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逆発想で安心を増やす投資とは vol.3

安心というベネフィット
仲川氏:下がるのが怖いから買わない。または買おうと思ってるけど、まだ下がるんじゃないかと不安になり、タイミングを迷っているうちに逃してしまう。

結局、値段が上がってきたところで買ってしまう。その迷いがなくなるということですね。あと「スピード回復効果」「リバウンド効果」ってどういうことでしょう。

星野氏:「スピード回復効果」とは、どんなに値が下がっても、ある程度戻ってくれば黒字化するので、損をしている時間が少なくて済むということです。

「リバウンド効果」とは、リバウンドという言葉に少しネガティブなイメージがあるようですが、この場合下がっても、元値に戻るだけでも利益がつくということです。

仲川氏:これも一時金で買った場合、下がった後、買値に戻ればプラスマイナスゼロですが、「つみたて投資」の場合、買値に戻ればコストが下がってる分プラスがでると。そこはとても重要ですね。

多くの場合、値下がりすると、もうこれ以上損したくないという意識が働いて、我慢できず損が小さくなった時点で売ってしまう。本当は増やすために投資したのに、いったい何をやってたんだろうと思う投資家の方って多くないですか。

星野氏:多いですね。気持ちはわかりますけど、やはり投資家って不安になると思うんです。たとえば仲川さん、焼き肉で大好きな「カルビ」がスーパーで、1円で販売されてたら買います?

仲川氏:1円のカルビ?買わないですね。なんか危なそうですし(笑) 

星野氏:ですね。また、すごい巨大ビルが1週間でパーっと出来てしまって、家賃が無料だったら入居します?

仲川氏:入らないです(笑)

星野氏:そうですよね。これまでの投資関連・金融業界が発信してきた情報メッセージって、「これは儲かりますよ」とか、「コスト率いいですよ」といった、経済的ベネフィットの情報ばかりを発信してきたと思うんですよ。

実はその前提にある「安心してできる」とか、「ストレスなくできる」といったメンタルな話は一切しない。

人間っていくら経済的なメリットがあっても、安心できないことはやらないですね。やはり「安心感」を先にグリップすることのほうが必要なんじゃないかと思うんです。

仲川氏:なるほど。わかりやすいですね。まさに1円のカルビとか、無料のオフィスという経済的メリットだけだと、逆に疑ってしまいますね。

いかに経済的ベネフィットがあっても、裏側のリスクや不安が勝っていれば行動を起こさない。投資も同じで「これくらい儲かりそうだ」という話をきいてても、逆に倍ほど損しそうだったら動かない。それが逆の発想になるんですね。


星野氏:やはり儲かるという話より、安心してできるということが「つみたて投資」の特徴です。

仲川氏:「安心」というのは、投資や金融業界に限らず、共通のキーワードのような気がしますね。

「ストレス抑制効果」も同じ。投資って多くの人は買った瞬間から、毎日ストレスですよね。アメリカの雇用統計がどうだったとか、経済資料はどうだったとか。それによって上がるのか下がるのかすごいストレスですけれど、「つみたて投資」は自動的に行いますので、ほとんどストレスフリーというか、それに近いかたちになるんですね。

それによく、ここが売り場だとか買い場だとかにすごく必死になりますが、チャートを見たり、過去の経験則に基づいてタイミングに四苦八苦しても、残念ながらほとんど当たらない。

星野氏:1回で買う場合、その時の値段で全てが決まるから、そこにこだわってしまうのはよくわかりますが、「つみたて投資」の場合全く違って、たとえば10年間毎月こつこつ買っていくとした場合、10年で買うタイミングが120回あります。つまり、いつスターとしても良い。それがタイミングフリー効果と呼んでいます。

仲川氏:「つみたて投資」は時間分散だと言われますが、予測はできないけれど、買う機会が多くなるほどハッピーにあたる確立が多くなる。1回で買うよりも効率的だと言えますか?

星野氏:つみたての場合、少し高いところを買いますからどちらかというと統計的に見て非効率かもしれないですね。

お金を持っている人は1回で買うほうがずっと効率は良い。その代わり値下がりの不安と付き合わなくてはいけないですけど。

仲川氏:トレードオフの関係ですね。

星野氏:ええ。ストレスかけたくないという方は、多少効率は下がるかもしれないけど、預金よりは有効な資産運用のやり方としては、非常に魅力的かと思います。

仲川氏:「つみたてゲーム」って、具体的にどんなゲームなんですか?

星野氏:投資の人生ゲームのようなものです。サイコロをふってカード引く。実際の投資信託がいくつかあって、「つみたて投資」の疑似体験ができるんです。

仲川氏:その価格の変動を毎回数値化して成績を競うようになってるんですか?

星野氏:そうです。実際のモデル商品に投資を積んで、途中で下がってもメリットになることを体験してもらうためのものです。

これって日本人だけじゃなく世界の人も知らない内容なので、アメリカのフィナンシャルプランナー協会へのPRしています。イギリスでは企業年金の6割が401Kという背景もありますし、アメリカで評価を得られれば世界に波及していくのではと考えています。

仲川氏:なるほど。ぜひ日本の投資家のためにもがんばってください。
星野 泰平
株式会社 Tsumitate Style
代表取締役
 
1981年生まれ 埼玉県出身。信州大学経済学部卒業 。日本インベスターズ証券に役職員3位の株主として資本参画。現在、Tsumitate Style代表取締役、社団法人世界つみたて投資協会代表理事。自身と同じ20~30歳代が少額から取り組める「つみたて投資」の研究に従事。世界の若者の資産作りに貢献し、TSUMITATEというキーワードを世界に広めたいと世界を駆け巡る。



HP: http://yasuhoshi.me
FB: yasuhoshi
仲川 康彦
ひびきフィナンシャルアドバイザー株式会社
代表取締役副社長
 
1966年京都府出身。近畿大学法学部経営法学科卒。日本インベスターズ証券(NISCO) 取締役・IFA事業部長、SBI証券 顧問兼IFA部長等を経て現職。過去10年弱に渡り一貫して、金融機関に属さないお客様の立場に立った会計事務所や保険代理店、ファイナンシャル・プランナー等と協調する金融商品仲介ビジネスに従事し、投資家の”金融知力”向上のための啓蒙活動を、全国のパートナーと推進している。

ひびきフィナンシャルアドバイザー株式会社
HP: http://www.hibiki-fa.co.jp/
撮影:菅野 勝男/取材:2012年9月

2012/09/13


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