■ CREATIVE #04

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■ CREATIVE #04

ユーザー目線のデザイン vol.1


今回は女性3名のデザインユニット、アンジーグラフィックス大野典子さんと河田朗子さん、プロダクトデザイナーの南大成さんの3名による対談です。同じクリエイーターとして、仕事の紹介だけでなく、共に刺激を与え合う仲間同士。デザイナーとしての視点はなにか。クライアントと自分たちの意識の狭間で悩み、ブレないものを持つためのあり方は、どの業種にも共感するものがあります。
取材/山部 香織 撮影/菅野 勝男 コーディネーター/武田 珠佳
 

ユーザー目線で創るデザイン

南氏: 以前、デザイン道場(デザイナー同士で知財を学ぶ勉強会)でプレゼンされているのを拝見して、クライアントさんの想いをすごく汲み取られているなあと思ったんですが、実際どんな感じですすめられてます?

大野氏: 企業さんが何か商品を出すときって、売れるかどうか悩んで、なんでもかんでも、それこそトライアンドエラーみたいな感じで出していくよりも、ブランド力みたいなものをもって、私たちの目線から見たコアの部分の良さを提案していかないといけないなと思ってます。

南氏: クライアントの軸に持っていくという?

河田氏: あのプレゼンの事例って、そろばんを作る企業さんで、新たに違う切り口で、何か違う製品を出したいってことだったんですね。それもなるべく「そろばん色」を消して欲しいという。
最初はそろばん会社がどこもやってないようなものをと考えてたんですが、そろばん作りの職人さんっていうのは、やっぱり技術者として誇りをもって仕事しているわけですから、どこかにそろばんのモティーフを入れたいねって私たち考えて。

それで出したのがソーイングに関する製品だったんです。まず、ブランド名にそろばん地域の名前を入れて。

南氏: そろばんの珠の六角形と、そろばんを使う手が合わさった形でロゴが作られてて、全体的に「木」の形になってましたね。

河田氏: そうそう。説明しないとわからないけれど、よくよく見ればそろばんが入ってるっていう。

南氏: そういうのって良いですね。

河田氏: それが私達らしいやり方ですね。

南氏: 同じ目線でアイデアを磨いて案を出し合っていくってのに興味惹きますね。あのヘンプ素材(麻素材の一種)を作ってられる会社も?
大野氏: 南さんにご紹介いただいて、ブランディングをさせていただきましたね。

河田氏: なんていうか、いままでのコテコテのイメージを、新しいブランドとして、オシャレにしたいというご意向だったので、麻のことを調べることからやりましたね。

クライアントさんの気持ちも考えて、でも実際に着るユーザーの気持ちも考えて、どういう風に変えていけばいいかなということで、まずロゴ創りから始めました。

南氏: そこって、クライアントさん向けに作ってるのか、その先にいるユーザー向けに作ってるかといえば?

河田氏: 私たちもまたユーザーなので、そこを軸に考えさせていただきました。
南氏: 商品のターゲットが30代女性だったので、生活者目線というか、主婦目線でのデザインやカタログ、さらに新たな商品のアイデアもでてくるんじゃないかなとご紹介したんですが、どんな感じでした?

大野氏: 最初はやはり、もうちょっとこんな感じだったら、もっと欲しくなるのにっていう、製品自体の魅力はあるのに、見せ方がごちゃごちゃしてたり、言いたいことを全部盛り込んでるって感じでした。

河田氏: そう、ごちゃごちゃだど見辛い。

南氏: わかりますねえ。クライアントさんってたぶん2種類いて、1つは、あれもやりたい、これもやりたいって感じのタイプで、もう1つは、なにがやりたいかよくわからないけど、なんか新しいことやりたいというタイプ。

今回のクライアントさんは前者のほうで、やりたいことが多すぎて、要望も箇条書きでバーっと出てきましたよね。それに対してお二人は、一応意向を受け入れるんだけど、それをそのままデザインするとこうなりますよと、ダメな例も良い例も見せられました。あれは説得力ありましたね。
河田氏: 手間だけど、失敗例も作って見せます。

南氏: クライアントさんの意向通りでいけばこうなります。でもデザイナーがつくるとこうなりますよ。と実際に見比べることで、やっぱりデザインしたほうが良いよねと納得できる。ステップを踏むことで理解が得られ易い。

大野氏: 最初から「デザインしたもの」を出してしまうと、デザイナーの押し付けになってしまうと思うんですね。どういうものが受け入れられるのか、やっぱりクライアント側にも学んで欲しい。

自分たちがあれもこれもとアピールしたいことと、見る側が見たいものは違うということを知って欲しいんです。
南氏: そのあたりの客観性って重要ですね。プロダクトの場合は、まず中に入る部品のサイズがあって、こういう大きさで、薄さはこうでという規制があって、そこを満たした上で、ボクはこう考えるというデザイナー側の提案を入れるんですね。

自分の考えを入れるからデザインであるわけで、規制を満たすだけのオペレーターとは違う。そこでクライアントに迎合しすぎず、要求を満たしつつ、納得してもらって話を進めていくって実際難しい。

河田氏: クライアント側は、自分の仕事を客観的に見えてないところってやっぱりあります。やっぱりデザイン的に戦略をとるというとき、相手のこうしたいという思いは汲んだ上で、それならこういうかたちのほうが、よりユーザーに伝わりますよと伝えます。

デザイナーとして、というより、相手の違う引き出しを見せるというか、それがうまく伝わって、クライアントが「ああ」と気付いていただけたら成功なのかなと思いますね。



2012/05/10


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