■ MANAGEMENT #07

HOME» ■ MANAGEMENT #07 »セキュリティ業界を女性目線で変える vol.1

■ MANAGEMENT #07

セキュリティ業界を女性目線で変える vol.1

セキュリティ業界を女性目線で変える

今回はセキュリティ業界には珍しい女性防犯アドバイザー 京師 美佳氏と、経営コンサルタントの小橋壽也氏の対談です。京師氏は個人だけでなく企業の防犯セキュリティにも詳しく、先進国の中でも警戒心の弱い日本において、日々高まるリスクへの警鐘を鳴らす活動を行っておられます。なぜ日本人は危機感が薄いのか。企業のリスクに対する考え方について、京師氏の想いを語っていただきました。
小橋氏: 防犯セキュリティ業界で女性は珍しいですね。

京師氏: ほとんど男性ですね。でも防犯の対象となるのは、やはり女性が多いですし、またお子さんやお年寄りなど社会的に弱い方々ですから、同じ立場の視点でアドバイスさせていただいています。セキュリティってどうしても機能重視になりますから、女性視点の美的感覚がほとんどないんですよ。まるで刑務所のようになっていたりするんです。

小橋氏: 刑務所ですか(笑)

京師氏: ええ。防犯カメラや鍵やガラス、電気関係といった専門分野にはそれぞれの専門家がおられますが、全体のデザインを組み立てる防犯プランナーとして、いかにお洒落に組み立てるかが設計のポイントになります。例えばデザイナーマンションやデザイナービルの場合だと、見るからの防犯カメラが登場しては、せっかくの美的価値を下げてしまう。そこにお洒落なセキュリティ設計を施すことによって、ビルの機能も上げつつ価値も上がるんですね。

また店舗の場合、内装に合わせた防犯カメラをつけて、昼間はお店のCMを流し、夜は監視映像に切り替える。そうすることでお店のPRができますし、夜間はショーウィンドーから、いかにも撮っていますと判るので防犯になる。そういった例もあります。

小橋氏: なるほど、そこが女性目線なんですね。

京師氏: せっかく女性ということでご依頼いただいているので、男性目線とは違うことができますね。業者さんが一度設置されたものでも、プラン変更させていただくこともあります。これはお洒落じゃないからこうしたほうが良い、という感じで。

小橋氏: 特に女性からは相談し易いでしょうね。
京師氏:マンションの改修や戸建ての物件でも、ただ単にセキュリティが設備として入っているだけではなくて、お洒落なセキュリティをプランすることで、物件が完売したということもあります。

小橋氏: 僕等の考えるセキュリティというとどうしても、威嚇効果として明らかにカメラで撮ってますよということを見せれば、警戒心を煽れると思いがちですが。

京師氏: そこはすごく大事なことで、今時の防犯カメラって、昔のようにカメラを隠して設置するということじゃなくて、表から見えるように設置するんです。見るからにセキュリティされているとわかることによって、被害を未然に防ぐことができます。それでも入ってくる者は入って来ますが、如何に入らせないかと、より威嚇効果を高めるためにも、あえて取って付けたような設置をすることもあります。

その上でお洒落感を出さないといけないので、防犯カメラのカバーの色やデザインを、オーダーすることもあります。いつだったか、大阪駅近くのLouis Vuittonのショールームに、お洒落な防犯カメラが飾られていたことがあったんです。セキュリティも安全だけでなくお洒落に使えるという例で、見て嬉しく思いましたね。

小橋氏: 危機管理だけじゃない使い方ですね。

京師氏: セキュリティってやっぱり万が一の時のモノなんですね。でもその感覚でいるとなかなか財布の紐は開かないんです。世の中不景気だからもったいないとか、何かあってからでも良いかとか。

小橋氏: 何かあってからでは逆に損害が大きくなる。
京師氏:少し前もってコストを使っていただければ、損害を最小限に抑えられます。でもそれには、日ごろからお役に立っています感が必要なんですね。例えばペットホテルにネットワークカメラを設置することで、盗まれないように監視できますし、お客様はパソコンで、預けた自分のワンちゃんの様子を見ることができます。最近は便利にも安心にも使っていただけるという付加価値のあるものを求められています。

小橋氏: 安心だけじゃなく目に見える効果が要るんですね。企業の場合はどうですか?

京師氏:企業が情報漏えいで信用を失うという事件が、これだけニュースに出ていて話題になっているにもかかわらず、あまりお金をかけていないところが多いですね。大体、企業の情報漏えいは、社内の持ち出しによるケースが非常に多いんです。

小橋氏: 社内流出って多いですよね。

京師氏: それでも野放しで良いのかという話で、情報を持ち出される場所というのは、企業だとサーバールームや役員室、医療機関だと患者さんのカルテの保管場所、大学の研究室や学校の職員室など、やはり限られているんですね。

そこには特定の人だけ出入りできるようにするだけでも違ってくるので、もう少し危機意識を持っていただきたいんですが。実は情報を持ち出すこと自体は犯罪じゃないんです。電気を盗めば窃盗になりますし、勝手に侵入すると不法侵入を問えるんですが、「情報」に関しては窃盗にはならない。

小橋氏: 情報を持ち出しても犯罪にならないんですか。

京師氏:はい。持ち出したところで何の問題もなく、ただ会社の信用が落ちるだけです。
  • 1
  • 2

 

2013/06/25


■ MANAGEMENT #07

powerdby