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設計デザインと空間 vol.2

井戸氏:この前のお寺の山門は、どう?

森田氏:山門を最初見たとき、プロポーションが華奢な感じっていうか、女性的でキレイやったんやね。だから、元の形を残したかった。

でも「先生の思うような新しいデザインの山門を作って欲しい」と言われたけど、斬新なアイデアってのはいくらでもあるけれど、じゃあそれでいいのかって話だからね。

そこをずっと昔からお参りに来ていた人たちと、これから来る若い人たちの両方にとって、何か感じるものができないかと、企画するときにものすごく考えた。

だからどうしても天井を作りたかったんやね。なんで天井だったかはここで言えないけど。

その天井を作る大工さんが、原寸大の四分の一の模型を作ってくれた。それをたまたま見に来た住職さんが、「あ、これはええもんができるとわかった」と言ってくれた。もう鳥肌たつほどうれしかったね

井戸氏:その過程って、一番楽しいよね

森田氏:ある種のカケみたいなものがあるからね。 あとから聞いた話だけど、住職さんは、依頼したものの、どんなものができるか解らないし、事情で模型も作れなかったから図面しかない。不安でずっと寝られなかったらしい。

誰かが気に入っても、文句言う人もいる。だけど、あるよね。デザインしてて、ここウケルだろうなってとこ。

落慶法要に呼ばれたとき、檀家さんたちが皆、喜んでくれてたのはうれしかったね。だれも見たことが無い、新しい門をくぐるときの一瞬の風のような空間に、おじいちゃん、おばあちゃんがうれしそうにしてくれてた。

井戸氏:設計って、図面を書いて空間を作るだけじゃなくて、携わってくれる人が乗ってくれるかどうかってすごくあるな。

森田氏:あ、絶対ある。「こんなんできたら面白い」だけじゃだめ。そこにやっぱり建築だから形状的な裏づけも必要だし、人が集まる場所って、じゃあどんな場所?って話になったときに、どこまでなにも無い状態で説明できるかって大事だと思うな。

井戸氏:ある設計の打ち合わせの時、問題が出て、ちょっと安易な方法を提案してみたことがあってさ。

森田氏:だれが?

井戸氏:ボクが。

森田氏:あー、ようあるパターンや(笑)

井戸氏:んで、それダメですって言われた。

森田氏:あー、それうれしいな。

井戸氏:そう。デザインが悪くなるからダメですって言われた。

森田氏:わー、最高にうれしいなあ、それ。

井戸氏:そう。やっぱりだんだん入ってくると、周りも良いモノつくろうという雰囲気になるから、僕ら以上にそういう気持ちになってくれてるんやなと。

森田氏:そりゃ、良い現場やな。こういうものをつくるんやったら、こうしたほうがいいんじゃないですかと周りから言ってくる瞬間がある。これって良いサインやね。

井戸氏:良い建物ができるのは、良い設計士と、良い施主と、良い工務店がいないとできないからね。

2011/12/09


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