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■ CREATIVE #08
「けったいな仲間」が織り成す「ものづくり論」 vol.2
アイデアのだしかた

牧野氏:あのクローバーのヒントも鈴木さんから貰ったしね。やっぱり立体的な仕事してはるから僕には刺激的。
もっとその、鈴木さんの言う「しょうもないこと」を言ってもらって良いんですよ。失礼だけどその9割は「ちょっと違うな」と思うんですけど(笑)でも残り1割が逆にドストライクがくる。
河手氏: ドストライク(笑)
牧野氏:そう、あのクローバー(のデザインアイデア)はびっくりした。やっぱりすごいなと思って。
河手氏:あのクローバーは鈴木さんだったんですか?
牧野氏:鈴木さんはあれの元になるものを作ってたんですよね。「こんなの作った」って見せてもらって「うわー、これちょうだい」って頂きました。
今も自分の仕事場に吊ってるんだけど、これは自分だけの世界に入り込むのを戒めるためにいつも眺めてる(笑)
まあ僕はご飯食べててもテレビ見てても、お風呂入ってても何してても、頭の中は常にデザインのこと考えてますね。
中野氏:そうそう、常に考えてるでしょ。
牧野氏:面白いことがあったら必ず自分の頭の引き出しに入れとくんです。で、あとから思い出して、そうそうこんなんあったとか。そうすると(アイデアが)ピンと出てくるような感じですかね。
中野氏:一緒、一緒。
河手氏: 僕は紙の見本を見ながらですかね。で、その後自分を落ち着かせて考える。

牧野氏:この野郎ってね(笑)でもこの野郎って思うのは大事だから、わざと夜中に投げるんだけど、中野さんはいつも「いいじゃないですか!」って絶賛してくれる。
鈴木氏:そうそう、いつもこの二人は(中野氏・河手氏)は絶賛組。
中野氏:僕もやっぱり、日々24時間デザインについては考えておかないとダメですね。
いつも生徒にもそう言うんですけど、ハチャメチャでも、あることないことでも、常に考える。
その中からピックアップできるのはごく僅かかもしれないけど。こんなことしたら面白い、あんなことしたら面白いとかね。
河手氏:案外、全く違う業界の人と話したりするときにピンとくることってないですか?凝り固まった頭の中に他の意見が入ってくることで、「あの人こんなこと言ってたなあ」とか。ちょっと思考が変わって、アイデアが思いつくことってあると思う。
鈴木氏:そうそう。私はいつもダンボールを扱ってるけど、河手さんの和紙って10分の1よりもっと薄くて同じ紙なのに全然違う。それってすごく面白い。
あと、朝方に思いついたりしないですか?夜寝るまですごく悩んでるのに、朝方起きて、あっそうか。こうすればいいんだ!って。
牧野氏:うーん。朝方は無いなあ。夜タイプだし。
中野氏:そうやね。僕等は夜中ですよね。
河手氏:夜中はアカンですよね(笑) 朝方のほうがビジネスには良いんですよ。
牧野氏:夜中に思いついて、鈴木さん起してやろうかなとか(笑)

牧野氏:そんなん怖いです(笑)中野さんとはストライクゾーンが近しいんだけど、中野さんのスタイルにはまらない時は、ああだこうだって言い合ってますよね。
鈴木氏:まあ、変わりもん2人ですからね。
牧野氏:よく言うわ。でもいちばんマトモなのは河手さんだけどね。
河手氏:みんな飛び抜けた発想だったり考えつかないことされますもんね。僕は客観的に見てるのかもしれないけど、そういう考え方があったのかと常に驚きです。
鈴木氏: その前段階で苦しんでる時のほうが楽しいんですけどね。(アイデアが)出ない出ないって苦しんでるんですよ。そこがすごい楽しい。
牧野氏:産みの苦しみをニヤニヤしながら楽しんでるよね。出ないときは出ないですからねえ。でもある瞬間にパチンと来るんですけどね。
河手氏: そういう時、僕ができるのは「良いですねー、良いですねー」っておだてる(笑)。なんかスイッチが入るきっかけにならないかなと。まあ、それしかできないけど(笑)
牧野氏:うーん、なんだかみんなに転がされている気がする。
河手氏: 最終的に僕としては牧野さんに託すしかないから(笑)

それをまとめて料理するのが自分の役割りかなと思う。だからこの「こんがらし」のデザインを自分が握ってるという感覚は無いんですよね。
みんなから(意見を)貰えないと同じデザインばっかりになっちゃうし、そうすると面白味が無くなる。だからいつも会った時には「何かない?」って聞くようにしてます。
河手氏:僕もいつも気にするようになりましたね。これ牧野さんに投げたらどんなものが出てくるのかなとか。
牧野氏:河手さんはいろんな情報をみんなに投げてくれるから「これは面白い、これは興味ない」って自分で振り分けてます。この前のあれは面白いから取り入れてみようとか。
河手氏: アレンジしてみたらどうなる?というようなことはみんなで話しますよね。
牧野氏:中野さんが魚持ってきて、鈴木さんが肉持ってきて、河手さんが野菜持ってきて、そこからチョイスするって感覚かな。
キリのつけかた

中野氏:本当は100点で出したいところなんですけど(笑)
牧野氏:100点なんか僕1回も出したことない(笑)
中野氏: いやいや僕もないですけどね(笑)いつも出したあとで、ああすれば良かった、こうすれば良かったって悩むんですけど、かといって時間を貰ったからって出来るもんじゃないですよね。
アイデアが出てこない時ってシャカリキになっても出てこないから、逆に時間がないのに全然違うことやり始めたり、またそれがスタートかかってしまって、もっと時間が無くなってしまうことってどうしてもありますよ。
牧野氏:鈴木さんは?仕事の数がすごく多いもんねえ。納期に向かってがーっと?
鈴木氏: 75点くらいは絶対。まず納期だけど、これは絶対渡したくないという時はトコトンやります。
河手氏: 僕は紙自体を販売するというのが基本ですけど、これを使ってこういうの作って欲しいとなると、やっぱり品質が一番ですから難しいですね。あとの返品とかやり直しを考えたら80点くらいの完成度は必要かな。

するとだんだん85点だったものが82点になり、75点になり・・すごく自己嫌悪になっていく(笑)
中野氏:仕上がりにはどうしても自分の想いが出てきますもんね。
鈴木氏: 私も悩むのは悩むんですけど、お客さんの喜んでくれる顔を見れば、もう大丈夫ですね。
牧野氏:あまり自信ないところをクライアントに褒められると無性に腹が立つ(笑)見る目ないなーと思って。逆に自信あるところをけなされたら、ホンマに見る目ないわって(笑)
鈴木氏: どっちにしても見る目ないと思うんや(笑)
2012/11/14