FINANCIAL #06

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FINANCIAL #06

買取と保険の業界から見えてくる’リスクヘッジ’

今回のフィナンシャル談は、買取業を営むラウンジデザイナーズ株式会社 代表取締役社長の杉兼太朗氏と、フィナンシャルコンサルティングを営むティーイーシーコンサルティング株式会社の代表取締役会長 寺岡洋氏の対談です。金や宝飾の流通や売買のプロフェッショナル杉氏と、フィナンシャルのプロフェッショナル寺岡氏。テロや災害等の不測な事態が相次ぎ、先行き不透明な時代、そんな中で資産を守るリスクヘッジとしての外貨の分散投資、金投資等についてや、宝飾業界の売買から見えてくること、世界情勢や中国経済の動向などを踏まえて語っていただきました。お2人の起業の背景にも触れています。

 

とび職人からの独立、リーマンショックを機に会社経営
 
寺岡:お互い起業家ですが、杉さんは‘とび職’という職人から、買取の会社を起業なさったという異色な経歴ですが、起業したきっかけを聞かせていただけますか。

杉:中学卒業してからずっととび職をしていましたが、職人ってやはり個人のスキルが凄く大事なんですね。職人時代に培ったものは、段取り、あと自分が仕事をするというより「道具が仕事をするんだ、道具を大事にしろ」という教えでした。親方を継いでとびをやっていくつもりでしたが廃業することになってしまい、宝飾品が好きだったこともあって起業してみようかなと。やってみたら意外にキャッシュフローが良かったんですね。

例えば10,000円で買い取ったものを15,000円で売ると5,000円の利益になる。しかも当日にキャッシュになる。少ない資金でも始められる!と思い起業したのが2008年で、2年後に法人化して2011年に東日本大震災が起き、それに関連している訳ではないですが、ギリシャの経済不安やアメリカの国債ショックで、金がかなり値上がりしまして。今は金を保持しておくという風潮ですが、当時テレビに買取店が取り上げられ始めた事もあってかなりの人が売りに来たんです。前年に比べるととんでもない売上になりまして。そういう波に乗ったことで、何の知識もスキルもない自分が会社を興すことができたという経緯はあります。
 
ゲスト:杉 兼太朗氏
 
寺岡:先見の目がありますよね。2008年はサブプライムローンの問題があって一気に経済が悪くなってきて。
杉:いえいえ、とんでもないです。家業を辞めると親方から言われていなかったら、ずっと続けていました。毎日休みはなんかなく、台風の時でも、朝の5時から夜中の12時ぐらいまで仕事をしていました。
 
寺岡:すごいチャンスを捕まえられましたね。
杉:リーマンショック、サブプライムローン、というワードがあってもニュースを見るわけでもなく特に狙ったわけではないんです。「金などの装飾品」には縁の無い生活を送っていましたからね、先輩が金のブレスレットをしていたぐらいでしょうか(笑)本当に偶然が重なっただけなんです。
寺岡さんのきっかけはいかがでしたか。
 
ゲスト:寺岡 洋氏
 
 
営業スキルの集積から会社設立
 
寺岡:私は大学卒業後、当時は百貨店の西武が車の輸入販売をしていまして。バブル世代だったので、就職も特に深くは考えていなかったんですが、車好きだったこともあり、当時何社か受けた中で採用が一番早かったこと、扱っていたのがサーブ、シトロエンやプジョー等のユニークな車で。メルセデスベンツやBMWよりは売りづらいんですが、お客さまの層としては良いお客さまが多かったんです。
 
