■ MANAGEMENT #06

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■ MANAGEMENT #06

ビジョンを組み立てる「感性」と「理論」 vol.1

ビジョンを組み立てる「感性」と「理論」

今回は経営コンサルタント同士、株式会社FPサポート関西、吉見淳史氏と石原ファイナンシャルプランニング事務所、石原尚幸氏の対談です。お二人は経営者向けのセミナーや塾を一緒に行っておられますが、クライアントへのアプローチ手法は「感性派」と「理論派」で全く違うスタイルをお持ちです。その違いと互いのコンセプトを語り合っていただきました。
事業計画書は必要か
石原氏:最近、事業計画書を作るのが苦手な人が多くないですか?今は先が見え難いこともあるから一人では難しいんだと思うけど。

吉見氏:そこが僕らの出番なんでしょうけど、僕はどっちかというとヘタな人が多いと思う。その一番の根源は勉強してる人が少ない。

経営者のイメージって、10年前までだと、飲み屋さんでいろいろ飲んで、いい車乗って、というのがありませんでした?

そういう人たちって、それが仕事だったり楽しみだったりだったんでしょうけど、それが終着点になってて学びがそこで止まってるんでしょうね。そこを目標にしてしまったら学びのトレーニングができなくて、先を読むことがヘタになる。

石原氏:なるほどね。たしかにそういうこともあるんだろうけど、僕は前職でガソリン業界にいたこともあって、すでに儲からない時代のイメージがありますね。儲からないから一生懸命考えてもがいているんですけど、もがくがゆえに目先のことしか見えない。

3年後どうするんですか?戦略考えてますか?って聞いても「そんなこと知るか」ってみたいな答えが返ってくる。

吉見氏:でも、事業計画書や経営計画的なものって、絶対必要じゃないですか?そういうのも無い方って多いですか?

石原氏:一応、計画書的なものはあるのはあるんですけど、吉見さんのいう事業計画書ではないですね。いわゆる、しっかりした方針なりビジョンがあって、それを月々の計画に落とし込んでいって、その結果が3年後5年後に繋がっていくというようなものにはなってない。そういう意味では計画書は無いといってもいいかもしれないですね。

吉見氏:最近全く書面すらないし「どうしたいの?」っていう人が結構多いですね。今から起業しますって言うから、「どこでするんですか?」って聞くと「それを聞きにきました」って言う。じゃあ何をするの?って聞くと、「それも相談しにきました」っていうような(笑)

基本的になにもかも、相談、相談、相談。で、何かアドバイスをもらおう、答えをもらおうとする。そういう人が最近多くなってますね。会社辞めたから起業しましたって。会社を作るハードルが低くなっているから、安易に考えてしまうんじゃないかな。

石原氏:吉見さんは、なぜ計画書を作ろうとおもったんですか?

吉見氏:やっぱり自分の夢を如何に形にするかって書きたくなったんですね。そんな自分の夢作りから始まったんですが、自分一人で仕事するんだったら夢を書いているだけでよかったんですけど、社員が一人増え二人増えって急激にスタッフが増えたから意思統一が必要で、共通言語のようなものが必要になってきたんですね。

それで10ページくらいの事業計画書を作りました。今、クライアント企業に社内研修もやらせてもらってて思うんですけど、やはり外部より内部。社内が同じ方向を向いてるかって、事業計画書があるとないとで随分違ってくるなと思います。

石原氏:実際使ってみてどうでした?

吉見氏:昨年1つの事業を辞めるまではよかったですね。いわゆるダウンサイジングの計画はそこに入れてなかったもんですから、そのまま何かにスイッチングして計画立てようと思ってたので実際苦労しましたね。事業計画って前向きのことしか書いてないし、スタッフの気持ちはネガなのに「文字で押せ」みたいな。

石原氏:あー、ありますよね。

吉見氏:で、今は冷却期間として観察してるんですよ。この状況でどう動くのかって見てみようと。

石原氏:ああ、泳がしてるの?

吉見氏:ええ。じっと見てると、(計画書が)あると動くけど、無いと動かない人、無くても動く人と、いろいろな人が出てくるなあと思って。それをみながらダウンサイジング時に対応できる事業計画を考えようと今は思っていますね。

普通は先に上がる設定でフローを考えるけど、何か急にどうしようもないことが起こったときに、どういうふうに動けばいいかっていう、危機管理マニュアル的なものも必要ですね。

石原氏:なるほど、面白いですね。そこってすごく悩むとこで、事業を縮小するときってやっぱりある。

そこでそんな計画って意味あるのか?って経営者さんも悩むんだけど、その先を考えるためにもそれって必要ですね。

吉見氏:意味無いと思ってしまうでしょうかね。

石原氏:作れるもんなら作りたいんじゃないですか?先が見通せるならそれにこしたことないけど、先の見通しがなければ作ったところで薄っぺらいものになるでしょうし、実現できない絵空事を書いてもしょうがないと思うでしょうね。

吉見氏:作り方がわからないんじゃないでしょうかね。2ヶ月先は考えるけど、来年のことなんてわからないって思ってしまう。

 

2012/07/04


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