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■ CREATIVE #07

人が集まる/人を集めるプロジェクト vol.1

人が集まる/人を集めるプロジェクト

今回は、ゴミ箱に企業の広告を掲載することで地域の環境活動に貢献する事業「クロスポスト」プロジェクトメンバーの方々の対談です。プロジェクトデザインされたソーシャルアントレプレナーの佐野晋士氏、ゴミ箱のデザインを手がけられたプロダクトデザイナー江口 海里氏、アートディレクションのゴトウ シュウ氏の3人に、このプロジェクトに抱くそれぞれの想いや視点、またプロジェクトを組むということについての考え方を語っていただきました。
クロスポストプロジェクト
江口氏:このクロスポスト、事業計画そのものがデザインされてると思うんですよ。

ゴトウ氏:従来からあるビジネスの形とはちょっと違いますよね。ゴミ箱を広告媒体にして景観活動する。

しかもボランティアではなくてビジネスとして確立したいというところが面白い。

でもなぜ広告というところに持っていったの?先にゴミ箱を街に設置しようというところから?

佐野氏:まず街にゴミ箱がなかったというところですね。

で、実際にごみ箱を設置して欲しいとなると行政に頼らなければいけない。行政もテロ防止等の理由で一回下げてしまったからなかなか許可を出すことは難しい。

じゃあどこで活動としてやっていけるかといったら、それは自分たちで営業したことで対価が生まれて、それを活動につなげていけたら、柔軟性もあってスピーディかなと。

江口氏:このクロスポストの活動自体は、ビジネスというより「解決」なんですね。根本にあるのが解決。

決してたくさん儲けるためのしくみじゃなくて、「社会を良い方向へ導くための活動」といった位置づけかな。

普段、僕等が作るプロダクトって、商業ベースに載せていかないといけないんだけど、そうじゃないカテゴリが面白いんですよ。

ゴトウ氏:グラフィックデザインも広告宣伝が育ってきた上に立っていて、モノを売るためにデザインするわけだけど、これは違うアプローチですからね。

江口氏:公共物のデザインってデザイナー冥利につきると思うんです。人々がいる場所にぽんと置かれて、そこにいる全員が平等に使える環境にあるものって、デザインがやらならければいけない役目はかなりたくさんある。

そんな使命感をもってやることなら、ぜひ協力させていただきたいと思いましたね。それに街中に自分の作ったものが置かれている景色ってなんかいいよね(笑)。

先日、神戸まつりと三宮に展示しましたけど、反応はどうでした?

佐野氏:すごく評判でしたね。モノとしてゴミ箱ってやっぱり必要だよね、という声もたくさんいただきましたし、やっぱりデザインも見てもらってることは感じました。

普通ゴミ箱って観音開きが多いんですけど、それがスライドにしてあるので、よく考えられてるなあとか、天板を彎曲するのってたいへんだよねとか、機能性を褒められました。

江口氏:それはうれしいなあ。でも実際、これって今3個しかなくて、ぼくが関わった中で実は最少(笑)。

普段は何千何万個という規模の仕事をするんだけど、たった3台(笑)

佐野氏:スミマセン(笑)

江口氏:逆にそれが結構おもしろくて、僕らは1号機、2号機、3号機って呼んでるんですけど、これらがどのくらい社会に役に立っているのかを考えると、例えば1つのプロダクトがどのくらい社会貢献に繋がるかというのを数値化できるとしたら、これはきっとすごいスコアが出るんじゃないかと思う。

ゴトウ氏:でしょうね。

江口氏:素材もステンレスで、世界でもトップクラスと言われる東大阪のステンレス加工工場の人たちが作ってくれてるんですよ。

まるみのあるデザインだから、悩んで悩んで出来上がって。しかも何回も改良して、今も進化中なんですよ。

1代目が出来てから1年後に発注して2代目なんですけど、作りの精度がめちゃくちゃ上がってたんですよね。すげえなとおもって(笑)。

試行錯誤で作った1代目と、改良点だけシンプルに加えて作り直した2代目からこんなに精度をあげてくるかと。

それでいて素材も見直されて製造原価も下げてと結構すごい。産業の底力を感じましたね。

これ欲しいけど、いくらで売ってくれるんですかといわれることもあるし(笑)

ゴトウ氏:あはは。売り物じゃないって(笑)

佐野氏:(笑)それも良いご意見ですよね。

2012/10/09


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