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「パパたち」が創り出す、楽しい子育て環境 vol.1

 
 性別の役割分担意識が根強く、家事や育児などの家庭責任が男性よりも女性に偏っていると指摘される日本。少子高齢化に伴う人口減少を補うため、女性労働力のさらなる活用を推進するためには、バランスのとれた家庭内での役割分担、二人で子供を育てるという意識の共有が必要だ。
 
そんな中、男性目線で育児や家事を応援するコミュニティや、パパもママも一緒に子育てを楽しめるような仕組みや環境を整える企業の動きが目立ってきた。 パパが子育てに積極的に参加することを提案するスーパーダディ協会の高橋一晃代表、そして、働く子育て層に向けたコミュニティサービスを展開する、株式会社センジュの曽原健太郎代表に話を伺った。
[参加者]スーパーダディ協会 代表 高橋一晃氏/株式会社センジュ 代表 曽原健太郎氏
[インタビュアー]片岡英彦氏(戦略PRプロデューサー/谷本有香氏(経済ジャーナリスト)
 
 
パパが皆「イクメン」なのは当たり前
 
谷本氏:高橋さんはスーパーダディ協会の代表をされていらっしゃいます。これはいわゆる「イクメン」とはどう違うのですか。
 
高橋氏:曽原さんともよく話しますが、子供を持ったらみんな「イクメン」であるはずだと。パパ=イクメン。それは当然のことなので別に「イクメン」とは騒がなくても、皆さん普通に育児すべきだと思うんです。だから、もうちょっと志を高く「スーパーダディ」と名づけました。育児に関してもっとアクティブにしないとアンテナも伸びません。「イクメン」と「スーパーダディ」とはそこが違うと思います。
 
スーパーダディ協会という、わかりやすい名前にしているのですが、実は最初はスーパーマンから入ったんです。スーパーマンをモチーフにして、スーパーマンみたいなパパになりたいなと、思いまして。周りをよくみると子育てしている人いっぱいいたんです。だけど、今まではあまり子育ての話はしてこなかったんです。でもスーパーダディのメンバーが集まりだしたら、飲み会や会議の中で、子供のことを語るようになりました。語るようになると、それぞれがちょっとした悩みを抱えていることがわかりました。奥さんが働きたいけど働けないとか、奥さんだけ外出できないんだとかいう悩みが多かったんです。
 
そういうことをみんなどうやって解決しているのか。みんな集まると知恵を出し合って、前向きに色んな話ができんじゃないかなと思ったんです。ただ、ファザリングとか難しいコンセプトで集まってしまうと、続かないなと思いまして、少し楽しい名前にしました。楽しそうなことをやってそうで、少し派手に見えるかもしれませんけど、あそこの集団に入ると、もしかしたらその、仕事の人脈も作れんじゃないかなみたいな、そんなところから始まっています。
 
 
谷本氏:曽原さんは、働くパパやママを応援するためのアプリを作っていらっしゃいます。
 
曽原氏:僕はもともと学生時代にやっていた会社と、マッキンゼーで働いていた時に、こども園や保育園の立ち上げ支援をプロジェクトとして行いました。その中で保育園の現状を知る機会がありました。個人的には保育園はこのままだとそんなに増えないと考えています。規制上で決まっている賃料や保育士のコストを捻出する体力のある自治体が多くないからです。
 
こうした点を問題意識として持っていました。ただ、個人的にはもうアメリカに移り住もうと思っていたのであまり意識はしていなかったんですが、紆余曲折あり起業することになり、会社を辞めまして、そのタイミングで妻の妊娠が発覚して、せっかくだから興味事とあと自分の経験とマッチするものをやっていこうと思い子育て層をターゲットにした事業を始めることにしました。ベビーシッターを派遣しますみたいなサービスを考え、色んな企業さんと話もしていたんです。
 
そんな中で、働く子育て層が、今、すごく見過ごされていることに気づきました。そして、何が一番困るのかというと、情報だろうと。実際ママ友ネットワークでは普通に取れる情報も働きながらでは取りづらい。時間が無い人が情報を得たい時、ジェンダー分け隔てなく、取れるものを作ろうと思いました。
 
谷本氏:ロゴも、理念を象徴するかのように皇帝ペンギンを使っていらっしゃると伺いました。
 
曽原氏:皇帝ペンギンは、オスも子育てに参加します。ロゴは子どもと親ですが、オスにもメスにも見えるデザインにしました。実際にアプリの開発を始め、他のサービスを見ると、育児のハウツー系等はありましたが、子供と一緒に楽しむ、みたいな要素が抜けていました。でもそれってパパにとっての関心事としては大きなところでした。楽しむことを軸にしたサービスなりメディアなりがないかなって考えた時にスーパーダディさんのことを知り、すごいコンセプトが似ていますっていう話で、夏ぐらいにお会いしました。
 