杉:金銭的にも余裕のあるマニア、ですよね。
 
寺岡:本当のマニアが多かったので、その中でどうやったら売れるようになるかを考えた時、そのマニアの人が喜ぶような会話ができるようにならなければと思ったのがセールスに力を入れたきっかけでした。7年勤め、外資系の生命保険会社からリクルートが来まして。車のセールスをして天狗になっていたこともあり、保険のセールスくらい簡単だろうと思ったのですが、世の中そんな甘くなかった。外資系の生命保険会社でしたが、法人がメインで金融知識がないと歯も立たずで。これまでの付き合いで新人賞は取れましたけども、その後大変苦労しました。保険業界はフルコミッションなので数字が上がらないと生活もできないです。

ちょうどその頃、母が癌になりまして。既に末期でしたが、そこから母の闘病が6か月続きました。保険を売り、母親の看病もし・・・、としんどい状況が続きまして。反面、その時に保険の大事さをしっかり意識できました。そんな甲斐あって保険屋も軌道に乗ってきたんですが、勤めていた保険会社が直販の部門を辞めるという事になりまして。代理店として独立するしか無くなったことが起業のきっかけです。

保険屋さんを10年くらい続けたら独立してもいいかなと思っていたんですが、4年でやらざるを得なくなってきて。35歳の時でした。当時、法人保険営業は、経営者さんの御用聞きでした。なんでも聞いてあげて、解決してあげる、その代わりに保険に入ってもらう、というやり方が日本の保険屋さんの主流でしたが、不動産にしても金融にしても投資にしてもかなりの知識がつくんです。独立してすぐにある社長に呼ばれ、アドバイスも受けて。ティーイーシーコンサルティング株式会社という会社自体は保険、不動産、あるいは証券、あるいはその全部を見るというハブに僕がなるという仕組みで会社を作ったのです。

杉:寺岡さんの下積みはすごいですね。
 
’人ありき’の職人経営
 
寺岡:職人で経営者と言えば、若い頃やんちゃだった後輩がいます。ちゃんとした就職せず、大学も行かず、ある時ようやく就職したのが鉄筋屋でした。独立志向も親方意識もすごく強くて。独立して親方になり、現在は従業員50名くらいの会社ですが、サブプライム以降、他の業者は日当を2万円から8~9千円くらいまで下げたのを、彼は1万5千円以下に絶対に落とさなかったんですね。彼が負担を被って職人さんを守ったんです。で、今はどうかと言うと、引く手あまたなんですよ。今では鉄筋屋さんは3-4万円の世界です。職人さんのそういう人情というか、人間らしいところってすごく強いんですよ。だから、元職人さんの起業は成功すると思っています。
 
杉:私はその鉄筋屋さんのように独立志向が強かったわけではなかったんですが、やはり「個」を重んじて仕事をしてきて。けれど起業したときに「個」では何もできなくて、組織でやらなければということに気づきました。今は、色んな人たちを雇っていますけれど、最初のころは彼らを僕の色に染めようとして、それで失敗をしてしまった、という経験もあります。
 
 
 
時代とともに変容する事業形態
 
寺岡:起業されてから、世の中の流れとともに事業形態も変わってきますよね。
 
杉:私はまだ起業して6年ですが、2011年3月に東日本大震災があり、7月にはギリシャ危機と9月には米国債ショックがあって。当時、急にお客さん多くなったと思っていたら『今、金高いんでしょう、ニュースで見たわ』と身に着けなくなったアクセサリーを持ち込んでこられまして。仕事を始めた時はグラム800円くらいだった「金」が、その時は数倍以上の値段で売れたので本当に喜んでくれたんですよね。当時は初めて、「今、金の価格が高い」ということがテレビを通じて世間に認知されたんです。
 
当初は、買取=質屋くらいのイメージの時代でした。今では、換金すること、リサイクルをすることが恥ずかしいことではないと認識が変わってきて、買取店も当時の倍以上増えています。お客さんが売るタイミングと言えば、これは本当に敏感なのですが、どこかの国の経済危機、テロや戦争などの紛争、津波や地震などの天変地異などのニュースが流れると、売りに来る人が増えるという傾向と感じています。
 
