■ ADV(アドボカシー)な人々 #03

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フィーノ株式会社代表 鈴木孝枝 「いまのきもち」 vol.3

片岡氏: すごいぶしつけで率直な質問なんですけど、3つ聞いてもいいですか。まず大企業に入った人にとって、その会社で偉くなるにはどうしたらいいか。コツのようなもの(笑)

それから今からちょうど就職活動の時期が始まると思うんですが、就活している子って、どうしてもとっちらかるじゃないですか。ネットで良いも悪いも全部100社くらい申し込んでもダメだったとか聞きますけど、彼らにとってどういう就活がベストなのか。

もうひとつは女性にとって働きやすい環境について。職場によっていろいろあると思うんですけど、やっぱりガラスの壁みたいなのがあって、それは個別の家庭の事情や問題なのか、それとも組織的にやっぱりまだ日本が遅れているのか、遅れているなら原因は具体的に何があるのか。

女性の立場、新卒の立場、あと会社に入ったばっかりでどうすれば社内でステップアップできるか、これは男女含めてですけど。

鈴木氏: まず一つ目の大企業に入ったばかりの人ですが、そこは入り口ですでにある程度セグメントされていると思うので、企業の中で生き残ろうと思うのであれば、まず人と繋がることですね。内部しかも部門を越えて。

片岡氏: 縦横じゃなくなく斜めも含めて?

鈴木氏: 斜め含めてです。新人だからこそできることってたくさんありますから。新人なので、すみませんと言って教えてもらえることがたくさんあって、できるだけトップの人と繋がること。私自身古いことを考える人なので、日本の文化をすごく大事にしているのは実は大企業だと思ってるんです。

やはり大手企業は古い長い付き合いのある企業が良いお客様だったりすることもありますから、自分の意見を言うのは大切ですが、この会社で自分の意見を通すには、どの言い方が良いのかを早く見つける事が大切です。どの人にどういう言い方をすれば良いかを勉強するためには、やはりクロスで人と繋がることがひとつです。あとは男性も女性もですが、最低ラインの経済の知識は押えることですね。歴史も含めて。

片岡氏: 経営じゃなくて、経済?

鈴木氏: 最低でも日経新聞は読んでおけということです。

片岡氏: そういう話ですね。
鈴木氏: ほとんどの学生、日経新聞読んでも解らないと思うんですね。でも経済用語など会議でバンバン出るじゃないですか。それを理解できないとやっていけませんので。

片岡氏: 教養としてのベースメントは抑えるということですね。

鈴木氏: なので社会人1年目2年目でも最低レベルでも経営者マインドが見えていると良いなと思います。できなくてもです。経営者ってこう考えるんだと分っていると行動がしやすい。

片岡氏: 実際できる人はできるんですよね。学生でもできるやつはいますからね。

鈴木氏: できる人ってなにかしら訓練されてるはずなんです。お父さんやお母さんの訓練かもしれないし、チームで生きることを体験しているか。男性は多いですが、女性にはあまり生きた経済を学ぶ場がないので、そこは勉強しなくちゃいけないですよね。私の偏見かもしれませんが、女性はもっと男性社会で生きるコツを知っておかないとどこかで頭うちになりますよね。

谷本氏: コツがあるんですね。

鈴木氏: あると思います。私は新卒を見て大体何パターンか色分けをして、言うことを変えますので。

片岡氏: そういうアドバイスもされてるんですか?

鈴木氏: 新卒教育を任されたらします。自分はできるんだと思っている子と、ついていくんだと思っている子、流されつつ自分は自分の道を行くみたいな、大きく3つに分かれます。それぞれアプローチも違いますので。。

片岡氏: 金太郎アメみたいなのばかり採っても仕方ないですもんね。

鈴木氏: そうです。個性を伸ばすのも、こっちが伸ばす時期と伸ばさない時期ってありますから。日本のやり方としては。

片岡氏: そこで逆らってもしょうがないということですね、日本で働く以上は。

鈴木氏: そうですね。でも最近の20~25歳は人によって結構しっかりしていると思いますけどね。
片岡氏: 去年「半沢直樹」って流行ったじゃないですか。金融業界の友達に「やっぱ金融っであんなの?」って聞いたら「半沢がいないあの社会だよ」って(笑)。だから、きっとあの中で生き残っていかなきゃいけないんでしょうね。まああれも多少はデフォルメされていると思うんですけど。