谷本氏:お二人で実際にお話されて、共感される部分はありましたか。
 
曽原氏:初めてお会いして、子育てやサービスについてどう考えているかというような話をしましたが、考え方などマッチするところが多かったですね。うちはそのcomolibのアプリで、ベビーカーでも入れるところや、授乳室があるところの情報を提供することで、お母さんにはもちろん使ってもらいたいのですが、一番は家族で自分たちが行きたいって思えるところに行ってもらいたい。つまり、必ずしも子どもが中心にならないことだと思うんです。
 
自分たちが美味しいもの食べに行く、かつ、そこにはベビーカーを置ける、そういう考えをしており、そのための情報と位置づけているんです。ある意味、子供に媚びないということなんですが、それは正にスーパーダディさんも思っていらっしゃることで、意気投合しましたね。
 
 
 
日本人流「サムライ子育て」を実践
 
谷本氏:お二人は似たようなビジョンを持ちつつも、年齢差20歳というジェネレーション環境の違いがあるのですが、子育てに関してはそれぞれどのような価値観をもっていらっしゃいますか。
 
高橋氏:子どもを授かる前は、子どものことを、あまり考えたこともなかった。どちらかというと、レストランの中に子どもがいると、「うるさいなぁ。でも、注意するのもわるいし、自分たちでちょっと他の店行こうか」っていうタイプだったんです。でも、子どもができて初めて色んなことを考えるようになりました。例えば、自分が親になると、父にどういう風に育てられたのかなどを考えたり、雑誌や新聞を読んでも、子どものことについて書かれている記事に目が行くようになりましたね。
 
また、街中を歩いている親子を見ると、あ、パパって全然いないんだ、実は日本って家族を大切にしない国なんじゃないかな、と思ったんです。そして、それはやっぱり父ちゃんが悪いなと。だとしたら父親がもっと参加すればいいのだと。パパの知力・体力も子どもに植えつくし、ママとパパの双方の考え方も入っていくので、少数精鋭の日本人の子どもが育つのかなと。
 
谷本氏:実際、それをご家庭でも実践されていらっしゃるんですか?
 
高橋氏:年をとってからの子どもということもあると思うんですけど、時間があれば子どもと一緒にいながら、自分の生きてきたこと、得たことなどを話したりして接していきたいという気持ちがあります。それには、自分がやりたいことをやりながら子育てをするっていうのが一番。子どもに媚びないっていう、子育てスタイル。僕は「サムライ子育て」っていう風に思ってます。「日本人流子育て」スタイルができればなと思っています。
 
谷本氏:片岡さんは、高橋さんと同世代ですよね、
 
片岡氏:そうですね、上が結構もう上で、5年生11歳です。下が同じぐらいで7歳です。両方男の子なんですが、子どもとお母さんの関係って濃いですよね。父親も入っていけない世界を感じています。別に「排他的」なわけではないんでしょうけど、なんというかこのクローズドな世界になっているようにも感じます。あと先ほどのお話にもありました、ママ同士の会、あそこもちょっと私には入っていけない世界なのかな~と。
 
昔は「頑固おやじ」という言葉があり、今で言う「子育て」とは少し距離感があるニュアンスでした。威厳があり、あまり子供には細かいことを言わない父親。だけど、「子どもに媚びない」というスーパーダディとも、やはりちょっと違う感じもします。その違いというのは、イメージとしての「頑固おやじ」とは違い、もっと積極的に子育てに関わっていくという、そういう感じなんでしょうかね。
 
 
 
「結婚したら辞める」は昔の発想
 
谷本氏:曽原さんのように若い世代だと、お父さんとお母さんが家事や育児に両方がコミットするというような考え方、価値観は、意外に自然に受け入れているのですか?
 
曽原氏:そうですね。僕の大学の同級生とかを見ても皆さん優秀なので、働いたほうがいいだろうという思いは当たり前のようにあります。僕もかみさんも結婚する前から常に、このまま働いた方が絶対に良いよね、多分、家にいたらストレス溜まるんだろうなと。逆に僕が家にずっと居られるかって言われたら、居られないタイプなんです。
 
そういう価値観なので、本当に当たり前のように結婚するって決まる前から、普通に職を辞めるのはないねと考えていました。だから、家を探す時も、区の待機児童をちゃんと全部調べて、家の距離の10分以内に保育園がどれぐらいあって、そこの空き状況などを調べました。それが当たり前だと思ってますね。
 
谷本氏:共働きで、互いに育児にも関心を持ち、行動に移すということが当然なんですね。
 
曽原氏:うちの会社でインターンしている学生もそういう人がやはり多く、良い大学に行くと、普通に寿退社、結婚して家庭に入りたいみたいな人が周りに多いのも確かですが、一方、ちゃんと自分で将来もずっと働いていきたいというようなことを考えている学生もいるんです。
 
ですので、入る会社はどういう風に決めるかとか、どういったサービスが今後必要になるかなど意識しているようです。大学生ですよ。子ども生むとか育てるなんて十年くらい先かもしれないと思うんですけど。でもやっぱりそういう意識が必要だと思うからうちに入ってインターンしているんだろうなと思うことがあります。昔のように会社入って、どこかで結婚して、結婚したら辞めるよねっていうのが当たり前の時代ではないなと思っています。
 
 
 
