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■ CREATIVE #05

ものづくり&ブランディングのムーブメント vol.3

僕達のブランディング考
渡利氏:ブランディングってね。ボク最近腹立つことあるんですよ。

よくFacebookとかに、ブランディングならこちら!って書いてあるんです。でもやってることって、グラフィックだけ。それってブランディングなん?

ゴトウ氏:結局かかわり方ですよ。

渡利氏:でもそれってブランディングって言っちゃってるんでしょ?

ゴトウ氏:まあね。作って終わりってことしちゃうと、たいしたブランディングを構築できないですね。

渡利氏:ブランディングの安売りじゃないですか。

ゴトウ氏: そうですね。よくロゴ1個なんぼっていう単発でやっちゃうと売りやすい、分り易いんですけど、結局自分の価値を下げることになる。

ブランディングって継続して計測していかないと構築できないんですけどね。大手になるとシーズン毎にどういう手を使うかとか、どう浸透させていくかを見ていかないとできないですね。

渡利氏:グラフィックの場合、ブランディングはロゴマーク、プロダクトだと、共通した造形原語を作りましょうとか、そういうレベルですよね。ただマークつけたらブランディングかというのは、出直して来いって感じじゃないですか(笑)

ゴトウ氏: そうですね(笑)

渡利氏:そういう意味で、このブルーオーバーは、何を持ってブランディングかというと、いろんな解釈があると思うけど、たとえば革のパターンとか、素材の違いもあるけれど、それだけじゃダメで、そういう小さい積み重ねが、結果的に他社がマネできない要素ができあがる。

ゴトウ氏: 結局、判り易いところじゃないですからね。

渡利氏:そう、見えないところにいかにどれだけ入れるか。しかもコスト的にも仕様的にも全部バランス良くできて初めて他社にできないものができる。それが突拍子もないしかけだったら継続できない。

ゴトウ氏: イロモノになる

渡利氏:そう、イロモノ。しかも、それがベーシックでスタンダードだけどちょっと違うとなというところに行き着いたら、「やったな俺」ですよ(笑)

ゴトウ氏: 難しいですけどね、実際(笑)

渡利氏:でも、要求されるじゃないですか。それってお金出して出来るもんじゃないんですよ。100万あげるからやってよなんていうレベルじゃない。

ゴトウ氏: そこに生活をどこまで賭けられるかということですよね。お金貰ってやるなら、単発で終わる。そこの自分がやったという別の価値がないと、ということですね。

渡利氏:ブランディングをやってくださいって言われて、はいわかりました。ってできないと思うんですね。やっぱり相手との関係性って重要だし、少しづつそこの会社の内部を知っていって、どこにポイントがあるのか、どれを変えれば良いのかを理解しないとできないと思いますね。

ゴトウ氏: ウィークポイントもストロングポイントも理解して、見えてない部分を本人たちにどこまでさらけ出してもらえるかですから、そこがないと、結局新しいものにならない。

今とどう違うの?ってずっと空回りしてしまう。ブランド構築は端的にできるものではないですから。はい、できましたって言っても、1ヵ月後に結果でるかと言ったら評価しにくいものがありますから。

渡利氏:そうですね。これでいえば、何が効いてるのかといえば「シンプル」「国産」となるのかな。

ゴトウ氏: ですね。ブランド構築の面では、「シンプルだからこそある個性」という「絵と言葉」。それを今後どう浸透させるかなんですね。

つまり、モノと制作物がいろんなとこに繁殖していくことがブランディングになる。

渡利氏:そういう風に考えると、やっぱりボク一人では行き着いていなかったでしょうね。そういう意味でもブランディングってチームで動かないとできないですね。

ゴトウ氏: ブランドを触媒として広げていくにはやはり継続で、それには渡利さん自身の進化が必要だと思うんですけど、そこんとこ次の一手はどうなんですか?

渡利氏:次の一手。。それはありますよ。ボクはあとは人。ボクはものを作れるけど、人は作れないしね。ものを作って動こうとしてる人たちって、やっぱり自分を表現したいと考えてるはず。そうした仲間を増やすことかなと思ってますね。

ゴトウ氏:ブルーオーバーというフォーマットが出来上がれば、そういう人たちを入れて動かせるし、全く別のフォーマットで動かせるといったチームもできますね。

渡利氏:企業に対抗する作戦練るっていうかね(笑)
ゴトウ シュウ
アートディレクター
グラフィックデザイナー
 
1979年 神奈川生まれ。2006年 株式会社コンピュータ・コントロールを設立。 アートディレクター兼グラフィックデザイナーとして、企業のブランディングから広告制作までのトータルで関わり、クライアントは大手PCサプライメーカー、アパレルメーカーなどを手掛けている。近年はセレクトショップ「WHO'S WHO gallery」のロゴや店頭ツールなどのVI制作から商品グラフィックまでを担当し、単なるグラフィックデザインの枠を越えた関わり方を行っている。その他にもアンティークショップ「70B ANTIQUES」など個人・企業にこだわらずにクライアントと共に、常に新しいブランドの在り方を模索しています。

株式会社コンピュータ・コントロール
HP: http://www.computercontrol.jp/
渡利 ヒトシ
プロダクトデザイナー
京都造形芸術大学 非常勤講師
 
ものつくりの現場と販売メーカーの繋がりを重視した取り組みで製品開発をおこなう。家電、スポーツ用品などの工業製品の企画、開発、デザインから量産フォローまでトータル的なサービスを展開。2011年 スニーカーのブランド「ブルーオーバー」を設立。国内生産を軸に新しいものつくりのあり方を見つけてゆこうと、デザインという範囲での活動ではなく、生産から販売プロモーションを行い、関西の製造業の方たちと連携して関西の経済に活力を与えたいと考えている。

ヒトシワタリデザインスタジオ
HP: http://www.watari-design.com
撮影:菅野 勝男/取材:2012年6月

2012/06/19


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