鈴木氏: 大企業の中である程度の仕事をしたいと思うなら、自分が役に立つ場所を自分で作っていくことですね。壁は与えられるものじゃなくて、自分で作るものだということを知らないと28歳ぐらいから思いっきり差が開きます。

片岡氏: 入社5年目くらいですね。

鈴木氏: そうです。先行で走っている人はもっと早いので差は一気に開きます。

谷本氏: ネットワークの作り方というのは、具体的にどういう風にやればいいんでしょう?可愛がられることがポイントなのか。いろんなやり方がきっとありますよね。

鈴木氏: パターンはいろいろあると思いますけど、個人の特性にも寄りますね。それって人を見ることにもなるんですけどね。

片岡氏: 文句ばっかり言うのに可愛い部下もいれば、正しいことばっかり言うのにカンに触るやつもいるしね(笑)

鈴木氏: そうそう(笑) やっぱり人に好かれる人もいれば時間がかかる人もいて。適性もいろいろあると思うんですけど、自分を強く出す前に関係を先に作ることが大事だと思いますね。私はこうです、の前に聞いてもらえる環境を作る。

片岡氏: 私はこうですって最近多いですね(笑) 「私的には」「私のポリシーでは」とか。聞いてねぇっちゅの(笑) ってツッコむのを我慢している自分は管理職にも向いてるのかなとか(笑) でもフリーになっちゃったしなぁとか色々複雑な心境になります(笑)

じゃ就活の子が競争を勝ち抜くには?今年は多少採用数が増えているそうですけど、とはいえどこでも入れる時代とはまた違いますしね。
鈴木氏: やはり企業としてはできる人が欲しいんですよ。採用ってお金が掛かりますからね。最近よく言われているのは、採用ピラミッドがあって三角の頂点が欲しいと。青田刈りをする場所ですね。ここはもう企業にしてみればせめぎあいの場所ですね。

なのでここのゾーンに入れれば新卒側はなんの問題もないんですけど、じゃそこに入るにはどうすれば良いかというと、実はもう学生時代に決まっているところがあるんです。昨年12月に、三井物産、三菱商事、東レなどが導入したと日経新聞の記事に取り上げられていたと思うんですが、成績情報もこれからの採用では重視すると。学校の成績がちゃんと取れていない人が会社に入っても仕事できないでしょと。

片岡氏: 面接とテストだけじゃないってことですね。

鈴木氏: これは成績良し悪しだけでの足切りではなく、学生生活の今までの積み重ねを見ていますよということです。私も前からそれを気にしていて、学業をちゃんとやって、要は学生の時に何を積み重ねてきたかというところを見られるんですね。嫌なことがあってもどうモチベーションだったり、継続性を保ってきたか、だったり。仕事は入ってから覚えれば良いんです。だから、いきなり私はこれがやりたい、あれがやりたいですと言うよりも、何もわからないけど継続的にやりますという子の方が会社としては使いやすいんですよね。

片岡氏: 企業から見るとそうですよね。

鈴木氏: 企業側もやはりすごく苦戦していて、バイタリティがある人が欲しいとか、挑戦する力が欲しいとか、バクッとした内容で採用広告出しますから、私も挑戦する!とか応募側は皆思うんですけど、正直どこで使ってもらえるんだろうと悩むんです。

それで履歴書を全部書き換えてみたり、自己分析してみたりいろいろするんですけど、まずは積み重ねなんです。本当の履歴書を書いたほうが良い。何が強かったのか、何で挫折してどうリカバリーしたのかが判らないと。

片岡氏: あまり盛らない方がいいんですか?

鈴木氏: 盛らない方がいいですよ。こっちは見抜きますから。

谷本氏: 就職に向けてボランティアしてみたり、いろいろやってみたりするけど、そういうとってつけたようなものもダメなんですね。

鈴木氏: みんなやってますからね(笑) みんなサークルやってますし。サークルで何々をやってましたと言われても、ああ、そうですかって感じです(笑) やるのは良いんですけど、例えばそこでどんな数字を出したのかとか、何を積み重ねてきたのかなんです。「僕は友達を大切にしていて何百人も友達がいます」って言う子もいますけど、じゃそれ全部動員して何ができるの?という話になるかどうかってことです。

2014/01/28


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