子育てはマネジメントと同じ
 
谷本氏:特にバブル世代の男性などは、結婚は後でと考えがちだったように思うんですよね。そのうち結婚して、子どもができたらできたで奥さんに任せる、というような。しかし、曽原さんの、子どもを自分のライフの中に組み込んでいく考え方って、面白いですね。
 
曽原氏:そうですね、それも結構二分されますね。遊びたいって思う人の中にはずっと遊んでる人もいますけど。けれど、子どもから学ぶことも多いです。要は、マネジメントですよね。子どもと、奥さんをステークホルダーとして、一方自分のやりたいこともあって、それをみんなハッピーにさせるにはどうしたらいいか。限りある時間、24時間は決まっているって中で、それをどうマネジメントしていくのか。だから子どもを持ったってわけではないですけど、子どもを持つことで、そういうのが勉強になることも非常に多いです。
 
 
共通スケジュールを持つ
 
谷本氏:普通の職業でも仕事と育児の両立は難しいのに、お二人はとてもお忙しくていらっしゃる。どうやって『マネジメント』出来ているんでしょうか?
 
高橋氏:一生に一度の人生だから、寝る暇を少なくして、4時間眠ればいいと。24時間の中でいかに仕事と、子育てと、家事と、妻と楽しくやるかっていうのを、知らぬ間にマネージングをしていました。スケジュールマネージング。私の仕事(放送局)が特殊というのもありますよね。
 
すごい細かくいうと、朝、起きて、子ども起こして、弁当作って、毎日じゃないですよ。妻とほぼ半分半分なんですよ。弁当作って、子ども送って、会社行く。日によって違いますが仕事をして19時か20時くらいに、妻か僕が迎えに行く。こんな風に毎日を細かくスケジューリングしています。Googleスケジュールを共有して、お互いスケジュールを確認して。妻も打ち合わせ入れるじゃないですか。あ! 先入れられちゃったどうしよ、みたいな。それを一応交渉しながらやっています。
 
曽原氏:うちもそうですよ。基本的にお互いのスケジュール丸見えですよ。そうしないと決まんない。決まんないっていうか臨機応変にできない。
 
谷本氏:スケジュールを共通にするんですね
 
曽原氏:保育園の見学とか普通にGoogleのスケジュールで会議依頼が飛んできますからね。メールで飛んできて、アクセプトみたいな。
 
谷本氏:アクセプト!(笑)。
 
一同:(笑)
 
曽原氏:その日見学行くから、アクセプト、みたいな。
 
片岡氏:時間の「見える化」ができるって、良いですよね。
 
 
 
「ベビーシッターやメイドさんは身近でした」
 
谷本氏:お二人のご家庭では第三者的なサービスは使っていらっしゃるのですか
 
曽原氏:うちはまだですね。ただ、家事代行などのサービスを使うことにあまり抵抗は無いですよ。この前も病児保育とか深夜まで預けても大丈夫な施設を事前に見学に行っています。うちは幸い親が近くに住んでいて、先日はスーパーダディのイベントに招待されたんですが、その時は仕事を18時に切り上げて、親に子供を預けに行って、妻と二人で出かけて、帰りがけに親のところに立ち寄って、子どもをピックアップして帰宅しました。親は久しぶりに会えるので3時間ぐらいだったら苦でもない、そういうのでみんなハッピーになれますね。ただ、家事代行をいつ使うかは、議論が分かれている。お試しぐらいはやっといた方が良いんじゃないかと思っていますね。
 
谷本氏:その理解が男性側にあるのが前提ですよね。取材や座談会などを通じて、理解のない家が結構多いと感じています。
 
片岡氏:男性が、使うなと言うんですか?
 
谷本氏:家の中に他人が入ってくることに抵抗があるんでしょうね。
 
片岡氏:じゃあ、自分が家事をやれって話ですよね。
 
曽原氏:逆にどんどん入ってきて欲しいくらい。でも、僕は、アメリカとかシンガポールに住んでいたので、ベビーシッターさんは身近でした。シンガポールでうちは使って無かったですけど、普通にメイドさんがいて、家の片づけをしてくれるサービスを使っている人も近所にいました。日本人特有の考え方でしょうね。
 
日本では、家事もやって育児もやって仕事もできればやって、というところを全部女性に押し付ける。これは世界で見たら、ものすごく特殊ではないでしょうか。異様な文化と感じることがたまにあります。それは別にそういうのやってくれる人いるんだから、ビジネスで利用して、お互いハッピーになれば良いじゃないですか。だから外部のサービスも普通に使えばいいと思っています。
 
谷本氏:高橋さんの家も、使ったりされてますか?
 
高橋氏:そうですね、僕はなるべく、自分の時間を犠牲にして、家事をやるようにしちゃうっていう風に思っているんです。でも今の話を聞くとちょっと家事代行に…
 
曽原氏:いやいやいや(笑)
 
高橋氏:でもね、スーパーダディの集まりというのはそういう人のやってるアイデアを、あぁ、いいね! っていう風にする集まりなので、僕はもう明日、早速調べようかなと思っています。
 
一同:(笑)
 
 

 

2015/02/25


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