■ ADV(アドボカシー)な人々 #04

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株式会社つくるひと 小野ゆうこ「いまのきもち」 vol.3

谷本氏: 日本の企業の大多数が中小企業ですが、どんな問題が多いですか?

小野氏: 問題が間違っているという問題が一番多いですね。

谷本氏: 気付いていないということですね。

小野氏: 自分たちが問題だと思っているところはとても非常にわかりやすいことなんですよ。その問題が根本的にはどこから発しているのか、ということが本当の問題なんですね。根本がわかりにくいため、問題設定が間違ってしまうということが、問題として一番強く感じるところです。

谷本氏: 片岡さんのお仕事にも似たところがあると思うのですが、そこはが重要なのですか?

片岡氏: 入口は「PRが弱い、特に戦略PRが・・・」といった感じで入ってくるんです。でもよくよく話を伺うと、全然そうじゃないこともある。大企業の場合は、部署も職域ごとに分かれているし、部署ごとの課題もハッキリしてる。課題をきっちり調べれば大体解決方法も対応できる。ある程度はメニューの「パッケージ化」ができるんです。でも中小企業の場合そのパッケージができない。担当者が役員一人だったり、そもそもいなかったりということもある。でもなんとかしないといけない。

小野さんのおっしゃることを、僕が直感的にわかるのは、中小企業の課題の解決は、「理屈」よりも「地頭」が勝負なんです。大企業には、ある程度ビジネスモデルや成功例という「積み上げ」があるので、なんとかマーケティングとか、なんとかなんとか戦略みたいな本屋でざーっと平積みしてるようなものが通用することもあります。でも、あれを中小企業にそのまま当てはめても、ぜんぜんダメ(笑)。

一同:(笑)
片岡氏: だって「横文字+マーケティング(戦略)」とかって既存の“パッケージ”ですから(笑) 過去のビジネスモデルなのに、それをそのままあてはめようというビジネスをやられてる方々がいらっしゃるんです。でも現実はそんなことより、わらしべ長者でいう、最初にワラにアブが止まってるぐらいの状態の時に、先回りして解決しなきゃいけない課題を見つけるほうが大事なんだと思います。

小野氏: これじゃない?って取り出すみたいな感覚ですよね。

谷本氏: 客観的にそういうことって見ればわかる問題なんですか?

小野氏: 客観的に見て体系をつかむという感じですかね。整理された情報がないので、混沌としている中から、ある体系を取り出すことさえできれば、たいてい大丈夫ですよ。

片岡氏: 細かいことを取り除いて、本質だけを取り出す。直感というか、本質直感。

小野氏: 本質直感なんですね。だから論理立てて、時間をかけて、こうだからこうですよと考える訳ではないんです。なんかウヨウヨしている中から「これじゃん?」と引き出してくると、他もくっついてきて、ああこれだったねという感じ。それが正しいかは検証しますけど。
片岡氏: ある大きな会社の社長さんに聞いた話なんですけど、海外のスタジアムに名義協賛して、地元貢献しようと考えたんですって。「会社の名前+スタジアム」にしてしまうとすごく押しつけがましいと思うような社長なんです。とはいえ何にも企業名と紐付けないと、それはそれで誰もその企業の社会貢献だと気付いてもらえない。そんな“ジレンマ”で長い間、悩まれていて、ある日、著名なコピーライターに相談したら、たった一言、「スタジアムF」にすればいいじゃないですかって。その企業のアルファベットのイニシャルだけを冠にした(笑)

本質はそこなんですね。その「F」って何?って聞かれたら、実はスポンサーが○○だからだとクチコミで広がればいい。表立って社名を出さなくても地元の人は「F」って気になるじゃないですか。「社名を入れる入れない」の問題ではなく、課題の本質は「さりげなさ」をどう打ち出すか」だった。

小野氏: そういうことですよね。

谷本氏: クリエーターですねえ。

片岡氏: だからコアラじゃなくてなんでパンダなの?って。聞けばそこに、実はちゃんと答えがあるのではないかと。(笑)

小野氏: そうそう。パンダ?ああ、おもろいですね、って。また変なことやってると思われて(笑)まぁそれはそれでいいんですけどね。

谷本氏: すごく重要なんだけど、そういうことできる人って普通は社内にはいませんからね。

小野氏: 「瞬発コンサル」ですね。

片岡氏: いい言葉ですね(笑)
小野氏: 瞬発で終わるという。なんでそんなに長い時間かかるのかわからない時があります。

片岡氏: 電話で答えだけ言っちゃったらダメのかなと思う時がよくあります。でも、わざわざ何時間も会議をしたがる・・・。(笑)

小野氏: 本当は手短で価値が高い解決が一番だと思うんですけどね。

谷本氏: それってお二人はご経験上から出てくるものですか?それとも生まれ持ってのセンス?

片岡氏: 僕が思うに「地頭」と「表現力」。バサっと言えるかどうか。僕はそこが弱かったりするのでいつもコラムとか長文になる(笑) 2万字で書けと言われるとすぐ書けるんですけど、ワンワードで表現するとかネーミングとかは苦手です(笑)。私の課題は「表現力」の方かな(笑)

小野氏: わたしは長文が苦手ですね。ふんわりズバッと、と言われてます。

谷本氏: ふんわりですよね(笑)

片岡氏: ふんわりしてるけど、バサっとこれかなと思って。でパンダ侍のことを聞いたんです。

谷本氏: (笑)

片岡氏: おもしろい(笑)

2014/02/25


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