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「パパたち」が創り出す、楽しい子育て環境 vol.2

「ゆる家事」という発想
谷本氏:高橋さん、アウトソーシング出来る環境にあればしてしまう事も出来たのに、あえて自身で家事を始めようと思ったきっかけは何ですか?

高橋氏:私も妻も忙しいし、家事代行ってアイディアもなかったし、そしたらもう、体力があるパパがやるしかねぇ、俺がやるしかねぇなぁ、っていう風になって。でも、つまんないですよね、家事ね。だから、より面白くする為に、どうしようかなとなったら、音楽を聴きながら、ワインを飲みながらやってみようと。

一同:(笑)

谷本氏:それが提唱されている「ゆる家事」という発想ですね?

高橋氏:そうです。ボサノヴァみたいな音楽を聴きながら、酒飲みながら洗濯したり、皿洗ったりすると、これがはかどるな!というのを発見して、ゆるく家事をやればいいのではないかと思ったんです。あと靴。色々調べたら、靴磨きアイテムって結構あって、男って道具好きじゃないですか(笑)? それで、休みの日の朝とかしていると、子どもがね、それを見て手伝ってくれるんですよ。上手くできないんですけど、靴磨きって、塗り絵してるようなものですからね。

ゆる家事やってると、子どももお手伝いできるようになるっていうのは、これはちょっと発見でした。家事をやって初めて分かった。子育てにも役立つ家事!(笑)。

曽原氏:楽しんでくれるんだったら、それはエンタテインメントですね。

高橋氏:そういう意味では、車を洗うときも、子どもは、楽しいみたいですよ、水が。それで偉いね偉いねって褒めてあげるんです。そうすると、今度はお風呂に入ると必ず最後はモップを取ってこすりはじめるんです。それは、楽しんでやっているんですね。いつまでもやっているから止めろって注意をするんですけどね(笑)。

だから、これまでゆるく家事をしながら、道具も集まるし、子育てにもいいなぁという風に思いましたけど、限界があるので、家事代行を…(笑)

一同:(笑)
男の手料理は高くつく
谷本氏:家事や育児においても、楽しみを見出すっていうのは、良いですよね。

片岡氏:どうしても女性は、当たり前のように毎日きっちりとやらないといけないという思いがあるから、だからこそどうしても労働と思っちゃうんですよね。たまに思いついて、料理作る、とかいうと、奥さんに止められるんですよ。やめて、って。

高橋氏:とっ散らかるから。

片岡氏:とっ散らかるし、汚れるし、高くつくから、食材が。カレーライス作るにも、奥さんは日々の食費の中でやろうとします。僕なんかが作ると、ほら、普通は買わないような高めなお肉とかをついね(笑)。男の手料理は高くつく。「要らんことしないで!」って(笑)。やるなら趣味として家計ではなく自分のこづかいでやりなさいという話です。楽しくやりたいと思うってことが、大事なのかもしれないですね。

もしくは、もっと合理的にシステマティックになるべく効率よくという風に労働として割り切ってしまうと、より手離れ良くやらないといけないと、急に仕事モードの意識になってきます。本当は両方できると面白いですね。一か月なら一か月の間に、本当に労働としてなるべく手際よく家事を行う日と、趣味のようにゆるく楽しみながら子どもと一緒に行うっていう日と。

曽原氏:あまりでもシステマティックにやりすぎると何かちょっとひんしゅくを買うので、たまに料理とかもしますよ。別に出来なければいつでも俺やるよ、みたいなそういう逃げ道を作ってあげるというか。その逃げ道を作ってあげることが割と重要かなという気が僕はしますけどね。妻との関係でいうと。

谷本氏:実務としてどれくらいしてもらえるかということも大切ですけど、旦那さんがやってくれるという「誠意」だけで、奥さん何か月も生きていける。

男性一同:(笑)(唸る)

曽原氏:できるんですよ。本当は。男の人ってやらないだけなはずです。みんな一人暮らししてるじゃないですか、大学生の時に。昔よりも一人暮らししてる率多分高くなっているはずで。ただ、やらないだけです。やらないのはなんかその…何なんですかねぇ。

片岡氏:「やらない」ということの大義名分を考えるのって自分は得意なんです。(笑)

谷本氏:お二人から見て、そういう風にやらないダディを家事も育児も出来るダディにするには、どういうことをやったり、言ったりすればいいですか?

