■ CREATIVE #08

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■ CREATIVE #08

「けったいな仲間」が織り成す「ものづくり論」 vol.1

「けったいな仲間」が織り成す「ものづくり論」

空間演出用大判和紙のタペストリーアート、坤柄紙(こんがらし)というプロジェクトを興されたクリエイターさんたちの対談です。今回の取材は、この「こんがらし」のタペストリーを展示されている京都四条堀川 懐紙専門店「辻徳」さんの店内で行いました。

創業65年 和紙商・小野商店の三代目、和紙演出士の河手宏之氏をはじめ、ヴィジュアル計画マーレのグラフィックデザイナー牧野博泰氏、博物館やイベントでの展示画や立体物を制作され、海外でも多数受賞されているイラストレーター中野クニヒコ氏と、木型製作とパッケージの設計をされている包装士 鈴木美奈子さんら4人の自称「けったいな仲間」。そのチームワークが織り成すプロジェクトの内側と、若きクリエイター同士の視点を語り合っていただきました。

空間演出用大判和紙のタペストリーアート 坤柄紙(こんがらし/kongara)
http://www.visual-mare.com/kongara/
異業種4人のプロジェクト
牧野氏:そもそも河手さんとこの越前和紙って、切ってみたら面白いよね、という話から始まって、それならって創ったデザインが細かくて、鈴木さんに怒られた(笑)

鈴木氏: 怒ってないし(笑)

牧野氏:いやいや、そんなに怒るか?ってくらい怒られた記憶がある(笑)

そのあとのデザインも出来てたんやけど、「また怒られる・・でも鈴木さんに頼むしかないし」で、ケーキ持ってお願いに行ったよね。

鈴木氏:甘いもん攻めにされたような(笑) 一番最初のデザインは小さかったじゃないですか。それがその後ドーンと大きくなりましたよね。あれって最初から大きくしようというのがあったんですか?

牧野氏:まあ、最初からあったかな(笑)あの時はギフトショーの展示で、春だし桜と波にしようってトントン拍子にデザインが出来上がったんだけど、さあ出来上がったものの、どうする?また鈴木さんに怒られる・・と思って河手さんにお願いしてもらいました(笑)

河手氏:始めに比べるとデザインがだんだん複雑になっていきましたよね(笑)

牧野氏:フィットで出した時はシンプルだったのに、いきなり「浪櫻」は6枚データ。鈴木さん絶句してたやろうなあと思って・・

鈴木氏:絶句・・したんですけど、今思うと、あの「浪櫻」は一番好きですね。あれは今でも一番良いなあと思ってます。

中野氏:うん。僕も好き。

河手氏: 大体デザイン出すのに、100%じゃなくて120%か130%くらいで出しといて、あとで鈴木さんに怒られながら修正されるというのが定番に(笑)

鈴木氏:バレないように、バレないように・・と思いながら「これは無理、ピッ」って消す(笑)

牧野氏:結構、細かいところは消されてて。あとでデータと照らし合わせて、「ああ、あそこ消された・・ここ消された・・」とか(笑)

河手氏:「こんがらし」の影のデザイナーは鈴木さん。というのが定着してますよね。

牧野氏:最初はギフトショーの展示だけで終わるつもりで、思いつきのデザインを鈴木さんに切って貰ったという自己満足的にしか作ってなかったから、これを引き続きやっていこうとか、ビジネスに展開するというのはおこがましいかなと思ってたんですね。

こんなの誰でもできるデザインだし、正直言って中野さんに見られるのは恥ずかしかった。でも中野さんが妙に「良いじゃないですか」って言うから、「え?これってアリなん?」って(笑)

中野氏:僕は今までにないスタイルかなというのは感じてましたね。あの大きさは人目を惹くし、単独で見せ方を考えれば、もっと面白いんじゃないかなと思いましたよ。

鈴木氏:私も「なんかこれっていけるやん」ってことはありましたね。日ごろの仕事とは直接結びつかないけど、会社にある機械を使って、こんなんできるんやという驚きもありましたし、お客様に提案するときにも、もっと広がりのあるものを提案できるようになるんじゃないかなと思いました。

河手氏:僕も展示会だけで完結すると思ってましたけど、結構いろんな評価を頂いたんです。こうすれば良い、こう見せたほうが良いとか。それでその次からテイストがガラッと変わったのがすごく新鮮で。

牧野氏:次の作品は、中野さんの作ってたJazzのフィギュアがカッコいいから、これっていいんちゃう?ってうノリだったんですけどね。

河手氏:Jazzって全く想像できなかったですね。

牧野氏:いろいろ作っているうちに気がついたんです。最初は和紙なのにJazzってどうなん?って思ってたけど、作ってみたらなんかイイ。和紙って千何百年と続く日本の伝統で、手触りも風合いもすごく良いのに、実はすごい無表情で、デザインすることによっていろんな多面的な顔に変わる。

河手氏:デザインしてもらって、ここまで(和紙に)切り込みを入れるってことは、和紙を扱ってて、こんなこと今まで無かったことですから。この次はどうなるんだろう、今回の上をいくものって何が出てくるのかと楽しみです。

2012/11/14


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