■コンサルティング談 #07

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■コンサルティング談 #07

人のご縁が、仕事の広がりへ

第7回目のゲスト・原島純一さんは、中小企業診断士資格を取得する前から独立しており、一貫して飲食店業界を専門に掲げて活躍している中小企業診断士です。独立までの紆余曲折、勇気ある行動の数々から、柔和な表情の奥に潜む芯の強さが感じられました。
今回は、独立までのエピソードや、専門性を持つことへのこだわりとその理由などをお聞きしました。

 

独立のきっかけ
 
平井:中小企業診断士を取得する前に独立しているんですね。独立のきっかけは何でしたか。
 
原島:藍屋という和食ファミリーレストランで店長をしていたのですが、体調が芳しくない時期が続き、胃カメラを  7回くらい飲んでいました。内臓のことは、表面上はわからないので、あまり気にしてなかったんです。ところがある日、店長室で事務処理をして、そろそろ店に出ようと立ち上がろうとした瞬間、まったく立ち上がれなくなってしまいました。
これまで、内臓が悪くてもお客様にはわからないからと、ごまかして働いてきましたが、立ち上がれなくなって、「もう働けないな」と思い始めたんです。飲食店ですので、お客様の前に出なければいけませんし、そうなると、「動けない飲食の人って、役に立たないよな」と純粋に思い始めました。そんな中、数ヵ月後にも同じ症状が起き、さまざまな状況も含めて考えて、辞めるという方向性を探り始めました。
 
平井:辞めると言っても、転職ではなく、独立を決意したんですよね。
 
原島:大学生の頃から起業したい気持ちがありましたので、いずれはと思っていました。自分も店長で苦労したので、店長を応援する仕事をしたいと、いろいろと考えていました。1つは、飲食用の人材派遣会社、もう  1つは求人代行の会社ですね。この  2つで何か起業をしようと、漠然と思ったんです。そして、とりあえず辞める日を先に決めて、その  2つの可能性を調べ始めました。
 
平井:随分と勇気のある行動ですね。
 
原島:はい。「よく辞める決心をしたね」と周囲にも言われましたが、 1~ 2年やって失敗してもまだ35歳くらいですし、すかいらーく出身者は次の会社でも採用されやすいのを見てきたので、給料は下がるけれど、何かしら働いて暮らしていけるだろうと思っていたんですよね。だから、好きなことをちょっとやってみて、それで一生が終わっても、やることをやったのだからそれでいいや、という思い切りの気持ちでしたね。


ゲスト:原島純一氏

 

ダメになるイメージがない
 
平井:原島さんは、コーチング出身の印象がありましたが、当初は人材関係で起業されたんですね。どこでコーチングと出会ったのですか。
 
原島:会社を辞めてから事業計画を作ったり、起業塾に通ったりしているうちに、大手人材派遣業が企業買収などを始め、この業界がマネーゲームになりそうだと思い、方向転換の必要性を模索し始めました。そこで、元々勉強していたコーチングを深めようと思い、店長の働きぶりを認め、モチベーションを上げるための仕事をしようという考えに変更しました。
 
平井:見極めの良さ、フットワークの軽さですね。
 
原島:ただ、コーチング業界の人が、そもそもどのようにしてお金を稼いでいるのかがわからなかったんです。ならば、活躍している人の側にいるのが一番良いだろうと思い、ある有名なコーチをネットで見つけ、「カバン持ちをさせてください」とサイトの問い合わせフォームでお願いしました。
 
平井:カバン持ちをお願いするなんて、これまた勇気がありますね。しかも、問い合わせフォームからの依頼とは驚きました。
 
原島:はい。いま考えると、自分でもよく勇気があったなと思います(笑)。そのコーチは、「こんな時代に、カバン持ちをしたいとメールをしてくるような人は、面白いヤツに違いない」と承諾してくれたらしいです。
 
平井:半年カバン持ちをしたそうですが、これで独立して稼いでいけるという手応えはあったのですか。
 
原島:まったく(笑)。ですので、今後どうしようかなと思い、まずは自身の露出を高めようと、自分でホームページを作りました。また、手づくりの資料を業者に送ったりもしました。効果はありませんでしたが、これも勇気のいる行動だったと思います。
 
