■ MANAGEMENT #05

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■ MANAGEMENT #05

専門チームが導く企業のベストプランニング vol.3

クライアントのベストとゴール
小幡氏:やっぱり税理士さんの業務の範囲があるわけで、契約のときになにをどこまでという約束があるはずなんですが、そこが曖昧なことが多い。

経営者からしてみれば、ここまでは当然やってもらえているんだろうとか、考えてくれるだろうと思ってて、多分な期待をしてしまってる。

でもフタをあけてみたら、税理士さんにすればそんなところまで関係なくて、自分の仕事の範囲はここまでだからと、知らない間に溝が空いていたということがあるんですね。

やはり経営者にも専門家を選ぶ目を養うって必要だと思うんですけどね。自分に合う、もしくは自分に必要な人を見極めるというか。

平井氏:それは感じます?

小幡氏:感じますね。経営者はしくみをうまく理解できていないし、税理士は税理士の立場だし、税務署も立場が違う。その違いって、経験がないと難しいのでしょうね。

僕も自分の親の会社を清算するときに、税務調査が直接くるんですよ。で、金庫を開けろっていうんですね。結局税理士さんが来て立ち会って話し合うんですけど、税理士さんってこっちがお金払っているのに、どっちの立場なんだろうと疑問に思ったことありましたね。いまにしてみれば税理士さんの立場は理解してるんですけど。

平井氏:動くお金を扱っているぶん、税理士さんの存在は大きいですからね。そこで経営者の立場で考えているか、自分の立場を守ることで考えているか分かれますね。

小幡氏:良い先生はたくさんおられるんですけどね。先生が偉すぎて、逆に経営者が僕たちに頼めないこともあったりしますけど。。

平井氏:相続というのは専門領域なので、経営者さんからの相談が多いですね。資産税として相続を扱う税理士さんってまだまだ少ない。

会社の経営としては今までのそれで良しとしても、事業承継として親の代から子の代に移すときに、株の評価であったりとか、持ってる資産に含み利益があるとか、会社に貸付金があったり。
相続税となると事前に亡くなる前に処理をしておけば、貸付金は財産になりませんから、個人としての相続税が何千万単位で変わってくる。

ところが「自分は元気」と思い込んでると日々の「経営」が中心になってしまうんですが、事業承継となった場合にどうなるか。やはり税理士さんとFPでは目線が違うことは知って欲しいですね。

これは個人のケースなんですけど、年間に何千万という所得税を払っておられて、亡くなった時には相続税も含めると十数億円も税金を払うことになる。

それって今後も今の税理士さんに頼んでて良いんですか?というと、うーんって仰るんです。それでもやっぱり(今の税理士は)変えられない。

どう考えても変えたほうが良いんですが、でもいままでの付き合いもあるし、それまでの経緯があるしで、こちらが無理やりには変えられない。

でもそんなときは、別の税理士さんをサードオピニオンやセカンドオピニオン的な相談として紹介したりしますね。

小幡氏:僕らはやっぱり税理士に「退場」とは言えないですからね。税務相談まではコンプライアンス的に制限がある。

税理士は経営の専門家ではない。経営のアドバイスはサービスの一つなんです。やはりハンドルは経営者で、ぼくらはあくまでも助手席ですから。

平井氏:税理士さんには、あまり経験のない相続や事業承継に自信なく取り組むよりも、相続が発生する前に対策を練る専門家として、ぼくらをパートナーとして使って欲しい。

でも、なかなかそこまでFPの領域を理解している税理士さんも経営者さんも少ないのが現状で。FPの存在アプローチってまだまだですね。(笑)

小幡氏:FP自体がまだまだ理解してもらえないこともありますし、そこまでできる人間が少ない。ぼくらはちょっと違うアプローチをしているってこともありますけれど。

税の損得みながらもですけれど、基本は将来5年10年後のキャッシュフローも考えながら、資産の残高も維持して、健全な経営が維持できるかどうかゆきつくところは事業承継になるわけですから、そこまで視野にいれたプランニングができているかどうか。

節税も大事なんですけれど、そこだけにとらわれるんじゃなくて、やっぱり一環したものが必要。何年先までの計画を作るか 自分の一生分や、子供の代だけじゃなくて、その先の50年100年先の経営を考えていくことが必要かなと。

平井氏:FPにもれぞれの専門があって、ジャンルもレベルも違うんですよね。専門領域でないものはやらないほうがいい。専門の人にお願いしたほうが、クライアントにとって最良ですから。

小幡氏:お客さんが行きたいゴールはどこなのか、そこにいくために最短でベストな道は何なのか。自分が行くほうがよいのか、他の専門としている人に出すほうがよいのか、一番良い道を選んでいただくために、どれだけネットワークをもっているかですね。自分のメリットよりも、お客さんにベストを出せないと次が来ないですからね。

平井氏:お客さんにとってベストを出すには、自分ができることとできないことを明確にすることが必要だと思うんです。それでその専門分野を深めることでしょうね。

僕は元不動産業界にいて、宅建免許を持っていますが、宅地建物取引業は行っていない、つまり不動産を売買するのが目的ではない。だから相続において物件を売ったほうが良いのか、その物件はどうなのかの専門的なアドバイスができるんですね。お客さんの考え方の整理が目的でもありますから。

小幡氏: 経営者ももっと知識を持ってほしいんですよ。やっぱりアドバイス受ける側のレベルも重要で、良いアドバイスしても理解できなければいくらしても続かないんですね。そういった意味でも、経営者に勉強してもらう場や環境を作っていくことも僕らの役割りなんでしょうね。
平井 寛
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
エフピーコンパス

1961年 大阪生まれ。関西大学工学部土木工学科卒。奈良建設株式会社勤務。健康の森・住研グループ(株式会社住研、株式会社ジャス、株式会社サンキ)勤務。2001年10月エフピーコンパス設立。2009年1月株式会社マネーアンドライフコンサルティング取締役就任。土地活用・相続対策を軸に金融・保険の見直し等の総合的なコンサルティングを行う。 「お客様に応える」を合言葉に地元・お客様の立場に立ち、中立的な立場で営業し、ネットワークを活かし、ライフプラン実現に向けての実務作業を税理士・弁護士・司法書士等と協力して行う。

エフピーコンパス
HP: http://fp-compass.jp/
小幡 賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
小幡FP事務所

1999年7月ライフナビゲーションシステム有限会社設立。13年間の生損保代理店勤務を経て、1999年にライフナビゲーションシステム有限会社を設立。中小企業向けには、総合リスク管理の提案、個人向けには、ライフプランを中心とした家計の見直し等、コンサルティング業務を展開中。リタイヤメントプランのための投資教育にも力を注いでおり、企業や官庁向けの講演活動も行っている。関西圏を中心として各大学や専門学校でFP養成講座を担当、保険会社や銀行等金融機関での研修等また、毎日放送(MBS)ラジオ「ラジオアングル」や「ネットワーク1.17」では、ゲストコメンテーターとしても出演。

小幡FP事務所
HP: http://www14.atpages.jp/lns1999/
撮影:菅野 勝男/取材:2012年7月

2012/07/04


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