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■ CREATIVE #07
人が集まる/人を集めるプロジェクト vol.2
誰の問題を解決するか

佐野氏:実際にこういうのを作るのって、なかなかコストに見合わないですよね。
でも、以前から江口さんがブログに環境問題についての意見や考えを書いておられたのを読んで共感して。
それできっと江口さんならいい作品を作っていただけるんじゃないかと、勇気を絞って電話しました。
若い人にゴミ問題を考えてもらいたい、それには使いやすいゴミ箱を作りたいっていう構想を話したら、江口さんに「かっこいいね」って言ってもらえて。
江口氏:環境問題のことはよく書いてるね。街にゴミ箱がなくなると街にゴミが増える。この話をもらったのは1年半くらい前だったかな。
佐野氏:ええ、東日本大震災のあとくらいですね。

ゴトウ氏:(笑)それ辻褄あわないですよね。
江口氏:「言うだけかよ、お前」ってことになるので(笑)、やっぱり公共物のデザインだから、そういう視点がシリアスになるなるのもポイントかな。
ゴトウ氏:活動を行う上で、そういうところを教えていくってものあるんじゃない?
佐野氏:ええ。教育ということも視野に入れたいですね。みんな家庭の中でゴミはゴミ箱に捨てましょうと教育されてるのに、なぜ外でそれができないのか。
マックでバーガーを買ってゴミを捨てるときに、なぜ親から教えられてきたことを実際の世の中にアウトプットしないのか。
江口氏:自分もそうだったかなと?(笑)
佐野氏:ええまあ(笑)自分もそうだったと反省も含めて。
ゴトウ氏:行政が踏み込めないところに、企業が踏み込みやすい媒体になってるところが面白いと思いますね。
佐野氏:あくまでも税金で解決するのではなく、対価として企業に関わってもらって完結できればと考えています。

佐野氏:行政と一緒にやることで、信頼とか実績のメリットはありますが、行政と一緒にやるからといって、自分たちの解決したいことがすぐにお願いできるわけではないですし、補助金にも頼らずに自分たちのビジネスモデルでやっていけることが理想です。
江口氏:デザインのコンセプトを決めるとき、街のアイコンにしたいと思ったんですね。
これがあるところには情報があって、ゴミを捨てるときにその情報が得られる。そこに何かがあると予感できるような。
地域にスポットあてると、バルって最近増えてますね。最近の社会構造でよくあるいろんな要素をガチャガチャっとまとめて、その中の多様性を楽しむということなんですけど、このクロスポストもそういったところに関わっていくと面白いんじゃないかと思うんですよ。
最近のバルって結構凝ってたりしますよね。サイトもガイドブックもよく出来てる。そこにゴミ問題も解決できるとなると主催側もリピートしやすいんじゃないかな。

ゴトウ氏:参加する側の意識をどこまで持てるかというきっかけになるし、主催者側にもいい喚起になりますね。
江口氏:フジロックフェスティバルも1年目にゴミ問題が酷くて、2年目はもう辞めようかという話になりましたけど、イベント主催者側が声をかけて「世界一クリーンなロックフェス」にしようと活動して、キレイに終了してるんですね。やっぱりあそこまでやってこそイベントだと思う。
僕は大阪の住吉区に住んでるんですけど、正月の住吉大社ってゴミがものすごいんですよ。街中にゴミが捨ててある。
出店側はそこまで責任もてないから地域の人が一生懸命掃除してる。あれ見てるとイベントって何だろうと考えるんですよね。
ゴトウ氏:地域で解決する問題と企業が解決する問題と両方ありますね。

ファストフードも利便性の高い容器を出すけれど、企業の社会的責任としてそのゴミの処理ができるかといったらそこまで見切れない。だとしたら自分たちがそういった橋渡しができると理想的です。
そこにデザインの重要性や影響は大きいと思うんですね。普通のゴミ箱じゃないということも広告主の企業にとってもメリットになる。
ゴトウ氏:それだけでその地域や企業価値が上がって、どんどん浸透していくようなしくみ。
ゴミ問題に特化しなくても他の社会問題にも波及したり、影響していくような気がしますね。
2012/10/09