■ MANAGEMENT #05

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■ MANAGEMENT #05

専門チームが導く企業のベストプランニング vol.2

税理士とFP 視点の違い
平井氏:どっちかというと税理士さんからより、経営者さんからのご依頼が多いですね。やはり税理士さんとの間で悩むケースが少なくない。

小幡氏:僕たちの提案って、一見誰もが言わないことをやってしまうことってありますからね。お客さん自身もそれで大丈夫?と思うでしょうし、税理士さんが聞いても理解できないこともありますから。

時としては金融機関に対して壁をつくらないといけない場面もあったり。結果として再生できれば金融機関にとっても良いはずなんですけれど、なかなか「突破」に見えるんでしょうね。

どっちを信用するかという局面になって、税理士さんとぶつかることも昔はありましたけれど(笑)まあどっちの考え方をとるかはクライアントに選んでいただくしかないですね。

平井氏:税理士さんが保険を勧めることって結構多いんですが、中には勧められるまま、いろんな保険にたくさん入ってる方もいて、このまま膨大な保険料を払ってても良いんだろうかというご相談なんかもありますね。リスクを事前にカバーする立場の私たちからすると、それって本当に誰のための保険なのか疑問ですね(笑) 

やはり専門領域でないことに手を出すと、リスクは大きい。 会社の経理や申告はいままでの税理士さんでいいんです。無理やり変える必要はない。けれど相続や事業承継上の株の問題については、資産税の専門でないとわからない。そこまでされる税理士はまだ少ないんじゃないかと。

小幡氏:視点が短期的なものか、長期的なものかの違いってありますね。税理士は事後の処理で、FPは事前対策。とはいえ両方の視点は経営に必要なので、うまく経営者が使い分けることができればいいんですが。

事業再生の現場でいうと、ご相談に来られるときは、すでに経営が行き詰まった状態。たとえば金融円滑化法なんかも、借りている人が金融機関に申請すれば、ほとんど無条件に近いかたちで、返済猶予をもらえるわけなんですが、その間になにかしらの経営改善を図ってプラスを出すための時間をもらってるだけなんですね。

ところが経営を置き去りにして単なる時間稼ぎだけでやってしまうと、結果、時間経った分、負債が膨らんでしまって経営を苦しめることになる。

そこで、金融円滑化法じゃなくても、資金繰りが苦しかったらお金を借りれるように事業計画を作ろうとか、要するに「どうしたらいいの?」ってところまで具体的に考える先生が少ないのが現実でしょうね。

それも税理士の領域と違うといえば違うんですが、そういうところまで考えられているか、総合的に見ることができるかとなったときに、業務の領域が限られている専門家の弱みってあると思うんですね。

そこでわれわれが入っていって、法律はこの先生、税務はこの先生にと、全体の役割分担をするのもFPの役割ですね。

まず、経営の方向性までも出せる税理士さんと、経理上の数字でこうしたら良いよというアドバイスをくれる先生とは、全く違う。ぼくはクライアントによく言うんですが、税理士さんっていうのは仕事でやっているわけですから、何をどうしたい、こうして欲しいというのは、経営者が自分自身で伝えないといけないことなんです。

それには、自分も判断力をつけて、こうしたいからお願いねと言える。それに対して処理が思うようか結果でなかったら、その先生を切るかどうかは自分で決断する責任があると思いますね。

平井氏:うーん。まあ、なかなか税理士さんの使う専門用語ってわからないことってありますし、どちらかというと僕らは通訳的な存在だと思うんですね。やはり経営者は自分の事業で忙しいわけですから、自分で判断することってなかなか難しい。

あるケースでいうと、税理士さんが言うことって、実際にはよくわからないんだけど、20年の付き合いがあるから、間違いないし任せとけば大丈夫と思ってる。

ところが、税理士さんのほうは、昔はこの会社のことを親身に考えていたんだろうけれど、事務所自体も大きくなって、顧問契約を落とさない程度に、若い税理士に代えてしまっているっていことも多々ありますからね。そこで我々は経営者と税理士さんとの間に座って、わからないことは一緒に聞き合うことでしょうね。

用心棒ではないけれど、この人には迂闊には言えない、ちゃんと生のデータもってこないとだめだと相手に思わせる役目もあるかと。またコーディネート役でもあって、税理士さんを外すこともありますし、うまくいくようにつなぐこともあります。

たとえば、お医者さんって専門が決まってて、お腹が痛いときに眼科には行かないですよね。でも税理士の資格としては一つだから、基本的になんでもやりますと言う方に、相続・事業承継を相談する方が怖いのです。

会社の経営っていうのは日常的なルーチンワークですけど、会社の相続や事業承継ってのは、年間110万人が亡くなって、そのうち相続税を払う方は4万数千件くらいなんですよ。税理士さんの数から計算すると、平均年に0.5件くらいしか経験していないのです。

やっぱり経験ないことに対するリスクをずっと持ってるわけにはいかないですから、会社の経営についてはプロであっても、事業承継という場面で、会社の株の売買や贈与であったりとか、事業を興すときに会社にお金を貸したりとか、土地を貸したりとか、それがすごーく問題になったりします。なので会社としての経営や事業承継と、個人の相続という両輪をうまくまわしていくことが重要なんですね。そのお手伝いを我々がするという。

小幡氏:通訳の役目でいえば、逆の例があって、税理士さんという専門家は、税のプロだし、こうしたら税は絶対トクだという答えを持って来てる。というかそこにハメに来てるわけです。だけど税金上はうまくいくと実際にはわかってるんだけども、クライアントの気持ちは別にあって、なかなか長いつきあいの先生に言いにくいこともある。税務上のメリットよりも、やりたいことがあるっていうクライアントの気持ちを代わりに伝えることもあります。

事業承継の例で、旧態の経営についていた税理士さんの問題点を指摘することもありますね。事前に決算前に打ち合わせができているかどうかとか、もっと幅広い対策があるのに、ちゃんと提案してくれる先生なのか。僕らの提案をなんとなく納得できないからと主観だけでつぶしてしまう人もいますから。といっても、結局ほとんどの場合、税理士さんの良し悪しというより、経営者なんですけどね(笑)

 

2012/07/04


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