■ INNOVATION #02

HOME» ■ INNOVATION #02 »組織内部からのイノベーション vol.3

■ INNOVATION #02

組織内部からのイノベーション vol.3

イノベーションにおけるリーダーの条件
川崎氏:女性が多い組織のマネジメントって、やはり遠い目標に向かって順序だててプロセスを考えるということが難しくて、目の前の階段をどう設定するか、自分の気持ちをどう向けていくかといったシンプルな考え方に置き換えていかなければいけない。

さらに仲間を守るっていうスタンスを理解してもらうことやフレンドリーに接することなんかが必要なんだけど、そういう余裕のない状態の場合は、ある意味「押し付け」が必要になるんですね。

そんなときは相手にストレスがかかって反発も起きてくるんですが、村川さんは現場でそういったプレッシャーってありますか?

村川氏:営業ってやはり数字目標があるから、主体的な動きでないと結果が出ないことも多々あるわけで、以前若い頃はこうしなさいと行動をマネジメントすることも多かったですね。

だけど、今は仕組みを作ってやり方を教えたら、あとは自分のやったことをどんどんフィードバックさせて、その組織なりの手法を作りあげていってるんですね。

結果や成果に対してのプレッシャーはあるけれど、結果の出ない人に対して、こちらがプレッシャーを感じることはないですね。

川崎氏:男性と女性の考え方ってやはり違ってて、どうしても男性的な考え方や理屈を押し付けてしまうこともあるんですね。そのときの女性の反応ってとても顕著であとからの修正がかなり大変になる。女性ってやっぱり男性とは根本的に違う、モチベーションも違うし仕事の喜びの感じ方も違う。

これって医療だけじゃなくて自立した女性が主軸になる現場って、どこも同じだと思うんだけど、女ごころを理解していないとマネジメントはやりにくいと思う

村川氏:営業の現場ってやはりまだまだ女性が少ないわけで、その女ごころを特に考える機会って少ないですね。

今「九州ウーマンインデックス」という女性のポータルサイトを運営しているんですが、地域の女性たちがスタッフとして動いてくれているわけだけど、彼女たちを見ていると意外と男性的だったり、しっかりしてるなあと思うことってありますね。

川崎氏:リーダーとしての軸になる男性の条件と、女性の条件って違いはあると思ってるんですが、村川さんの場合、男性のリーダーに何を求めます?

村川氏:一番は責任感ですね。自ら行動を起こし、起こした行動を何があっても継続する、それらはすべて責任感から発せられると思う。

次に、自分が自分がというよりも、チームとしての成果を第一に考えて動けるかどうか。その次に、他人への気持ちのケアもできなければいけない。この3つかな。

逆に女性はどうなの?気になるところだけれど(笑)

川崎氏:女性のリーダーには体育会系の体力というか、コンディションが強い、安定的であることが大切ですね。

その上で、女性が女性をマネジメントする場合は、院長という男性をまず理解し、その立場を下に伝えることができること。つまり中間コミュニケーションができることですね。

それに、そこから起こることに対してストレス耐性がかなり必要で、楽天家的な考え方を持てることも条件になりますね。あと陽気で明るいこと。これらって結構ハードルが高い。

村川氏:何が一番ハードル高い?

川崎氏:ストレス耐性ですね。これが難しい。院長の意向や思考を部下に伝えなくてはいけない役割だけど、部下たちには日常のルーチンワークに異なるものが入り込む状態になるので、現場にストレスが起きてくる。

そんなときに右から左というか、気にしないこと。 あと、師長なら院長とコミットできていること。それにはやはりコミュニケーションの量が重要になってきますね。

村川氏:中小企業も同じで、現場とトップとのコミュニケーションの時間を作るって意外と難しい。本当はそこが一番重要なんだけど、目の前のことに追われて後回しになる。

コミュニケーションがうまくいってる企業って、社長の机の前に椅子がおいてあったりする場合が多いですね。いつでも気軽に話せる環境にある。

社長と部下ってやはり立場上、壁があるわけだから、社長自らコミュニケーションをとれる環境を作ることが必要なんですね

川崎氏:よく「うちの部下って何もいってこないんだよ」という人に限って、バリアー張ってる(笑)

村川氏:そんな中で重要なのが、何を聞いて何を捨てるかの判断をどうするか。その話の内容は全体最適の視点かそれとも部分最適かの判断をしなくちゃいけない。それは部分最適だとおもえば、ただ聞き流すだけでなくもういちど考えさせることが教育にもなってくる。

川崎氏:女性の組織で多いのは、部分最適の話を全体最適の話のように話すことって結構あるんですね。個人的な意見でも「みんな言ってます」と言うもんだから、院長は「みんな言ってるのか」と思っちゃう。それを部分最適だなと院長が見極めるのは至難の技(笑)そこはコンサルの出番で、第三者的に判断することが必要になるんですね。
経営者に望むこと
川崎氏:魚は頭から腐るという言葉にあるように、経営者がまず考え変革出来なければ、経営は続かない。それから、良いコンサルタントと出会うのはまずはご縁。ご縁といっても、縁があるかどうかも考え方・行動次第なんですね。