高橋氏:家事というつまんないものをゆるくして楽しくする。さっき言ったことなんですけど、色々音楽も付いてくるわ、道具も付いてくるわっていう(笑)風に楽しく見せていくしかないと思います。

片岡氏:はまったら楽しくなる、っていうあれもあるんですよね。楽しいからはまっていくっていう。
パパのための集まりの「場」が必要
谷本氏:しかし、ママ友があるように、パパ友があって、育児などの話を共有するだけでなく、仕事にも活かせるかもしれない、そういったコミュニティがあるというのは非常に合理性というか、コミュニティ形成の有利性というのも、ありますよね。

曽原氏:今だってお仕事の話とかも含めてなんで。スーパーダディさんとの関係は。割とだからそれはありますよね。こういう、いわゆる育児・家事だけじゃないところでも繋がるじゃないですか。男性と。これはやるべきですよ。

片岡氏:「子どもの話繋がり」っていうもの自体が、男性社会だとないんですよね。最終的に。逆にお母さん同士って子どもの話が多いじゃないですか。うちも「何とかちゃんママ」と呼び合ったりする。「何とかちゃんパパ」とはあんまり言われない。お母さん達から言われることはあっても、自分たちで絶対言わない。(笑)

高橋氏:男同士異業種で会食があったとしても、メインの話を子ども、子育てに持ってくることは、まず無いですよね。

曽原氏:そうそう、普通にビジネスの話で行ったらビジネスの話しかしないと思うんですけど、僕がこういう仕事してるので、お子さん何歳ですかみたいな話をすると、皆さん、こういうスポットが良かったとか、こういうの最近やってはまってて、と引き出し持っているんですよね。話すと楽しそうにしてるので、僕はだから割とアイスブレイクで、そういう話をしたりするんです。

片岡氏:本当は男性も話したいんだと思うんです。でも機会が無いというか。

谷本氏:場が無いんですよね。

高橋氏:そのしゃべり場ができるだけでね。全然楽しくなりますし。

片岡氏:生の情報が入手できるし。
『ありがとう』で家庭が変わるよ
高橋氏:スーパーダディの集まりで、ある時、ヘアーサロンをやっているとても忙しい人に「家庭内でストレス溜まってくる時にはどうしてるんですか?」と尋ねたんです。そうしたら、「ありがとう」という言葉を、なるべくいうようにすると全然違う、「ありがとう」によって人生変わる、生活変わる、家庭が変わる、と。それから言うようになったんですよ。そしたら、いい感じで回りはじめました。

谷本氏:素敵!

高橋氏:そしたら子どももありがとうって言ってくれるようになって。だからパパ同士の中でも、色んな、生きる知恵?出てきますよね (笑)

一同:(笑)
子どもOKのレストラン探し
片岡氏:どこか外食に連れて行くにしても、小さい子どもを連れて行きやすいレストランて、海外とは違って日本の場合はファーストフードやファミリーレストラン以上になると、急にホテルのレストランまでランクが上がっちゃうことが多いんです。その間の手頃に行ける所が都心はともかく郊外や地方都市には意外と少なかったりします。

高橋氏:スーパーダディのホームページはその辺を紹介してあげるようにしたいなと思ってるんですよ。だからちょっとずつ始めたものに公認レストランとか、そういうのを今始めていて。それをやり続けてると、レストラン側も受け入れるようになっていくかな、とは思っています。

曽原氏:あることはあるんですよ。みんなやっぱり知ってる。ママさんとかが知ってて、ただそれが情報として回ってこない。そのコミュニティだけで消化されてるものなので。だから、それを上手く引き出して、みんなに紹介するというのが、うちのやりたいことなんですよね。

片岡氏:食べログとかに「子どもOK」と掲載されていても、それはあくまで「OK」であって、必ずしも「子ども歓迎」ではない所もあります。

曽原氏:子どもOKも、割とこう、グラデーションがある。客層もそうですよね。
それを上手く表現したいというのが僕らがやってることです。
MOTEOYAフェスを開催したい
谷本氏:今後お二方の活動でやってみたいことなど、展望はありますか?

曽原氏:一緒に組んでやっているのは、子どもにモテる親になろう、「MOTEOYA」っていうコンセプトを打ち出しています。そこでもっと大きいことしようと思っています。

高橋氏:そうです。

曽原氏:ね、フェスやりましょうとか。

高橋氏:MOTEOYAフェスみたいなのを。

曽原氏:今、ママフェスみたいなのは結構あると思うんですけど、割とみんな試供品をもらいに来ますというようなことが多くって(笑)。

片岡氏:確かに(笑)。

曽原氏:それとは違ってイベント自体に参加して楽しいというのを目指したくって、音楽フェスみたいなのってそうじゃないですか。そういう、純粋なモチベーションで来て、本当にみんな楽しめる、我々としてはそのおもてなしみたいなのを作れると、みんなハッピーになれていいですよね。

