■ FINANCIAL #01

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経済の流れを読む「金融知力」_interview

―――今回、証券会社から仲介業者へと日本初の業態転換をされましたが、このスキームを他の証券会社にも提供していこうとお考えでしょうか。
仲川氏:今多くの金融機関や証券会社が、今後どういう戦略でやればよいのか非常に悩んでいます。そこで我々の成功したモデルをお伝えするなりコンサルしていくことができれば、証券会社自身もそこに従事される従業員の方の雇用も守れるし、また新しい雇用の創造にも繋がっていきますから、ぜひ広げていきたいと思っています。啓蒙活動というよりコンサル的な活動を行っていきたいですね。
―――今後業界にこのスタイル(業態転換)が多くなれば、御社の競合を増やすことになりませんか?
仲川氏:弊社は本質的には証券会社のコンペティタではないと思っているんです。従来型の証券会社は金融商品を売買していただくところに収益の多くの部分を依存していますが、弊社ももちろん金融商品も提供していきますが、それはワンオブゼムであって、お客様の資産を増やしていくためのツールの一つです。

例えば100万円を預けてもらって株を買っていただいて、100万が200万にして100万増えましたというのを目指すのですが、これは不確実性が高いですね。残念ながら過去数年の相場環境を見れば、100万が200万になるよりも、50万になるほうが多かったのが現状です。

他方、相続対策等のご提案などで、例えばもし対策を講じなければ税金で100万円の支払いが生じたけれども、対策を講じた結果100万円の支払いが回避できたとすれば、金融商品の運用で100万円の資産増があったことと、相続対策などで100万円の節税ができたことは、お客様から見れば100万円の経済的利益を得たということでは、経済効果は同じです。

証券会社にすれば、お客様が損をしても、売って買ってしていただかないと収益が出ませんからそこはやりません。金融商品の売買手数料は利が薄いものですから、薄利多売で如何に回転するかと躍起になってしまうんです。回転してお客様の資産が増えていくならいいんですが、多くはそうじゃない。そうした収益の源泉のところが全く違っているんです。
―――いろんな相談を請け負うために、全国のファイナンシャルプランナーさんや会計事務所さんと組んでおられるということですが、今後はその他いろんな業種の方々とパートナーを組んでいかれるのですか?
仲川氏:そうです。これまでは「ノウハウ」の時代。つまりいろんなノウハウを蓄積して、そこに付加価値があったんですが、今これだけ社会の環境の変化が激しくなってますから、今日ノウハウを蓄積しても、制度が変わったりして陳腐化するのも早い。

そこに一生懸命になるよりも、餅は餅屋に任せるほうが結局お客さんのためになりますから。ノウハウではなくて、ノウフウ(KnowWho)だと思っています。お客様が相談を投げていただいたら、適切に解決する専門家(WHO)に繋げますので、もっとさまざまにご活用いただけるように、ネットワークは広げていきたいと思っています。
―――最近は他の業界でも、そういったネットワークを活用してのプロジェクト型を推奨していこうという動きがあるようです。
仲川氏:ええ。その動きはありますね。ただ、多くの場合お互い利用してやろうという思いがあると失敗するんです。じゃあ提携しましょうというところまでは良いんですけど、先に何か案件ちょうだい、ってことになる。お互いがそうだと結局敬遠してることが多いですね。

弊社の場合はパートナーとして提携して頂く際に、どれだけベネフィットを相手にご提示できるかが先決だと思っています。先義後利ですね。
―――事業承継の場合、ご本人と後継者のどちら側からのご相談が多いですか?その間に立つ専門家というのは、どういった職種の方にあたるんでしょうか。
仲川氏:ご本人と後継者、両方のケースがあるんですが、親父さんは自分でも考えているんだけど、「まだワシは元気だから今息子に任せると甘えてしまう」と思って言えなかったり、息子さんのほうも「親父にはがんばって欲しいんだけど、いざというときのためにも、今やっておかないと」と思ったりの双方言い分があります。

当人同士で話ができればそれで良いんですが、往々にしてできない。どっちかが言い出すと喧嘩になってしまう。そこでショックアブソーバになるような第三者が入って、「お父さん、今からやっておかないと、大変なことになりますよ」と話せて、息子さんには「お父さんはこう思ってるから、ちゃんとこういうふうにやらないとね」と間に入る人が必要になりますね。

それが誰になるかというと、会計士さんへ相談されるケースが多くなりますが、コンサル機能を持つ会計事務所がその役割をされています。
―――会計士さんもファイナンシャルプランナーさんも、相続を専門にされている方はまだ少ないとお聞きします。税の対策だけでなく、会社の事業環境なども含めたコンサルが必要では?
仲川氏:税理士事務所や会計事務所でも、相続には弱いというところは実は多いです。ファイナンシャルプランナーさんも相続は得意でない場合が多い。一番大事なのは相続の相の字が「想」の想続、つまりは相続される方の想いをどう伝えるかいうことを組みこんだ相続対策をしてあげることが必要です。

日経新聞でも毎週のように特集や記事が掲載されていることから、今非常に話題になっていますし、国も税収が上がらないから相続税で取りに行こうと国策としてやっています。

現在の相続税の基礎控除が5,000万円+法定相続人の人数x1,000万円、それが3000万に変わるとなれば、普通の一般家庭の親2人子2人の4人家族で、土地と一軒家をもってる位の、今まで「うちはそんな資産なんて無いから関係ないよ」と思っていたところも対象となります。資金が無いとなると不動産は分けれないので、結局困ったことになるケースは必ず出てきます。

会社でも事前に対策をしていないと大変なことになる場合もあります。中小企業でもオーナー企業の場合は、個人のお金を会社に貸付ている場合が多いですから、会社は順調だったのにオーナーが亡くなった後、貸付金額が大きくて会社が傾いてしまったといったケースもあります。そういう事例は日常茶飯事的に起っているので、やっぱり相続対策は企業のためにも必要なんです。
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2012/07/04


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