実際起業した年にお客さまが増えたのも、東日本大震災→ギリシャ危機→米国債ショックと言った感じです。
寺岡:リサイクル業界はずっと右肩上がりと言われていますよね。
 
杉:全体的には。家電とか不動産等も含み、業種や扱い量が増えましたね。門戸が広くなり、あらゆるものがリサイクルされるようになった結果かと。弊社の扱っているような宝飾・服飾というものに絞ると、今は横ばいのような気もします。また、そこに足止めをかけているのが金地金の支払調書制度やマイナンバー制度です。金のインゴットを売ると税金がかかるとなると売る人は少なくなりましたね。そこで弊社は最近では新しい節税方法の精錬分割加工サービスを始めています。【買取】ではない角度からのサービスもスタートしました。
寺岡さんはいかがですか。
 
寺岡:起業当時は2002年、女性のお金のセミナーを開催していました。外貨建てや積立金等のお話をさせて頂く事が圧倒的に多かったですね。セミナービジネスが流行り始めた時でしたが、それからあまりにもまわりに普及してしまい5-6年で辞めました。今でも小規模にはやっていますがそんなに力を入れてはないですね。あと、10年前と違っては街中で生命保険に入れるようなショップもできて身近になってきていますよね。弊社の形態だと法人保険が多いので、紹介や対面がほとんどなのでそこは昔と変わらないかもしれないですが、生命保険の業界としては今変革の時期ではありますね。
 
先行き不透明な時代。状況別のリスクヘッジ
 
杉:金融市場をみるとこの10年くらいでテロや災害、金融ショック等が増えたように感じます。寺岡さんはどんなふうに備えをしておくべきと考えますか。
 
寺岡:備えるためリスクを分散させておくということは大事だと思います。例えば、かつてリスク分散で海外の銀行に外貨で預金をしていた、そのお金で投資をして利益を得ていた‘タックスヘイブン’が問題となりましたが、オフショアの地域であれば納税の義務がないということは富裕層の間では当たり前のことでした。本来、節税ではなくリスクヘッジが目的かと。けれど国税の方向性もあり、海外資産からも税収を得たいという動きになっています。富裕層の方であれば納税するのもやぶさかではないと思うんですね。
 
日本がこれからどうなるかわからない、例えば自分の住んでいる地域が災害でどうにかなってしまうかもしれない。そしたらその時日本で場所を移るのか、海外に行くのか、という選択肢も出てきます。そういったことに備えるためのリスク分散ということは大事です。最近はそれがより顕著になってきた気がしています。
 
杉:証券だったり保険や為替だったり、そこに金も入りますよね。
 
寺岡:もちろん、間違いなく入ります。
 
 
’安定資産’と言われる「金」の価値とは
 
杉:ではマイナス金利の状況下ということも含め、投資の中で「金」の価値についてはどうでしょうか。
寺岡:実は、金は凄く重要なんです。というのは、唯一‘現物’なんですよ。それでお金のやり取りができてしまうということなんです。例えば、世界の過激派組織と呼ばれる人達は取引において通貨よりも「金」を好んだんですよ。ところが最近は、彼らの取引がダイヤモンドになってきているようです。理由は、小さくて軽い。彼らの特殊な事情ゆえですね。また、海外見た場合、金というのはものすごく重要で価値があると。
 
日本でも、いわゆる富裕層のお宅には金庫に金の延べ棒が入っています。一般的ではありませんが、皆さん「金」を買っていますね。田中貴金属さんのCMの影響もあるかもしれませんが一般の人がグラム単位で金を買うことが当たり前になり、現物資産として持つようになってきてお金だけに頼らない、これはすごく良いことだと思います。
 