高橋氏:パパが中心っていうのがね、ありそうで無いと思うんですよね。勉強会とかそういうのはあるのかもしれませんけど。

曽原氏:楽しい所、もっとリラックスした感じで、気軽に参加出来るものって、ちょうど無いんで。

片岡氏:パパが、楽しめないと駄目なんですよね。

谷本氏:comolibのアプリでも、よりリアルイベントなどにも広げていくんですか

曽原氏:そうですね、そのお出かけ情報をちゃんとインフラとして、データベースとして用意をして、皆さんにご提供するってことなんですけど、自分達でイベントも作りたいんですよ。折角だから、お出かけ先を増やそう、そういう考え方を持ってるんで。今ある情報を整理するだけじゃなくて、自分達から、そもそも子連れ歓迎な所を増やす、子どもと一緒に行くとかそういうイベントを自分達で企画して、皆さんが来られるようなものを作る。そういうことを通じて、もうちょっと社会的なインパクトを出していきたいなと。
子どもと楽しく遊べるのも10年未満
谷本氏:先程、曽原さんに、何歳ぐらいのお子さんをターゲットにされてアプリを作ってるのか伺ったんですけど、0歳から9歳までって仰っていました。たった10年未満で、ある意味、一緒に遊んだりすることが出来なくなることを考えると、寂しいですよね。

それを多くのパパ・ママは目の前の事に忙殺され、きちんと子供と向き合えていないけれど、たった10年だと思ったら、真剣に遊ぶかもしれませんね。

高橋氏:一回しか無いですからね。そのうちね、遊んでくれなくなっちゃう。だから最大限楽しまないと自分が子どもと一緒に。

片岡氏:(笑)本当ですよね!

谷本氏:本当に。抱っこできるのもあと何日、一緒に遊びに行けるのもあと何日、と思えば、毎日しっかり向き合わなきゃと思いました。今日はありがとうございました。

高橋氏・曽原氏・片岡氏ありがとうございました。
高橋 一晃
スーパーダディ協会(SDA)代表
TBSテレビ 王様のブランチ プロデューサー

1991年早稲田大学卒業後、株式会社東京放送入社。経理、営業、バラエティ番組、情報番組と様々な部署を歴任。現在、土曜放送の「王様のブランチ」のプロデューサーを務める。2009年4月に第一子誕生。現在は「右手に仕事。左手に子育て」をテーマに、アグレッシブに番組収録作りと子育てに取り組んでいる。 子育てが楽しくなるイベントを考案中。詳しくは以下を参照。

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スーパーダディ協会FACEBOOKページ
曽原 健太郎
株式会社センジュ 代表

東京大学経済学部卒。在学中に会社立ち上げを経験し、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し東京・ロンドンにて勤務。その後、米系投資ファンドのベイン・キャピタル、モバイルECアプリ開発のOrigamiを経て、2014年より株式会社センジュ代表取締役社長。

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片岡 英彦
企画家/コラムニスト
戦略PRプロデューサー
株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役
一般社団法人日本アドボカシー協会代表理事
世界の医療団(認定NPO法人) 広報マネージャー

京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。2013年「株式会社東京片岡英彦事務所」代表取締役、「一般社団法人日本アドボカシー協会」代表理事に就任。 企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加、フランス・パリに本部を持つ国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。マガジンハウス/Webダカーポではインタビューコラム「片岡英彦のNGOな人々」を連載。

Facebook: kataokaoffice
谷本 有香
経済キャスター/ジャーナリスト

山一證券、Bloomberg TVで経済アンカーを務めたのち、米国MBA留学。その後は、 日経CNBCで経済キャスターとして従事。CNBCでは女性初の経済コメンテーターに。 英ブレア元首相、マイケル・サンデル教授の独占インタビューを含め、ハワード・ シュルツスターバックス会長兼CEO、ノーベル経済学者ポール・クルーグマン教授、 マイケル・ポーターハーバード大学教授、ジム・ロジャーズ氏など、世界の大物著名 人たちへのインタビューは1000人を超える。 自身が企画・構成・出演を担当した「ザ・経済闘論×日経ヴェリタス~漂流する円・ 戦略なきニッポンの行方~」は日経映像2010年度年間優秀賞を受賞、また、同じ く企画・構成・出演を担当した「緊急スペシャル リーマン経営破たん」は日経CNBC 社長賞を受賞。 W.I.N.日本イベントでは非公式を含め初回より3回ともファシリテー ターを務める。 2014年5月 北京大学外資企業EMBA 修了。 現在、テレビ朝日「サンデースクランブル」ゲストコメンテーターとして出演中

URL: http://www.yukatanimoto.com
Facebook: yuka.tanimoto.50
2015年2月/ 撮影協力:江口美保 / 撮影協力(会場):GLAMOROUS H 麻布広尾
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2015/02/22


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