■ MANAGEMENT #04

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■ MANAGEMENT #04

商標と特許の知財マネジメント vol.2

事業との関連性
松下氏:商標の場合は、他人の先行商標で拒絶されると、その商標をつけた商品を販売すると権利侵害になるよね。なので、似た先行商標が登録されてた場合、その名前をつけて販売すると訴えられる場合があるから、商標変更を勧めるよね。

鶴本氏:そうですね。ダメなら変更しましょうとなりやすいですね。

松下氏:実際その商標を使って、事業とうまくマッチングさせるアドバイスって、どんな風にしてる?

鶴本氏:商標は商品やサービスとの距離が近いんです。パンフだったりCMだったり。商品やサービスにくっついて外部に出るので、消費者、需要者との距離が近いし、コミュニケーションツールとして働くんですね。

なので、消費者が見てどう思うかということが重要になりますから、そこに込められた思いやストーリーが実際に伝わっているか。目的が果たせているかを常に意識しましょうとアドバイスしています。

松下氏:その「思い」が提供する側とされる側で食い違うことってある?

鶴本氏:あると思います。でも食い違い以前に、思いにも、強い弱いがありますね。この名前がダメだったら、こっちの名前でもイイやとなると、思いも弱くて、やっぱりビジネスと繋がらないってことは多々あります。

松下氏:ビジネスと繋がらないってケースだと、名前を変えさせたりする?

鶴本氏:変えさせてというより、変えて良くなったケースはあります。あるスポーツ関係の商品ですが、創業者の「姓」の音に近いものを出してみたんですね。これが先行調査でダメだった。

そのあと、「姓」じゃなくて、「名」のほうに変えたんですね。これがたまたま、スポーツという世界のスピード感やパワー感に合ったイメージや「音」だったこともあって、よく売れたんです。大会でも記録を出したり。でもこれは思いがあったケースですね。

松下氏:鶴本君は、商標の語感分析サービスもやってるよね。

鶴本氏:ええ。でもさっきの例では語感分析はやってなかったんですが、クライアントも、商品が売れていったから、その名前にだんだん思い入れが高まっていったということもあるでしょうね。

松下氏:思いを込めて、消費者に伝わらないといけないってどういうアドバイスするの?

鶴本氏:そもそも「思い」が存在するのかどうか、どこまで強いかというのは聞きます。また、いろいろストーリーを聞きながらこちらで引き出すこともあります。

松下氏:引き出すこともあるんだ。特許の場合はよく、「こんな良いもの作ったから、消費者が絶対買ってくれる」と思い込んでしまう。でも、実際に消費者のニーズにマッチしているかと言えば疑問なこともある。

「思い」を引き出してあげるというよりも手綱を締めることのほうが多いかな。売り方まで考える部分が希薄になっているケースってよく見るからね。

鶴本氏:ありますね。

松下氏:特許の管理コストって権利化だけでなく権利行使の費用もかかるから、小さな会社だとかなりの負担となる。最近は、自分のところで全部やろうとしないで、他社とアライアンスを組んだ中で(特許を)使っていくっていうやりかたもできるってアドバイスをするケースも増えてるね、商標はそんなことある?

鶴本氏:あります。ある化学系の部材屋さんがあって、新商品を作ったんですね。それをどう売るかと考えて、アパレルの会社と組もうとされたんです。そこで部材屋さんが使っていた名前を使いたいと言ってきたけれど、調べると、アパレル業界には既に同じ名前で先行商標があった。

その部材屋さんには以前から、どこまで事業を広げるかという話をしてたんですけどね。部材としてだけで販売するのか、それともいろんな商品として広げるか。広げたいなら、別の分野(の商標)も取りましょうと。コストはかかるけれど、上記のような話が来た場合、アライアンスしやすくなる。

松下氏:最初からその分野の商標を取ってたら、そこはその大手と組めたわけね。

鶴本氏:そうだったんでしょうね。

 

2011/12/09


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