象が起こった」という納得が面白いのでしょうね。
手塚氏: つまり今起きていることの意味が解る。

内藤氏: そう、今のことが解って2013年からどう切り替わるかという。。

手塚氏: 未来予測ができるところ。

内藤氏: ええ。男性は未来予測が大好きですからね(笑)一番食い付きが良かったのは、次は本質の時代になるというところ。

今までの、アマチュアの領域の人が「好きなこと」でなんとなく売ってみたら売れちゃった、というものはもう終わりで、長く研究してきたり技術を磨いてきた人、いわゆるプロフェッショナルな人たちがこれからようやく評価されてくる。そこに何か安心されるのでしょうね。

手塚氏: そういう意味では、男の人がやっと安心できる時が来たという感じでしょうか。培ってきて自分でノウハウを習得して技みたいなものに高めてきたものが花咲く。
内藤氏: 女時(めどき)から男時(おどき)へといった感じですね。

手塚氏: そうですね。1999年がちょうど男時から女時になったときで、あの頃はホントとんでもない混乱でしたよ(笑)

内藤氏: そうでしたねえ(笑)

手塚氏: あの頃私は時計の会社に勤めていた頃で、やっぱり大混乱時代。。もう何が売れるのかわかんない状態で、こうなったら何でもどんどん出しちゃおう!みたいな。。あまりの変化について行けないって感じでしたね。

内藤氏: そうでしたか(笑)かなりアナログチックだったんでしょうねえ。
手塚氏: アナログでしたね。でも会社もまだ余裕のある頃でしたから、すぐにこれじゃだめだって転換しましたけれどね。あの1999年の転換期にうまく転換できなかった企業は、今回(2013年)の切替わりも大変なことになる。

内藤氏: 僕もNTTにいて1999年は分割のときでした。

手塚氏: NTTさん、たしか1985年にも何かありましたよね?

内藤氏: ええ、ちょうど1985年は電電公社から民営化になりました。それに国鉄も民営化が発表になった年なんですね。今考えるとかなり象徴的な年だったんだなあと思いますね。やっぱり節目節目に企業も変わっていってる。

手塚氏: すごいですよね。まさに感性トレンドにぴったり合ってる(笑)

内藤氏: そう、しかも国を代表する企業がそういう変わり方をしてる。

手塚氏: たしか1985年は男女雇用均等法が成立して、1999年は改正法が成立してるんですよ。「もうーなんでー?」というぐらい感性トレンドと同じ周期(笑)

内藤氏: 面白いほど合ってますね。そういえば、TM NETWORKも1999年に復活してますね。
手塚氏: 時代に乗ってますね(笑)

内藤氏: プリンセスプリンセスとか米米クラブも今年のチャリティコンサートに出てきてるんですよね。

手塚氏: デジタル期の人たちって感じかな。

内藤氏: そう、デジタル期の人たちが、ハード期に向かってうれしくなって、またやろうかなあって感じかも。

米米クラブは正統なメロディーで正統な歌詞だけど、そういう方向へ向かうんじゃないですか?

手塚氏: いくんですかね。

内藤氏: いくんでしょうね(笑)

手塚氏: でも今この時期に、自分の商品でうまくいっちゃってる人たち、たとえばiphoneのカバーをいろんな種類作ってますみたいな、バリエーション売りの事業って、これから厳しいですね。バリエーションっていうことがもう飽きてきますし。とはいえ好調だったビジネスをたたむ決断ってものすごく勇気がいる。

内藤氏: たしかに。クライアントのある飲食店さんですが、いわゆるナショナルチェーンの居酒屋と同じで、たくさんのメニューを揃えるというスタイルなんですね。でもこの感性トレンドを聞いて、今後は主力商品を絞らないといけないと仰ってました。

手塚氏: そう、今はどこもメニューがいっぱいありすぎて、しかも「本日のオススメ」でさえいっぱいあって、もう何を選べば良いかわからない(笑)

内藤氏: ええ、何が主力なのかよくわかんない店が多い。

手塚氏: そろそろ気持ち的にいっぱいあることにうんざりしてきますね。それとなんだかわからない組み合わせのモノもいっぱい出てきて、もうどうしたらいいのーって(笑)

内藤氏: 意外な組み合わせってアナログ期の特徴で、奇をてらったものが話題になる。

手塚氏: そうですよね。でもちょっと心配してるのが某携帯会社CMの家族。。あの家族はどうなるのか。。(笑)

内藤氏: お父さんが犬でお兄さんが黒人でって、かなりありえない(笑)
手塚氏: アナログ期ってあの意味のわからなさが楽しくてよかったんですが、これからはあまり楽しくなくなってくる。代わって「必然性」が楽しくなってきますから、あのお父さんはどうなるんでしょう(笑)

内藤氏: 人の気持ち、感性は変わってきてしまいますから。

手塚氏: アナログ期は自分に興味があるんです。たとえば女性が美容室に行くとき、髪型がどう良いかより、美容師さんがどれだけ自分を気持ちよく接客してくれるかということが重要だったんですが、今はもうおしゃべりな美容師さんは疲れるからもういいやって風潮が出てますよ。

内藤氏: えー、女性はすでにもう?(笑)

手塚氏: ええ、早いです。
内藤氏: でも感性トレンドで考えてみると一歩先を見据えて準備できますね。

手塚氏: 特に変化を感じにくい人にとっては便利です。変化を感じ易い人は、自分が好きなことを続けていけばなんとなく波に乗れちゃうってことありますけど。

内藤氏: デザイナーとかもそうなんですか?

手塚氏: そうそう、なんかね、ウズウズしてくるんですね(笑)次はこれにしたい・・とか(笑)

内藤氏: へえー(笑)

手塚氏: でも、その意味は無いから(笑)新商品の会議で聞かれても、その説明はできないんですよ。「なーんとなくこれなんですよね。。」みたいな(笑)

内藤氏: あはは(笑)

手塚氏: 「そういう主観的なことってやめてくれる?」なんて言われるんですけど、社内の女性にはウケたりするもんだから、結構それで通ってしまう(笑)

内藤氏: すごいなあ(笑)

手塚氏: 説明できないけれどわかるんです(笑)


 

2012/04/05


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