平井:効果も出ず、不安はありませんでしたか。
 
原島:当時、稼いでいる人を見てもよくわからなかったんですが、ダメになるイメージだけはまったくありませんでした。帰る場所があるような、漠然とした気持ちがあった。何とかなるだろう、という気持ちですね。


インタビュアー:平井彩子

中小企業診断士資格との出会い
 
平井:コーチングをしていた原島さんがなぜ、中小企業診断士資格を取得することになったのでしょうか。
 
原島:前職の後輩を通じて中小企業診断士の方と知り合い、その方から「研究会を立ち上げるから手伝ってほしい」と言われ、研究会に顔を出していたんです。そこで中小企業診断士の方と話すうちに、資格への興味がわいてきました。また、出会った中小企業診断士の方を通じて、店舗マネジメントに関する仕事をいただき、少しずつコーチングからコンサルティングへと仕事が変化していきました。
 
平井:ようやくコーチングから中小企業診断士につながりましたね。
 
原島:その付き合いを続けるうちに、中小企業診断士の方とつながることが多くなりました。中小企業診断士の先輩方は皆さん、コンサルティングのプロとして活躍されている優秀な方ばかりなのに、偉ぶった様子がなく、親近感がわきました。その人たちを見て、自分もそうなりたいと思って、勉強を始めたんです。
 
平井:会社を辞めてから 2年で、コーチングに中小企業診断士にと、早い展開ですが、コーチングが独立の背中を押す形になったということですね。コーチングがなかったら、いま頃は何をしていたんでしょうね。
 
原島:そうですね(笑)。サラリーマンに戻っていたかもしれません。でも、コーチングを勉強して本当に良かったです。物事の捉え方、コミュニケーションのとり方は、コーチングで学んだことが自分のベースになっていると思いますし、いまのコンサルティング業務にも役立っていると感じています。
 
平井:中小企業診断士資格を取得してから、仕事に変化はありましたか。
 
原島:当初は、飲食店の店長のコーチングを行いながら、そこへのコンサルティングをしていましたね。取得してからの変化としては、中小企業基盤整備機構のアシスタントマネージャーの募集があって、当初、縁もゆかりもありませんし、自信がなかったのでお断りしていたのですが、とある先生に「原島さん、やってみなよ。大丈夫だよ」と背中を押していただいて、やり始めました。結局、中小企業診断士になってからは、 1ヵ月くらいしか暇な日はありませんでしたね。
 
平井:素晴らしいですね。やはり、人のご縁は大事ですね。
 
 
セルフブランディングと専門性
 
平井:原島さんは、ホームページで自身のプロフィールを細かく書くなど、情報提供にも力を入れていらっしゃいますね( http://www.c-staydream.com/ )。
 
原島:はい。セルフブランディングには力を入れましたね。中小企業診断士資格を取得してから、何はともあれ、すぐにウェブ会社と打ち合わせをしたくらいです。
 
平井:なぜ、ウェブを使ったほうが良いと思ったのですか。
 
原島:実績と知名度と能力がない状態で、一番早いのは、ホームページで宣伝することだろうと思ったんです。実績がないことをカバーするために、それらしく見せることが大事だと考えました。自宅を事務所にしていたので、実態が見えるようなイメージをウェブの中に作ることで、見た方に安心や信用をイメージさせたいと思いました。
 
平井:飲食という専門性を大々的に打ち出すことにも、何か意図がありますか。
 
原島:コーチング時代の話になりますが、コーチの数が増え始めると聞かれるのが、「原島さんは何ができるの?」ということなんです。これでは、「特定の分野に絞らないと、埋もれちゃうな」と思いました。ならば、これまでの経験を活かして飲食店に特化しようと思い、名刺も専門性を打ち出したものに変えたんです。そうしたところ、その打ち出しが独り歩きして、仕事が来るようになりました。その経験があるので、中小企業診断士でも同じことが言えると思い、専門性を打ち出しているんです。
 