杉:阪神淡路大震災の時に家がなくなり、債券は紙切れになり、金庫を掘り起こして中にあった「金」を売った、っていうニュースを見まして。一方、東日本大震災では津波で金庫ごと流れてしまっている。で、実は金ってシリアル番号を打ってあるんですけれど、その番号で個人を特定することはできないんです。だからETFという証書で持っていて、実際には保有しているという安心感を見直されてきたり。「金」は金利がつかなくてもその持っている安心感があるかと思うんです。
 
寺岡:この先「金」はもっとメジャーになるんじゃないですかね。
 
杉:小さいものから買えますからね。インゴットは1グラムからありますし。もっと身近になってくると思います。
 
寺岡:あと「金」は乱高下が少ない。不動産だとありますから、賭けになってくる部分もあるんですが、「金」にはそれがないですから日本人向きかと。日本人がお金を儲けられないというのは、下がり始めるとみんな怖くなって売ってしまい、上がり始めるとみんな買いますよね、わかっていてもみんなそうしちゃうんです。「金」だとそういった乱高下が少ない分、安心なのかもしれません。
 
杉:あと、「金」は取引が公平だと思います。先ほど過激派組織の話がありましたけど、ダイヤモンドのレートって実はあって無いようなものなんです。取引のニーズに左右されるので。「金」はそれが決められていますから、どんなでもグラムで買い取れますし。その公平性がやはり魅力かと。その点、土地とかになるといざ売ろうと思ってもすぐは売れませんしね。「金」だと固定資産税もかかりませんし。ところで巷では、デフォルトという危機も起こり得るのでは、と言われていますがどうでしょう。
 
デフォルトの備えには外貨分散投資も
 
寺岡:日本のこういう経済状態だと貨幣通貨の価値がなくなるデフォルトというのは考えられないことではないですね。実際に韓国は何年か前にそうなりましたし、そこから立ち上がり切れていない。ただ企業としてはそこから再生を果たして強いところはあります。サムスンとかLINEなんかもそうですね。今、日本でそれをやると大変なことになりますが、可能性がゼロではないので対策はしておいた方が良い、ということは考えられます。

杉:具体的に言うと、僕らのような立場ではなくて、一般企業にお勤めの方だったり、という方にもでしょうか。

寺岡:そうですね。やっぱり外貨で分散させる。もしデフォルトになったとしたら、1億円がキャッシュであったとしたらそれはただの紙キレですからね。それがもしいくらか外貨に変えていれば、その分は問題はないでしょうし。あとはゼロ金利なので、銀行に預けていても金利は付きませんよね。これがもし今オーストラリアの銀行にあれば、下がったとはいえまだまだ高い金利がつくので。

杉社長:そこもやっぱリスクヘッジですね。豪ドルだけでなく。

寺岡:当然、通貨はある程度持っておいた方が良いですね。「金」はデフォルトになっても関係ないですから、最近は資産を「金」に変えていらっしゃる方は多いと思います。

杉:田中貴金属さんも販売額が前年比でとんでもないことになっているようです。2011年は震災、金融危機等のニュースがあって多くの人が売りに来まして。で、先日イギリスがEUを離脱した時、買取店側は売りに来られる方が増えるかと期待したんです。ところがみなさん買いに走りまして。以前に比べ、お客さまの考えも変わってきてるのかと思います。

「金」の売買、鑑定あれこれ…

寺岡:おそらく今は、キャッシュ(現金)はあるんですよ、使わないから。それを「金」に換える方が多いのだと思います。ところで「金」で言うと、こんなものを売りに来た、といった面白エピソードはありますか?

杉:「金」の延べ棒だと今450万円くらいなんですが、2千万の茶釜とか。地方から数人で台車で仏像を持って来られた時にはびっくりしました。1億2千万円ほどでした。

寺岡:それは凄いですね!

