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マンガキャラクターで描くブランドストーリー vol.2

小川氏: このウルス君も、はじめはどうかなと思われていた社員の方にも、展示会など社外的に使ったりすることで、だんだん浸透していったようです。

工具メーカーさんでこれだけキャラクター戦略するところは無いですから、展示会でも随分目立っていましたね。

小橋氏: ということは、製造業さんに対しての成功モデルになりますよね。そこに小川さん的に今後の何かはあるんですか?

小川氏: まず企業として社内が皆、同じ方向に向かって力合わせておられるからこそ、キャラクターに求められた成功は納めたと思うんですね。

他の企業さんにもできると思うんですけど、社員さんたちに一緒にやろうと言ってもらえない社長が一人、旗振ってキャラクターをやるぞといっても。。そこが僕等の口出しできないところなんです。

企業のキャラクター案件を頂く際、まず社長さんに「社員の方たちはどう思われています?」って聞くんです。

社内に何の共通認識も無いのにやろうとすると、社員さんには若干ハテナがついたりモチベーションが下がったりする可能性があるんですね。

面倒くさいでしょうけど、やっぱり社内を巻き込んでいただいて、その上で費用をかけていただくことが必要かなと。それこそ会社経営の部分なので小橋先生の領域だと思うんですけど(笑)

小橋氏: ブランド戦略で一番大事なのはインナープロモーションなんですね。インナープロモーションで成功しない限り、外に対するプロモーションなんて全く成功しないんです。

20年ほど前、僕はCIのコンサルタントをやっていたんですけど、新しいCIのブランド戦略もインナー、社内に対してどれだけプロモーションするかで決まるんです。

共通意識を持ってさあ皆でやるぞ、と統一意識ができて初めて、シンボルマークが新しくなる意味がある。キャラクラーも同じだ思うんですね。
小川氏: そうですね。同じですね。

小橋氏: その際のプロモーションの仕方がグラフィックと違って、小川さんの場合はマンガで表現できる。しかもストーリー立てたシリーズ化して登壇させることができるから、社内外に対しても、プロモーションし易いということがあるんじゃないですかね。

小川氏: それはありますね。絵そのものだけだと、ぱっと見て瞬間で判断されてしまいますけど、キャラクターにストーリーがあるとまた違いますね。しゃべったり笑ったりしますから。親近感が違います。

小橋氏: 商品のシリーズ毎にマンガのストーリーが変わったりすると面白いもんね。

小川氏: 展示会でも、お客さんのお子さんから「これ知ってる」って言われると、やっぱり嬉しいですね。どこかで見て覚えてもらっているということは、なんとか役割りを果たせているのかなと。

このキャラクターを見たらこの会社、と自動的に思い描いていただけるところを目指したいですね。

ウルス君の(株)エンジニアさんがすごいなと思うのは、どんどんキャラクターを使って、ぬいぐるみやグッズを作られているんですね。

僕等はマンガしか描けないのでそういった提案はできないし、どんどん使っていただいて結構ですと言ってるんです。考えたらそのやり方って「くまモン」より早かったかもしれないですね(笑)
小橋氏: 小川さんはキャラクターを展開するためのプロデュースは考えてないの?

小川氏:そうですね。本来僕等がやらないといけないんでしょうけど。お客様がそうやってどんどん自分でやってらっしゃるし、僕等は零細だから。。

小橋氏: いや零細だからこそ、他のイラストレーターとは違うよっていう、自社のアイデンティティを明確にするために必要じゃないかなと思うんだけど。

小川氏:うーん、やっぱり職人なんでしょうね。マンガを描くことに特化してますね。

小橋氏: そういうポジショニングの採り方って「言った者勝ち」だと思いますよ。

小川氏::うーん、じゃあ言ってみましょうかね(笑)

小橋氏: どっちかというと、まだ自分の枠の中だけでマンガを描いているように見えているんですよね。だから美味しいところを他に取られてる(笑)

小川氏: ああ、なるほど(笑) 

小橋氏: 「ゆるキャラ」ってここ数年ブームじゃないですか。キャラクターを作りたい行政も、まだまだたくさんありますから、そこに「キャラクター専門」と切り込むとか。

小川氏:でも行政って予算が無いですからね。大体キャラクターは公募だし。

地域のフリーペーパーで地元の歴史を伝えるマンガは描かせていただいていますけど、ビジネスにするというのは、行政ではなかなか思い浮かべられないんじゃないかな。
小橋氏: 僕が思うに、行政との仕事は実績作りだけであって、小川さんのブランディングなんですよ。そこで儲けようと思うと間違いが起きる(笑)

小川氏: あ、そうですね(笑)

小橋氏: キャラクターって、商標や意匠といった知的財産に直結していますね。知財の部分としてそれを考えると、大きなビジネスになるんです。

自分たちでキャラクター創ってどんどん発信していけば、使いたい企業が出てきてライセンスを結ぶとかね。

小川氏: 以前小橋先生が仰っていた「消費と所有は違う」。これが頭の中に残っていて、そうか、まず消費だって。

小橋氏: そうなんです。消費させるとそのうちストックしたくなる。

小川氏: まず消費させるための場づくりが必要なんですね。

小橋氏: コレクターが多いのはそこなんです。ぼくも仮面ライダーやウルトラマンといったマンガ世代ですけど、ミニチュア等のコレクションする人が多くいますよね。それが大きな市場になっている。

情報でもキャラクターでもなんでも、まず消費させるんですよ。そうするとストックする時が絶対来ますから。そのときビジネスになる。

小川氏: それを成功するかどうかわからない内から、地道にやっておかないといけないんですね。

小橋氏: 今は電子ブックというのがあるから、ワンコインでダウンロードして消費してもらって、ということをやりながらストックしてもらえれば良いわけですよ。

でもそういうことって僕はコンサルだから、こういう話まではできるけど、実際は現場の人しかできないわけですから(笑)

小川氏: そうですね。1日も早く実現させるために日々がんばり中でございます(笑)

2013/06/17


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