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逆発想で安心を増やす投資とは vol.1

逆発想で安心を増やす投資とは

今回のフィナンシャル対談は、ひびきフィナンシャルアドバイザー株式会社 代表取締役副社長の仲川康彦氏と、社団法人世界つみたて投資協会代表理事 星野泰平氏の対談です。星野氏は毎月積み立てることで安心して増やせる「つみたて投資」の伝承者として、日本のみならず海外でも評価を得ておられます。安心できる投資とはどのようなしくみになっているのか、なぜ今安心を求められているのかを語っていただきました。
いくらで買えるか。どれだけ買えるか。
仲川氏:「つみたて投資」を普及する活動をされ始めてから何年くらいですか?

星野氏:4-5年になります。

仲川氏:本も出されて、全国に星野さんの考え方に共感されて「つみたて投資」を普及させようという伝承者もどんどん増えて、講演にも引っ張りだこになっておられますね。いま具体的にはどんな活動をされていますか?

星野氏:前職の証券会社を退職して独立してから現在まで、全国北海道から沖縄まで100本以上の講演をさせていただきました。

講演や執筆以外では、「つみたて投資ゲーム」という「つみたて投資」を体感出来るゲームを作りまして、年に全国で10回以上ゲームを主催し、参加者が述べ350名になりました。

今は全国でフィナンシャルプランナーさんたちに集まっていただいて、ゲームを主催するサポートも行っています。

仲川氏:「つみたて投資」は昔からある投資手法ですが、考え方を理解して使っている方は意外と少ないですよね。

星野さんはその正しい考え方を講演でお伝えし、それを具現化した方法としてゲームを開発されたと。ゲームを主催される方はフィナンシャルプランナーの方が多いのですか?

星野氏:そうですね。フィナンシャルプランナーの方々は、確定拠出年金の継続教育として活用されたいとお考えの方が多いです。

仲川氏:「つみたて投資」いわゆるドルコスト平均法は多くの場合、すぐ結果が出ないからと途中で辞めてしまうとか、リーマンショックなどのネガティブイベントがあると怖くなって辞めてしまったりされるんですけれど、星野さんの考え方を学べばなぜ、それが正しく使えるのかという、「つみたて投資の極意」をお聞きしたいと思います。まずポイントはどういうところにありますか?

星野氏:端的にいうと、「商品の値動き」と「投資の成果」が一致しないというところですね。

仲川氏:「商品の値動き」の成績と、「投資の成績」が一致しないと。それは具体的にどういうことですか?

星野氏:一般に投資とは、(投資対象の)商品の価格が値上がりしたら儲かって、値下がりしたら損をする。つまりその値動きをみて投資の商品を選んだり、タイミングを決めるのですが、「つみたて投資」の場合は、その常識が全くあてはまらないんです。

仲川氏:あてはまらない?

星野氏:「つみたて投資」の場合は、仮にAという(投資の)商品を選んだとして、どんどん値上がっていったとしても、損をしてしまうこともあるし、逆にどんどん値下がりしても儲かることもあるんです。

仲川氏:それって普通の考え方だと、えっ?ということになるんですが、具体的には?

星野氏:グラフをご覧いただくわかり易いのですが、一般の投資の場合、1つの変数、「買値からの値動き」で成績が決まります。買値から上がるとプラス、下がるとマイナス。ですが投資は本来、「値動き」だけではなくて、どれだけ買うかという「量」も関係してるんですね。

「量」とはつまり、株だと「株数」、投資信託だと「口数」。「つみたて投資」の場合、「数量」と「価格」という2つの変数がありますから、値段が下がったとしても、その分安く、「株数」や「口数」が数多く買える。

従って値下がりは必ずしもネガティブなことではないんです。「投資」ってスーパーでリンゴを買うのと全く同じなんですよ。

仲川氏:りんごを買うのと同じ?

星野氏:たとえばスーパーに1万円持ってりんごを買いに行くと、1個100円だと100個買えますね。株も同じで、その時に買える数量(株数)を買っているんです。

つまり、「いくらで買えるか」という「値段」と、「どれだけ買えるか」という「量」の二つの視点があるのですが、1回でまとめてバーンと買ってしまう通常の投資では、買った後の「量」は変化しない。

仲川氏:なるほど、1,000円で1回1,000株買ったら、1,000株は1,000株のままということですね。

星野氏:ええ、「まとめ買い」している状態ですから、変わるのは上がるか下がるかの「値動き」だけで、「価格」という変数1つで成績が決まってしまいます。

仲川氏:ということは、一般の投資、つまり1回の投資とは、タイミングにフォーカスしないとうまく儲けるチャンスがない。すごく狭いチャンスを捉えなければいけないってことになりますよね。

星野氏:そうです。そこでうまくいけば儲かりますが、うまくいかなかったら損してしまうと、非常にタイミングに依存することになります。

一方、「つみたて投資」というのは、先程のスーパーのりんごでいうと、毎月同じ額でりんごを買うんですね。毎月その時のりんごの値段で、買える「量」が変わってきます。

つまり、1個100円のりんごが、200円に値上がりすると、1個100円のときには100個買えたりんごが50個、すなわち半分の「量」しか買えなくなる。逆に、1個50円に値下がりすると、倍の200個買えることになります。

株も投資信託も同じで、毎月コツコツ買っていれば、値段が下がれば下がるほど、買える量が増えてくる。これが後から効いてくるんです。

仲川氏:なるほど。値段が下がれば下がるほど、同じ商品だけど、安い仕入れがたくさんできるということですね。

星野氏:ええ。バーゲンセール状態でたくさん買えるんです。投資は、「いくらで買ったか」と、最後に「いくらで売ったか」の値段に、「どれだけ買い込んだか」という「数量」を掛け算すると黒字になるんです。逆に値上がりしてくると、買える量がどんどん減ってしまうので商品自体の価格は上がっても損をすることがあります。

 

2012/09/13


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