杉:他にも仏具、御鈴。犯罪に加担してしまう可能性があるので、きちんと本人確認をさせて頂いていますが。

寺岡:確かに昔の田舎の仏壇って大きいですもんね。そこに必ず「金」の物ってありましたよね。「金」の仏さんとかあったりしたじゃないですか。で、相続の時にそれを売りに皆行くんですよ。

杉:多いのは金杯ですが、偽物が多いです。「24K GP」という刻印になると、金貼りだったり金メッキだったり。会社の周年記念のものが全部純金だったら大変なコストになりますからね。ほぼそう言った贈答品はメッキが多いです。売りに来られて、ガックリされて帰る方も大勢いらっしゃいます。

寺岡:やはり本物か偽物か、すぐに分かるんですか。

杉:もうすぐわかります、見た感じ、色、あと持った感じで。「金」は熱伝導が良く、電気を通します。と言う事は熱が直ぐに逃げるから、持った瞬間もうひんやり冷たいんです。持った瞬間にもわかるし、質量も重く、刻印にもしっかり刻まれていますね。判らないものはX線などで調べます。

中国経済の行方、中国にとっても「金」は魅力?

杉:中国の今後をどう思われますか。買取サービスは、海外販路がすごく重要で。宝飾品で言うと、今は、ほぼ中国とインドが大きな市場なのですが、直近では香港ジュエリーショーがありました。中国のお金持ちに売るバイヤーのハブの様な宝飾展覧会ですね。弊社は出店はしていないものの、共販企業に委託契約にて出品をしております。このジュエリーショーは日本の宝飾展よりも販売額が桁違いなんです。とは言えもそれがどうなるか・・・。

寺岡:中国は難しいですね。インドもそうですが、この2か国は相当に貧富の差が激しくて、お金持ってる人は桁違いに持っている。その人たちが今何するかっていうと、今まではたぶん宝飾だったと思うのですが、彼らもほぼ色々もう手にしたと思うんですよ。最近の中国では、新興のお金持ちが多く、国内や海外に家を持ち、高級車は中国が売れています。銀座のエルメスが中国人が一番多いですからね。なんでわざわざ銀座のエルメスで買うか知ってますか?

杉:銀座で買ったというステータスでしょうか?品ぞろえもアジア一とも聞きます。中国には卸さない商品もあるんですよね。

寺岡:そうなんです。ただそれだけではなく、皆が日本に来るのは、アジアでは銀座のエルメスだけが比較的フラットに商品を公開しているんです。海外のエルメスは売るのにお客さまのランクがあるから、ケリーにしろバーキンにしろ、お客さまのランクがあり、このランクのお客さまにしか売れないってのがあるんです。ビバリーヒルズでもそうですけど、全部公開はしないんです。VIPのお客さまが来たら、裏で見せる。エルメスの銀座が一番売れてる理由はそれなんです。

で、中国では、たぶん一巡はしたと思うんです。そうすると今度は、自国の通貨を彼らは信用していないので、海外通貨ですよね。と同時に、やはり現物だと思うんですよ。だから今後中国ではまだまだ「金」のニーズはあるかと。

中国経済と連動するオーストラリア経済

杉:一連の「金」の価格の流れを見ていくと、10~20年単位で見るとオイルショックがあったり震災があったりして変動しているんですが、1年単位で見ると2月は旧正月なので価格が上がるんですね。でも今年はそうでもなかった。2月と6月のジュエリーショーもそうでしたが、本当に良いものしか値段を聞いてこないんです。ダイヤモンドも少し質が下がったり、ルビーも少し色が悪いものもごそっと買っていったのに。景気が悪いのかな、と。

寺岡:目が肥えたのもあるんでしょうね。中国経済を見るのに一番わかりやすいのが、オーストラリアの為替の動きを見るんです。

杉:彼らが豪ドルを買い漁るということでしょうか。

寺岡:オーストラリアの経済が対中国だからです。だから中国が悪くなるとオーストラリアも悪くなる。だから今オーストラリアの金利が下がっているんです。オーストラリア経済を見ていると、中国の内情が分かってくる。だから今、状況的には少し悪くなってますよね。

