■ ADV(アドボカシー)な人々 #06

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LIFE VIDEO株式会社 土屋 敏男「いまのきもち」vol.5

谷本氏: 50年前は自分のビデオを作ることなんて考えられない時代ですけど、50年後に映像で残すって大事ですよね。

土屋氏: その人が生で映っているからね。今4Kが出てきて画質がすごく良くなってるけど、画質が良くなるとその人の佇まいの情報量が多くなるんです。伝わってくるものも多くなる。この前70代の女性を4Kで撮らせていただいたんですけど、すごく良いんですよ。品が出る。4Kって本当はインタビューに使うべきだね。

片岡氏: 確かに表情のちょっとした変化とかが違うでしょうね。

土屋氏: 感情が溢れている感じがすごく良くわかる。

片岡氏:起業して2年や3年目の20代の若い経営者が、ぜひ撮って欲しいと言えば、それは受けますか?


土屋氏: この前の32歳の人も半分断りかけていたんだけど、それが10年毎というパックを思いつくわけじゃない? だからやっぱり無理な注文も受けるべきなんだよね(笑)

片岡氏: 無理な注文も受けるべき?(笑) 受けたあとでやり方を考える。 
土屋氏: 面白いものができなかったら自分の負けだろうし。さっきの32歳の人の「TPPに対する意見をどう表明したら良いか悩んでいる」ということも、10年後はもういろんなことが決着していますよね。その時に考えたことでどう行動しているかという検証もできるだろうし、大失敗して10年後の42歳はホームレスかもしれないし。それでも取材に行きますからね。でもそのさらに10年後の52歳の時には議員になっているかもしれないし。

片岡氏: またチャレンジしてですね。

土屋氏: 彼は小学校の時1日8キロ走るって決めてしまったんです。1日8キロだと朝5キロ走らなければいけない。5キロ走ると授業に間に合わないこともあるわけです。朝走って遅れては怒られていた。そういう頑なさみたいなものが今の彼を創っていたりする。

片岡氏: ありますよね。子供の頃からの性格が現在を創っているというのは。

土屋氏: そういう発見が何かあるんですよ。 

谷本氏:今が一番ベストじゃないといけないと思いがちですけど、長期的な視点に立って定期的に記録するというのは、今の失敗も怖くなくなるというか、10年後にまた笑っていればいいやという気持ちになれるって、なんかすごく良いなと思います。

片岡氏:また違う発想になれて面白いよね。
土屋氏: 皆10年前の自分って、こんな自分になると思っていないじゃないですか。だから面白いんですよね。「なんだ俺、そんなこと思ってたのか」とか、「それからいろいろあって、俺ここにいるよ。じゃあ10年後はどこにいるんだろうな」と想像することが10年毎のポイントにあって、映像で記録するって楽しいじゃないですか。

谷本氏:すごく良いですね。

土屋氏: 今テレビで「あの有名なナントカの内実に迫りました」ということをやってるけど、実は解らないものがたくさんあるんです。「どうせ特別な人なんだろうな」と思うわけですよ。

有吉にも言ったんだけど、実は猿岩石の有吉って何でもない人だったんです。何でもない人がこういう状況で旅をし、喜び、挫折し、悲しくなり、ということって面白い。要するに「普通の人って面白いよね」ということが、猿岩石のユーラシア大陸横断ヒッチハイクだった。

「あの頃から有吉の面白さを見抜いていたんですか」ってよく言われるけど、見抜いちゃいない。ただの普通の人なんだから。なすびにしてもね。何にしても「普通の人って面白い」ってことなんですよ。僕があの頃からやっていたのは。それを今もやれているということです。
谷本氏: 「普通の人って面白い」って良いですね。誰もが主役という。

土屋氏: 好奇心が異常に強いんですよ(笑)

片岡氏:土屋さんはすごい細かいとこに普段からこだわりますもんね(笑) なにげなく会議中に配られる和菓子1個にしても、割ったときのあんこの粒がなんとかとか。どこまで見てるんだろうって思います(笑) 

土屋氏: 何でこんなもん作っちゃったんだろうとか(笑)。どういうつもりなのかとか。これ売れると思ってんのかとか(笑)。作ってる向っ側の人の心を考えちゃうんです。

谷本氏: それはテレビ業界に入られてからですか?それとも元々そうだったんですか?

土屋氏: まあでもテレビで育てられたんでしょうね。

片岡氏: 土屋さんのライフビデオを作るとしたら、誰に依頼したいですか。

土屋氏: 是枝裕和さん(笑) めちゃ恐いけどね。

片岡氏&谷本氏: (笑)
土屋 敏男
LIFE VIDEO株式会社 代表取締役社長
日本テレビ編成局専門局長
一橋大学卒業後、日本テレビ放送網入社。 編成部を経てバラエティー番組制作へ。ディレクターとして『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に携わり、プロデューサーとして『電波少年シリーズ』など多数の番組を手掛ける。2006年動画ポータルサイト「第2日本テレビ」を立ち上げ、コンテンツ事業局次長兼「第2日本テレビ」事業本部VOD事業部長に就任。2010年より日本テレビ編成局専門局長に就任、現職。社外では2012年 日本テレビと日テレアックスオンが設立した新会社のLIFE VIDEO代表取締役社長に就任。ATP個人賞、日本文化デザイン賞など多数の受賞歴を持つ。
主な著書:『電波少年最終回』(日本テレビ放送網)
共著:『一歩60cmで地球を廻れ~間寛平だけが無謀な夢を実現できる理由~』(ワニブックス)
LIFE VIDEO株式会社
HP:http://www.lifevideo.jp/
FB: toshio.tsuchiya1
片岡 英彦
コミュニケーションプロデューサー
株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役
一般社団法人日本アドボカシー協会代表理事
世界の医療団(認定NPO法人)広報マネージャー

1970年東京生まれ。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。2013年「株式会社東京片岡英彦事務所」代表取締役、「一般社団法人日本アドボカシー協会」代表理事に就任。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加、フランス・パリに本部を持つ国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。
マガジンハウス/Webダカーポではインタビューコラム「片岡英彦のNGOな人々」を連載中。

株式会社東京片岡英彦事務所
HP: http://www.kataokahidehiko.com/
FB: kataokaoffice
谷本 有香
経済キャスター/ジャーナリスト
山一證券、Bloomberg TVで経済アンカーを務めたのち、米国MBA留学。その後は、日経CNBCで経済キャスターとして従事。CNBCでは女性初の経済コメンテーターに。英ブレア元首相、マイケル・サンデル教授の独占インタビューを含め、ハワード・シュルツスターバックス会長兼CEO、ノーベル経済学者ポール・クルーグマン教授、マイケル・ポーターハーバード大学教授、ジム・ロジャーズ氏など、世界の大物著名人たちへのインタビューは1000人を超える。自身が企画・構成・出演を担当した「ザ・経済闘論×日経ヴェリタス~漂流する円・戦略なきニッポンの行方~」は日経映像2010年度年間優秀賞を受賞、また、同じく企画・構成・出演を担当した「緊急スペシャル リーマン経営破たん」は日経CNBC社長賞を受賞。W.I.N.日本イベントでは非公式を含め初回より3回ともファシリテーターを務める。現在、北京大学EMBAコースに留学中

HP: http://www.yukatanimoto.com/
FB: yuka.tanimoto.50
2014年4月/撮影協力:安廣 美雪(Take_)

2014/04/18


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