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■ CREATIVE #07

人が集まる/人を集めるプロジェクト vol.4

―――街のアイコンにしたいということで、掲載する広告主の企業コンセプトや広告デザインも、このプロジェクトと相まっていることが必要になるかと思いますが、媒体としてどういったところを目指しておられますか?
佐野氏:媒体として目指しているものは、やはり共通意識を持って頂くことです。たとえば大企業が広告を出してくれることが僕の中で一番の理想で、大企業の広告を掲載することで、自分たちはこうした企業と一緒に解決しているんだという共通意識を持ってもらえたら良いなと思っています。

ゴトウ氏:海外では個人が普通に新聞広告を出す文化があって、それと同様に地域の町内会でこのゴミ箱を持つというようなプレーンな流れになれば、受容性も高いと思いますね。大企業だけがすべてじゃないと思うので、そこにフォーカスできるほうがいいかなとは思います。
江口氏: このクロスポストという名前を決めたときもいろんなアイデアが出たんですけど、その1つに「捨てる得る」という言葉があったんですね。

使用者がゴミをちゃんと分別して捨てるという責任を取った後、得になる情報が得られるようなコンタクトの仕方もできるんじゃないかと。ゴミ問題だけでなくても、設置する場所との関係性を出して、もっとオルタナティブな、自由な感じででいいんじゃないかと思っています。
―――皆さんは一緒にこのプロジェクトを組んでおられますが、それぞれ他のプロジェクトにも関わっておられます。皆さんにとって、プロジェクトを組むということは何ですか?
江口氏: そのプロジェクトに身半分を入るか入らないかは、客観視して共感できるか尊敬できるかどうかですね。僕も仕事は必要ですが、社会的に意味がなかったり共感できないことはやっぱりできない。

これは僕自身の中のデザイナー像かもしれないけれど、デザイナーって社会的リテラシーが高い存在でなければいけないと考えています。

自分自身が成長できるところには入らせてもらう。「クライアント」というより、一緒にビジョンを見てるメンバーのような感じですね。

ソーシャルメディアでどんどん繋がっていくということもあるんですが、佐野さんが僕のブログを見てこうして繋がり。一緒にできるというのは、ある種そういう時代なんじゃないかな。

ゴトウ氏:いろんなスタートアップと呼ばれるプロジェクトを見てて、人が参加するプロジェクトとそうでないプロジェクトの違いがわかってくるんです。

ファウンダーと呼ばれる発起人の人たちの想いに、「お金になる」ではなくて、「こういう夢があるから実現したい」という推進力を感じられるかどうか。

江口氏: それは重要かもしれないね。
ゴトウ氏:「お金になる」で集まると結構途中で分解してしまうことが多い。「こういうことがしたいんだ。これを叶えるとこうなるんだ」というビジョンがあって、それに対して現実的にどうするというところをデザイナーは解決する、という方がうまくいってますね。

「これはお金の匂いがして儲かると思うでしょ」というのはお金しか繋がりがないので危険度が高い。

江口氏: わかるわかる(笑)

ゴトウ氏:長い付き合いのクライアントさんに聞いた話ですけど、「仕事で組む人とは、まずビジネスでない場所で会う。

なぜなら短時間では人は騙せる。自分の弱いところをさらけ出せる人じゃないと怖くて一緒に仕事はできない」と。

江口氏: あーなるほど。
ゴトウ氏:それに、「あたりまえのことを言うひとは怪しい」(笑)。面接の話で面白かったのが、今の学生は皆「サークルのリーダーやってました」って言う(笑)

江口氏: あはは。そんなに沢山サークルないでしょ(笑)そんなテンプレート化された回答もらっても、何も入ってこないよね。 ちょっとこの人クセがあるなというくらいのほうが印象が残る。

ゴトウ氏:やっぱり自分の考えを持って、マイナスのところも弱いところも見せられるような人に魅力がある。まずそういう魅力的な人がいるかいないか。それがプロジェクトに参加する人の数だったり共感できる人を巻き込める力なんじゃないかと思いますね。

江口氏: 重要なのが、根本の部分で一緒の方向を見れるかどうかですね。
―――プロジェクトで組んでいる仲間同士で、途中でベクトルが違ってきた方がいたとしたらどう調整されますか?
ゴトウ氏:見ている目線がずれているけど、芯は間違ってないとしたら「それはそうじゃない」と引き上げることはできると思う。

逆に向こうから「それは正解じゃない」という答えをもらえることもあるんです。実は自分が間違ってるかもしれないという。

いろんな手法を学んだりする上でわかったことだけど、デザイナーはあまり自分が正しいと思わないほうが良い。

それって、クライアントやユーザーが正しいことも存在することも知って、客観的にちゃんと見れていないと、デザイナーは自分の作品作りに走ってしまう傾向がある。いかにそうならないように見極めていくか。

江口氏: そこを話し合える関係性を築けるかというのが重要ですね。
―――佐野さんのように何かやりたいと思う若い人が、先輩達に協力を要請することについてどう思われますか?
江口氏: 20代後半って選択のタイミングというか、自分が納得できる仕事をやるスイッチが入る時期かなと思うんですね。

本気なら絶対やるべきですし、こういう時代だからいろんな人に声出していけば一緒に出来る人が必ず見つかる。

ゴトウ氏: 結局なにごとも、やらなかったら後悔すると思うんです。いろんな人を巻き込める時代でもあるので、そこで臆病になっている意味がない。

マネタイズも今はいろんな収益モデルベースが存在していますけど、今から既に存在する収益モデルに乗っても難しい。ニッチな市場に挑戦して尖ったものを作るところを目指してほしいですね。

その尖ったものを考えた人には、僕等デザイナーは協力するし成立させたいという想いも積まる。逆にどこにでもあるものに協力したいという人はいない。
江口氏: 人のトレースをしないって、たぶん道なき道を行くことだから大変かもしれないけど、そういう人にはデザインの協力というより、ぜひ一緒にやりましょうよ、ですね。

佐野氏:確かに勇気は要りましたけど、自分の考えを受け止めてくれましたし、知らない世界を教えてもらえることはすごい勉強になります。でも実際、大海に飛び込むような気持ちでしたね。何度か帰ろうと思いましたから。怖くて(笑)

ゴトウ氏:でしょうね(笑)

佐野氏:えー(笑)
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2012/10/09


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