杉:そうなんですね。ジュエリータウンである御徒町でも、中国経済が崩壊したら俺たちも危ないって人たちはいます。国内でもまだまだ勝負できる、逆に今がチャンスだっていう人もいます。弊社にとっては、エンドユーザーが一番高く売れるので、国内でネット実店舗を通じたチャネルフリーでの再販ができる体制を作れるところ、作れないところとで買取屋さんの明暗が分かれるのかなと思います。

寺岡:買取業って、最終的には「再販」ですよね。だから例えば、あれだけ大きくなった中古車のガリバー、買取業界では日本でトップになった会社ですが、買取が多過ぎた結果、会社の業績が悪くなった。それで今度は店舗売りをするようになり、伸ばしているということもあります。日本の状況だと店舗売りだけというのは厳しいので海外輸出をしているということもあり、今ガリバーはアメリカとかオーストラリアにも販売店が何店舗かある。そういった状況になってきているので、買取屋さんが海外に販路を探すっていうのは多くなってきていますね。

杉:ネットで世界中に売れるとはいえ、やはり店頭で手に取って、という安心感が必要なユーザーもいます。今弊社は一拠点でやってるんですが、先々まず国内に店舗を出して、将来的に大きくなれば海外にも店舗出すことは考えています。

先行き不透明な時代のリスクヘッジとは

杉:凄く先が読めない時代だと思いますが、リスクヘッジについてアドバイスはありますか?

寺岡:今回は「金」「保険」などのキャッシュの代わりになる物をメインでお話ししてきましたが今後、ご自分の資産を守って、増やしていくために必要なリスクヘッジはいかに有益な情報を手にするかだと思います。その情報は今の世の中溢れています、当然怪しい情報もたくさんある為、見極める事も大切です。ネットや新聞、雑誌記事、金融機関のセミナーなどなど多くの情報を得てそれを比較整理して自分なりの方針を決める事が大切だと思います。

杉:でも、なかなか自分なりだと偏るというか、正しいかそうでないのか、判断つかないこともありますよね。

寺岡:確かに、日本ではまだプロに相談すると言う文化、ましてやその相談にお金を払う(情報を買うと言う事)習慣がまだまだ少ないです、海外ではすでに個人の方でも自分の資産の相談が出来るプロをお持ちの方が多いのでそこは日本の遅れている所かもしれません。

ただ、10年前に比べて日本でも情報にお金を払うと言う考えが少しづつ増えているのでこれからの日本のお金に関する考え方も変わってくるのかもしれません。そして、そのお客様に対して私たちはより正確で明確な情報を集め、提供して行く事がお客様からの信頼も得てより良いサービスを提供できるものだと思います。

杉:そうですよね。私たちのサービスでも、幅広い情報をお客さまに届けていきたいと思います。

 

お客さまに選んでもらえるサービスをするために

寺岡:最後に。杉さんは、お客さまへのサービスや大切にされていることはありますか。

杉:やはり価格が一番重視される商売なので、どんなに良いサービスでも買取金額が安かったら見向きもされないのですが、価格プラスで感じていただけるところがあればと。これだけ買い取り業者が台頭してしまっていますので。ネットだと対面するということがないので、対面と同じくらい、それ以上にお客さまのとのつながりやプラスアルファを感じて頂ければと。チャットやLINEだったりのサービスが派生したのもそういう理由なんです。‘価格+α’、というのを伝えられればと考えています。

寺岡:弊社は基本的には全く真逆なんですよね。全て対面ですし、ほぼ紹介。逆に一見さん受けないんです。

杉:というのは?

