■ MANAGEMENT #06

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■ MANAGEMENT #06

ビジョンを組み立てる「感性」と「理論」 vol.3

理論と感性~手法の違い
吉見氏:たとえばこれだけは譲れないという基準ってあります?

石原氏:うーん、どうしたら売り上げが上がるか、対策を教えてって言われることもありますよね。もちろん聞いて何かできることはあるけど、いじわるするつもりはないんですけど、そんなの聞いて本当にやるんですか?って言うんです。たぶんそういう聞き方してくる人ってやらないんですよ。

僕らがダマされちゃいけないのが(笑)、教えてくださいって言ってきて、アドバイスしても、いや、それはどうのこうのって言ってやらないんですね。じゃ聞くなよって(笑) 

三ヶ月くらいで売り上げ倍増にしてくれって言ってきても、その後どうするのか考えてなければ受けないですね。僕の言うことも聞かないでしょう?って。

吉見氏:言うこと聞けっていいます(笑)?

石原氏:いやそんなこといわないですけど、本当に聞いてくれるならやりますけど、そうじゃなくて、こういう課題があってこうしたいとか、こういうふうに考えてるんだけどどう思いますか?という話なら、ですね。それが本来の姿だと思うんですね。

吉見氏:僕たちって結果的に言うと何もできないですからね。答えは必ずクライアントの中にあって、それをどう引き出せるか。最終的にはアドバイスしかできない。行動するのはその人自身ですから。

石原氏: 戦略と戦術を考えていくわけで、広告とかちらしをどうするとか、WEBやキャッチがどうとか、そんな事よりもっと根っこの部分。どこで、誰に、どうやって売るのか。そのためには今何をするのか。そこを考えてないケースが多くてそこに戻すように詰めますね。

吉見氏: ああ、それって理論に戻す感じですか?

石原氏:ええ。そこが決まってないのに、たとえば魚がいないところに連れていって、社員に魚を釣ってこいって言っても無理ですよね。戦略を考えるという意味です。

吉見氏: ぼくは理論よりものせまくりますね。(クライアントが)一生懸命自分で考えたんだけど、よく考えられたケースほど、企業側の立場になっていることが多くて顧客の立場になってない。そこをどう気付いてもらうかなんですが、まず「よく考えましたねー!」っとのせる(笑) で、まず行動してもらいます。

石原氏:僕は先に行動させないなあ。

吉見氏: 確かに理論で納得したい人は石原さんとこへいきますよね。僕の場合感覚的な人が来られることが多いかな。行動というか、失敗を経験した上でゴールへ導いていくというスタンスかな。

石原氏:今吉見さんと一緒に組んで塾をやってるけど、人が集まってくれてるのはそこですね。半分は石原の理論を心地よく聞いてくれてるけれど、それだけじゃ集まらなかったでしょうね。あとの人は吉見さんの感性を嗅ぎ付けて来られてる(笑)

吉見氏: 僕はどっちかというと長島タイプなんです。パーッと来て、グーンっと振って、カーンって打つんよーって言えば、「ハイっ!」って(笑)

でもそれだけじゃ当たらないじゃないですか。そこで自分がうまくいってる姿をイメージしてもらう。それができるようになれば、うまくいかなくなってもあまり後ろ向きにはならない。

石原氏:僕のクライアントにも感覚的な人も結構いますよ。自分が感覚的だから逆に理論を求めてくるんでしょうね。

吉見氏: ぼくは逆に理論的な人は来ないですね(笑)。その人が楽しいと思えるスタイルで進めていきたいから、苦しかったり向いてないやり方よりも、楽しみながら気が付いたらステージが上がっていたというのを目指してます。でも僕も理論は持ってるんだけど、理論を言うと「なにマジメなこと言ってんの?」って違和感あるみたいです(笑)

石原氏:そうそう、吉見さんに来る人はそういう感じですね(笑)

吉見氏: ぼくのモット-は、楽しく面白く経営をうまく乗せて行くというスタンスだから感覚的でいいんですよ。でもいろんな理論の勉強もはたまにいれるんです。つまりはバランスかな。

石原氏:たまに理論も入れるんですか?組み立てたりするとか?

吉見氏: ええ。でも僕はその人に合ったやり方をカスタマイズしますね。この人は最初に理論から入って、後から行動してもらうとか、理論より先に走ってもらうほうが良いなと思う場合は、ビジョンを書いたらとにかく走ってもらう。

人の性格によって引き出せ方が違うから、走りながらゴールの焦点を合わせていく人と、止まってじゃないと焦点を合わせられない人がいますし。

石原氏:そうなんですね。僕はいつも誰にでも同じですね。基本はこれですよとお伝えして、とにかく一回これでやってみましょうと。ある意味教科書どおり。

一回基本をやらないと戻れなくなる。感覚でやられちゃうと修正が効かないですし。基本をやるからどこに行ったかわかるのでパターンは変えないですね。たぶん僕のクライアントさんが全員集まっても、同じだと言うでしょう。そこ(基本)は要らないから早く売り方教えてって言う人は、僕のところには来ない。

吉見氏: ぼくのはきっとスポーツのゲーム理論でいうと、現場でまずやってみて自分で掴むというやり方。でも基本的な理論を重視するやり方もある。

スポーツも一人では絶対成功できないですから、同じように応援者やまわりの環境をいかに自分がつくるかということが重要。最後は自分に合ったやり方をじゃないと変われないし続かない。そこは誰がコンサルしても同じだと思いますね。
吉見 淳史
経営コンサルタント
株式会社FPサポート関西

1973年兵庫県生まれ。関西大学卒。積水ハウス株式会社にてコンサルティングハウジング営業に従事。2008年10月に株式会社FPサポート関西設立。FPとして個人のライフプランに基ずく総合資産管理のコンサルティングから、住宅購入相談、リフォーム相談、セミナー・講演活動など幅広く活動。FPの普及・育成に努め、学生・一般消費者への金銭教育にも力を注ぐ。

株式会社FPサポート関西
HP: http://www.support-kansai.jp/
FB: atsushiyoshimi
石原 尚幸
経営コンサルタント
石原ファイナンシャルプランニング事務所

1973年愛知県生まれ。上智大学卒。大学卒業後、石油元売り会社である出光興産に入社。ガソリンスタンドを経営する特約店さんのコンサルティング業務に従事。激戦の中生き残るために特約店さんと正に油まみれになって奮闘する。関東赴任時代には担当特約店さんが最大2億6千万円の赤字見込みとなるが、わずか半年で黒字化させ、見事にV字回復を果たす。同事例で出光興産社長賞受賞。独立後は出光時代に叩きこまれた経営の本質を見極め改善するスキルとマインドを生かし、『社外にいながらもNo.2』という独自のポジションとして社長の右腕となり、クライアントの収益改善に日夜奮闘している。

FB: naoyuki.ishihara
撮影:菅野 勝男/取材:2012年7月

2012/07/04


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