平井:専門性がいまの仕事を作っているということですね。
 
原島:はい。特定の分野で尖っていると、その分野にまつわる横展開も出てくるんです。「飲食店に詳しいから、店舗の運営もわかるだろう」と小売の案件をいただくこともありますし、食品メーカーさんの案件でも「飲食店を経験していて、食べ物に詳しいから大丈夫でしょ」ということで、仕事をいただいたりもしています。これも、特定の分野で尖っているから、皆さんが紹介してくれると思うんです。
 
平井:そうですね。出身母体の業界で仕事を頼まれることって、結局は皆さん、多いですもんね。
 
原島:はい。お客さんも安心しますよね。業界の事情がわかるというのは、相手にも安心感を与えます。
 
平井:専門性に加え、中小企業診断士という資格があるから、安心して頼めるということもあるのではないでしょうか。
 
原島:そうですね。中小企業診断士という資格が、最終的に身分保障の役割を果たしている部分もあると思います。
 
 
独立して9年、いまの課題
 
平井:今後、取り組みたいことはなんですか? 
 
原島:今後は、観光地の飲食店の活性化の支援に取り組んでいきたいと思っています。最近、軽井沢や祇園四条や柴又や飛騨高山などの飲食店を支援する機会があり、とてもやりがいを感じました。 旅行の楽しみと言えば、その土地ならではの食事ですので、良い飲食店を増やし、その観光地での体験価値を上げることのお手伝いができばと思っています。 観光地の皆さんと「この〇〇(地域名及び店名)に来て良かった」とお客様に言われるお店を作り上げたいです。 
 
平井:独立 9年ともなると、これまでさまざまなタイプのクライアントに出会ったのではないでしょうか。 
 
原島:はい。「原島先生の言うことは何でも聞きます。そのとおりにやります」と、こちらの言葉を待ってくれているようなクライアントも中にはいらっしゃいますが、このような「先生依存症」に陥っている方は、実はなかなか結果が出にくいのです。サラリーマンもそうですが、ただ言われたことをやっているだけではダメですからね。
 
平井:手取り足取りになってしまいますし、何より提案内容がクライアントの腹に落ちてないと、意味がありませんよね。
 
原島:コーチング出身で、サービス業での接客経験も長かったので、相手に本当の共感があるかないかはよくわかるんです。共感がないと、支援は難しいと感じています。
 
平井:そんなに敏感だと、普段から疲れてしまいませんか。鈍感力を磨いてもいいんじゃないですか(笑)。
 
原島:そうですね。昔は、自分の中のスイッチをオンにして人と接していることが多かったのですが、最近はオフにもできるようになりましたよ。
 
平井:最後に、飲食店を今後、どのようにしていきたいといった目標はありますか。
 
原島:飲食店の社会的地位を高めたいですね。もっと生産性を高め、良い給料をもらえるように。稼げるようなお店、業態を作ることが、自分の使命だと思っています。
 
 

撮影協力:カメラマン わたなべりょう
PROFILE
 
 
原島 純一(はらしま じゅんいち) 平井 彩子
Junichi Harashima Saiko Hirai
株式会社STAYDREAM 代表取締役
中小企業診断士
中小企業診断士。平井彩子事務所代表

大学卒業後、(株)藍屋(後に(株)すかいらーくと合併)に就職。飲食店の現場で店舗マネジメント、人材育成などを学ぶ。その後、体調を崩して退職。2006年、飲食店の店長向けコーチングのプロコーチとして独立。コーチング活動をしていく中で中小企業診断士との協業が増え、自らも中小企業診断士資格を取得。現在は、飲食店に特化したコンサルティング活動を展開中。

独立系ソフトウエア開発会社でプロジェクトマネージャを担当。証券会社向け、ベンチャーキャピタル向けシステム等、金融機関向け業務システムの構築現場を数多く経験。2010年からは、中小企業向け経営改善をメインとするコンサルティング会社に勤務し、会計業務支援、資金繰り改善、事業計画策等を担当。

2012 年平井彩子事務所を設立し、コンサルタントとして独立。人材育成を中心に、業務改善、システム構築支援など、現場が自分たちの力で実行する仕組みづくりから支援を行っている。

http://c-staydream.com/ Facebook:https://www.facebook.com/saiko.hirai
 

 

2015/10/15


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