寺岡:法的な部分もありますし、諸々お客さまのためを思うと、ここまではやらなければならないってのはありますよね。それを一見さんにやってしまうと同業者さんからも嫌がられてしまうし、士業の方たちと一番絡むので、その問題もあります。ですので、今のビジネスモデルでは大きくなる、とは言えないんですけどね。

で、お客さまを絞っていくことを考えるんですが、それだけだとジリ貧になってしまうので、ネットであったり一般向けの保険のセミナーであったりと差別化していく。これだけ競争も激しくなっていますから。最終的に保険は銀行が販売するかと。それで代理店は要らないという世界になってくると思うんで、それに対応するためにはお客さまを絞っていく。その中でやっぱり一番重要視しているのが弊社の重要視するところですね。『弊社と付き合っててよかった』とか『最後までうちと付き合いたい』という方が良いって言ってくれる方がいることが良いと思うので。だから多分、考えること考えることすべて細かいんですよ。先回り先回りで考えるので。そこがやっぱり一番大事なのかもしれないですね。どうすればお客さまが喜ぶのか。

杉:お客さまが何を考えてるか、何を欲しているかっていうのを先に知っておき、そこをホームページで解消してあげると言うのも弊社はいつも考えています。「Yahoo知恵袋」などの質問サイトを読みとって、良くアイデアを練り出す事もします。

寺岡:どうやってリピーターを獲得するかってのが胆ですね。ちょっとしたことだと思います。例えば飲食業って、いいところと悪いところの差が激しいじゃないですか。で、良いところは一日に何百万って売上あげるとこもあれば一日に10万円もいかないところも沢山あります。そこの違いは何かというと‘イメージ’なんですよ。味って正直そんなに変わらないと思うんです。イメージづくりで美味しいと感じてしまう。それはもうメンタル的なものだと思うんですけど。

杉:イメージですか。

寺岡:イメージですね。だからそこはブランディングをして作り上げていくのが必要かと。ネットでもそこで何か一つ工夫でもあると印象も変わってきますもんね。

杉:弊社はまだ小規模な会社ですが、買取サービスと言う大きな波に6年前から乗り、今はリピーターを増やしていくこと、イメージを良くしていくこと、そしてお客さまとのエンゲージメント(繋がり)をどうやって高めていくかと言ったフェーズになったと考えています。

寺岡:ネット系の会社でも、アッパー層のお客さまだけは対面で接客を行うところもあるようです。差別化されることが嬉しいってこともあると思うんですよね。

杉:寺岡さんはずっとセールスをやってこられているだけあって、お客さまを掴むこと等、本当に勉強になります。

寺岡:車の時からのお客さまで、25年以上のお付き合いになるお客さまもいらっしゃいます。商品が変わっても、付き合っていただいている。杉さんにも創業からのお客さま、いらっしゃいますよね。

杉:そうですね。創業当初からお付合いが有るのに会う事が出来ない遠方のお客さまもいます。そう言った顔の見えないお客さまへのサービスを工夫する事の‘プラスα’についてはどんどんブラッシュアップして、買取店の中でココにしかないと言われるような「選ばれるサービス」にしていかなければと思います。

 

ありがとうございました。


PROFILE
 

 

 
杉 兼太朗 寺岡 洋
Kentaro Sugi Hiroshi Teraoka

1977年東京生まれ、ラウンジデザイナーズ株式会社代表取締役。長くやって来た建設業から独立起業。2011年の金の高騰に伴い本格的に宝飾品や服飾品の買取サービスを展開。店舗展開せず1拠点で宅配サービス中心に全国からの依頼にて買取を行い、ネット販売中心に全世界へ販売する。代表でありトップバイヤー。昨今の「高価買取!」ではない、”価格プラスアルファ”をモットーにサービスを展開する。

1966年神奈川県生まれ、ティーイーシーコンサルティング株式会社代表取締役会長。輸入車インポーターから外資系生命保険会社に転職、2002年に保険代理店として独立、その後、証券仲介業、不動産などを含めお客様のお金に関わる悩みの相談業務がメインとなる。会社の目指すところは一人一人のお客様と末永くお付き合いの出来る会社になる事。

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2016/10/13


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