これまで私のクライアント様は紹介でご縁をいただくことが多いのもあるんですが、皆さん素直な心のある院長先生が多い。いかに素直にいるか、すごく難しいけど、それが経営を左右すると思いますね。

村川氏:あとは、成果を出すには、変革のあとの定着期間が必要で、体質化するまでに一定の時間がかかることを理解して欲しいですね。

現場には定着化させるまで繰り返させますが、経営者には、『成果』が出るまでグッと堪えて待てることが重要です。すぐに結果を出すことを望むのって気持ちはよくわかるんですが、変革-変革ばかりを繰り返してしまって、何も定着しないんでいつまでも成果って出ない。

変革を望んでいてリーダーシップをいまひとつとれなくて悩んでいる経営者はチェンジマネジメント型が合うし、自分で決定してどんどん行動するタイプの経営者には、サポート型コンサルタントが適してると思います。変革かサポートか、自分のタイプに合ったスタイルを選ぶことが必要ですね。

川崎氏:経営者が自分に合ったコンサルタントに出会うには、まず外に出ること。中小企業の経営者も院長も、なかなか外に出ない人って多いんですが、そもそも経営者には直観力があるはずで、出会う機会に身を置けば選択できる力はあるんです。

でも出会いが少ないと、その直感もヘンなところで動いてしまう。できるだけ選択肢を多くするために出会いの数を増やして欲しいですね

村川氏:私たちは現場の中に入り、唯一無二の組織フォーメーションを作り上げるというスタイルって共通していますね。マネジメントなんだけれど、組織を外からコントロールするスタイルではなく現場で一緒に戦い内部で改革を起こす、まさにイノベーター。

川崎氏:そうですね。僕も肩書きを医療経営イノベーターにしようかな。
村川 大吾
プロ営業コンサルタント
株式会社プロップス
代表取締役
 
大学卒後、1995年大手情報商社(東証1部)に入社し、全国の中堅・中小企業に対し、データベースマーケティングやコストダウンノウハウの提供を行うコンサルティング営業職を経験。その後、中堅独立系コンサルティングファームに入社。程なく全国8拠点(当時)の営業統括責任者に就任し営業体制の構築、営業力強化に尽力する。2003年大手監査法人系コンサルティングファーム、トーマツコンサルティング㈱【現デロイトトーマツコンサルティング㈱】に入社。同社マネジャー、トーマツビジネスマネジメント㈱シニアマネジャー職を務めながら、主任コンサルタントとして企業の収益向上、営業力強化、組織活性化、営業管理者向け教育研修など、多くの実績、経験を積む。2009年中堅・中小企業や店舗へ向けた営業・販促コンサルティング及びWEB販促サポート事業を主軸とした㈱プロップスを設立。経営課題の本質を的確にとらえ、現場の理解を得ながら確実にチェンジマネジメントを実行するそのスキルとパワーに、経営者や管理者層だけでなく、現場最前線の営業マンからも多くの支持を得ている。現在も上場企業から地場中堅・中小企業の営業コンサルティングや教育研修をメイン業務としながら、自社オリジナルCMSによる販促に役立つ中小企業・小規模事業者向けホームページ制作なども精力的に行っている。専門分野は「営業」「組織」「事業戦略」。さらに、複数のIT企業とのビジネスアライアンスにより、中小企業や店舗の営業・販促力強化に役立つWEBサービスの開発・導入にも邁進中。

『九州ウーマン』
http://www.kyushuwoman.net/

株式会社プロップス
HP: http://www.props-co.jp/
FB: daigo.murakawa
川崎 光雄
医療経営プロデューサー
株式会社カテナシア
代表取締役
 
全国で数少ない、実績のある産婦人科及び女性診療科専門コンサルタント。また女性組織におけるマネジメントの専門家。大学卒業後、新卒時から広告代理店で営業トップを記録。その後、会計事務所勤務&コンサル会社を経て、船井総合研究所に入社。医療経営部門の中心メンバーとなり、特に産婦人科や女性診療科の専門コンサルタントとして実績を残した。2011年より株式会社カテナシアを設立。医療経営プロデューサーとして、医院の開設、増改築、スタッフ育成、増患対策など院長参謀として全国の個人開業医、産婦人科施設の経営を支援。ノウハウや情報の提供だけでなく、その施設や職員全体の長所を把握し、院長(経営者)・職員・患者様の3方善になる方策を考え抜くのがスタイル。マーケティングや財務、WEB、接遇などは、単独プレーに拘らず、スペシャリストを招聘して、チームで施設や職員の向上を図る。年間280日以上、クライアント施設で仕事をし、医師とは年間に延べ300人以上、看護スタッフとはこれまでに延べ8,000人以上と面談。1つ1つのことにトコトン向き合って、現場課題の改善と発展に努めている。2代目院長の事業継承や、経営指南、ドクターズサークルの活動も実施。最近では、医療関連企業への支援や、コラボレーションも増えている。医師会や院内研修での講演、受付スタッフ接遇塾やスタッフ合同勉強会など参加者が多数。春と夏の産婦人科医師実践会や、年末には師長・主任合同合宿会が開かれ恒例行事として盛り上がりを見せている。

株式会社カテナシア
HP: http://www.catenaccia.com/
取材:2011年12月

2011/12/09


■ INNOVATION #02

powerdby