■ INNOVATION #07

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■ INNOVATION #07

日本の経済構造・地方再生のカギ vol.3

岩本氏: 局地的にあっても全体的に波及しないという問題。そして日本経済の問題として必ず出るのがエネルギーですが、どう考えてもトータルで見れば原子力エネルギーというのは高コスト、なぜわざわざそこに執着するのか解らないですが、柳下さんはどのように思われますか。
 
柳下氏: いわゆる新エネルギーには、力不足の部分は確かにあるんですね。例えば風力であったり太陽光で全てを賄うというのはとても無理ですから、やはりメインに置くのは火力であることには間違いないだろうとは思います。ただその火力のところで、コストであるとか、発電所の老朽化であるとか、そこを切り口にして「やっぱ原発だよ」という方向に持っていきたい方々が非常に多くて。
 
最近、コンバインドサイクルといって石炭をクリーンに使うという技術開発も出てきていますから、ある程度今のコストよりも安価に取り入れる方向性も出てきています。石炭というのは、実は自治体が困窮している北海道の夕張を一気に救いだすような力のあるエネルギーなんです。
 
岩本氏: 夕張はもう掘り尽くしてしまってクローズしたわけじゃなくて、原価が合わなくなったということなんですね。
 
柳下氏: 原価もですが、クリーンエネルギーに反するということもありましたが、今は技術でほぼ解決済みになっていて、少なくとも地元の分は賄えるくらいの量はありますし、実際に力のある企業も出てきています。北海道の石炭だけでなく、日本は水が豊かですから、水力発電は地方に使い勝手の良い発電方法だと思います。ハイパーローカルの動きではないですが、電力自由化の流れがもっと進めば、エネルギーが地方の活性化にも繋げていけますから。

岩本氏: エネルギーも地産地消ということですね。今ネックになっているのはやはり電力の規制ですか。
 
柳下氏: 原発は言ってしまえば、東電をメインにした電力政策を維持したいというのが、政府の姿勢だと思うんですね。そこをなんとか死守したいのでなかなか進まないという話だと思うので、コストから見ても、地方の活性化という部分で見ても、また原発の危険性を抜きにしても、原発に固執することは非常に愚かしいというか、ナンセンスだと思います。
 
岩本氏: 先日の講演会で、天然ガスの輸入の数量は震災後それほど増えていない、にもかかわらず実際に支払うコストが上がっているのは、円安のためと言うと、「そうじゃなくて、原油の輸入が増えているからだ」と仰る電力関係者の方がおられました。それはそうなんですが、ではなぜわざわざ値段の高いエネルギーを選ぶのか。そして日本の輸入する天然ガスがなぜ高いかというと、高い値段の石油とリンクした方式を取っているから、ということもあります。
 
そこで、そもそもなぜ天然ガスと石油価格をリンクさせているところを切り離ししないのですかと逆にお尋ねすると、明確な答えが無かったんですね。そこは触れてほしくない部分だったのでしょうか。どうしてそうしたことを曖昧にするのか。産出国にぼったくられているのか、同時に電力会社にもいくばくか入っているのか、と考えてしまいますよ。そうした透明でない部分が多くて、それで一般国民は損していることが非常に多い。とは言え震災による原発停止によって業界の抱える問題も随分と明らかになってきましたよね。
 
柳下氏: 結局問題は、交渉力がないというより、交渉する気がないんです。つまり安く買おうという気が全くないので、「うちは高くてもかまいませんから、いくらでも良いですよ」というような態度で臨んでいるから向こうの言い値になっている。
 
岩本氏: 少々値が上がっても、国民は文句を言いませんから。少しづつでも国民の側が「おかしい」と思うことが、本当の意味での経済を活性させるきっかけになるのかなと思います。受け身体質の改善が必要ではないでしょうか。

柳下氏: ある種、公共性の中で飼いならされているというか、唯々諾々とすべてを受け入れてしまっているところがありますが、怒りの向く方向も違いますよね。弱者を糾弾するというような方向に行っていますから。政治もどんどん一方通行になってきていますから、その中で進められていることに恐怖感さえ抱きますね。
 
岩本氏: ところでアメリカ経済ですが、ついこの前まで、リーマンショックやサブプライム問題もあって、経済がぼろぼろになってどうするんだろう思っていましたけれど、アメリカの場合は立ち直ってくるのが早くて、良いものならどんどん進めていこうといったスピード感が全然違います。先日シェールガスの油田を実際にご覧になられたそうですが、シェールガスの最新情報を教えていただけますか。
 
柳下氏: シェールガスはいろんな意見があるんです。それこそ言い方として、食い尽くした油田をさらに掘り下げてまたさらに掘ろうという。そんなことして大丈夫なのかといった環境や量の問題もありますし、実際にまだ輸出も始まったばかりなので、ちゃんと出してもらえるのというところもあります。
 
量の問題も、石油もずっと言われてきたことですが、いつか枯渇するでしょうと。その枯渇する時期も、最初2020年に無くなると言われていたのが、最近では2035年がピークでだんだん産出量が減っていくだろうというのが主流になりつつあります。
 
まあ減っていくだけで、まだ開発していないところも多いですし、まだまだ大丈夫ですよということですが、やはりシェールガスが出てきたことで、アメリカはガラっと変わった部分がありますね。特に製造業がだいぶ復活していますし、地域も活性化されてきています。格差は厳然としてありますが、やはりアメリカンドリーム的に一攫千金を夢見て再起を図るという人たちが出てきていることから、様相が変わったところがありますね。
 
政策的にも、そこに注力して伸ばして行こうと政策を組み立てていける強みがありますから、オバマ大統領にとっては経済政策がやりやすくなっているところがあります。日本と違って基本的に人口が増えていく国ですから、非常にうらやましい状態になっていますね。

岩本氏: 私が現役だった90年代には、すでにシェールガスという名前は出てきていましたが、まだまだ夢物語でしたね。掘削技術もそこまでいっていませんでしたし、コストがものすごくかかるというので、まだカナダのシェールサンドのほうが現実的だと思われていたくらいでしたから。でも実際に蓋を開けてみれば、技術開発も進んで、原油の値段が高止まりしていたこともありますが、2005年くらいから、アメリカの状況が一気に変わってきましたよね。
 
そう考えるとひとつの新しいエネルギーが出てくるだけで、国がガラっと変わる可能性が秘めているんですね。そのままそれが日本に当てはまるとは思いませんが、日本も自国のエネルギーを上手く使えるようになると、かなり変わるんじゃないでしょうか。
 
柳下氏: アメリカもシェールガスが出てきたことで、原発をどんどん止める方向になっています。それは危険性というよりは、コストの問題、経済性の面で止めましょうという話なので、逆に風力や太陽光がトーンダウンしている部分がありますが。
 
仰るとおり彼らは新陳代謝が非常に良いので、ITバブルの時は、IT企業がたくさん出てきて、そこで雇用も地域も活性化する中で国がガラっと変わってきた。そして今回はシェールガスで製造業が活性化していくといったように、何かが出てくると大きく構造も変わり、そこの投資も入るんですね。そこが日本は何が出てきても少し及び腰になるところがありますが。
 
岩本氏: なりますよね。

 




2014/07/04


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